厳選!2歳馬情報局(2016年版)
第3回:サトノヴィクトリー

 素質豊かなサラブレッドの若駒が集結し、毎年注目を集めている『セレクトセール』。日本最大級の競走馬のセリ市であるこの催しでは、億を超えて取引される高額馬が度々登場する。

 近年は、同セール出身の活躍馬も多く、今年のGI日本ダービー(東京・芝2400m)でハナ差2着となったサトノダイヤモンド(牡3歳)も、その1頭。同馬は、2013年のセレクトセールで2億3000万円(税別)で落札されている。

 そして、現2歳世代の中でもセレクトセール出身であり、来年のダービーでの活躍が期待されている"高額のエリート"がいる。サトノヴィクトリー(牡2歳/父ディープインパクト)である。

 同馬がセレクトセールに上場されたのは、昨年の夏。1歳のときだった。そしてその際、同年のセール全体でトップとなる、2億3500万円(税別)という高額で落札された。

 同馬がそれほどの高い評価を得たのは、その血統背景と兄姉の活躍にある。ふたつ上の兄は、2015年の日本ダービーで3着と健闘したサトノクラウン(牡4歳/父マルジュ)。重賞2勝を含め、デビューから無傷の3連勝を飾って、クラシック初戦のGI皐月賞(中山・芝2000m)では1番人気に支持された逸材だ(結果は6着)。

 サトノクラウンは、古馬になってからもGII京都記念(京都・芝2200m)を快勝。今後もさらなる活躍が見込まれている。

 また、2009年生まれの姉ライトニングパール(牝/父マルジュ)は、ヨーロッパで現役生活を送り、イギリスのGIを制覇。こうした兄姉の実績を踏まえれば、セレクトセールで高額で取引されるのも頷ける。

 加えて、サトノヴィクトリーの父は、不動のトップサイヤー、ディープインパクトである。兄サトノクラウンの父は、日本でほとんど実績のないマルジュ。それでも成功したのだから、父が実績十分のディープインパクトに代わって、弟への期待がさらに膨らむのは無理もない。

 そんなサトノヴィクトリーについて、間近にいるスタッフたちはどう見ているのだろうか。同馬の育成を担当したノーザンファーム空港牧場(北海道)の犬伏健太氏は、4月の時点でこんな印象を口にしていた。

「顔つきもよく、馬に品がありますね。高額馬に見合う"品"を持っていて、大人びている雰囲気です。今は馬の成長に合わせて育成を行なっている段階ですが、ここからさらに変わっていくかな、という印象を持っています。なお一層、大きくなる可能性もありますね」

 歴戦のスタッフが感じる"品のよさ"。そのうえで、やはり父から受け継いでいる"いい部分"が垣間見られるという。犬伏氏が続ける。

「いい馬が持っている"要素"を感じますよね。ディープインパクトの産駒らしい、しなやかさがあります。独特のオーラをまとっていますし、奥がありそう。ポテンシャルの高そうなニオイがしますよ」

 昨年のセレクトセールで、早くも脚光を浴びたサトノヴィクトリー。値段に見合った"オーラ"を漂わせる逸材は、競走馬となってどんなパフォーマンスを披露してくれるのか。デビューの日が来るのを、楽しみに待ちたい。

河合力●文 text by Kawai Chikara