マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

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イチローについて専門家の議論加熱、「衝撃のメジャーデビューを覚えてますか?」

 米スポーツ専門テレビ局ESPNの人気番組「ベースボール・トゥナイト」が「MLB歴代の名選手ランキング」という特集を組み、メジャー通算3000安打まで残り6本と迫っているマーリンズのイチロー外野手は、65位にランクインした。ESPNの専門家と解説者が歴代162選手の候補の中から、全盛期のパフォーマンスとキャリア全体の価値に基づき格付けしたもので、このたび、メジャー史上にその名を残す70位から61位までが発表された。メジャー16年目の現役最年長野手は、特集の中で専門家に「世界的に野球史上最も重要な存在」と絶賛され、野球の伝道師としてもステータスを確立したと評価されている。

 特集ではイチローの数々の受賞歴を紹介。メジャー初上陸を果たした2001年シーズンはマリナーズで新人王、ア・リーグMVPに輝き、10年連続でオールスター出場、ゴールドグラブ賞を果たしたことや、01年、07年、09年にシルバースラッガー賞に輝いたことを列挙している。ワールドシリーズ優勝については「ナシ」だが、打率.314、出塁率.357、長打率.406、OPS(出塁率+長打率)は.763で、2994安打、113本塁打、750打点という通算成績を残していることにも触れている。

 メジャー16年目の現役最年長野手の輝けるキャリアに対する議論は、特集で沸騰した。

 司会が「イチローの衝撃のメジャーデビューを覚えていますか? 日本ですでに全盛期を迎えていた男が最優秀新人とMVPを獲得しました。彼のような選手をこれまで見たことがありませんでしたよね。日本からやって来て、彼のようなインパクトを残した選手は」と語ると、かつてレッズとナショナルズでGMを務めた解説者のジム・ボウデン氏が反応した。

「もしも、21歳から22歳の時点でメジャーに来ていたら、もっと順位は高かった」

「10度のオールスター出場に、10度のゴールドグラブ。年間最多安打を7回。彼については“ワォ”としか言えません。もしも、彼がメジャーで21歳から26歳の間にプレーしていたらどうだったでしょう。歴史を戻して、この5年間をメジャーの活動時間に加えることができたら…。彼はメジャーにやって来て、すぐにMVPになったのです。このことから、彼はこの3、4、5年前には同じような活躍が出来たかもしれませんね。そうなればここでの議論もまた違ったものになったでしょう」

 27歳でオリックスを離れ、メジャーの門を叩いたイチローだが、22歳の若さでアメリカに上陸しても、MVP級の活躍を見せただろうと分析。ボウデン氏は「実際のところ、時間を巻き戻すことはできません。実際のアメリカでの成績だけに基づいてジャッジするしかありません。日本の成績を加味することはできません。彼はここの位置で適切だと思いますが、もしも、21歳から22歳の時点でメジャーに来ていたら、もっと順位は高かったでしょう」と語った。

 さらに、コラムニストを務めるキース・ロウ氏はイチローについて、国際的に野球史上最も重要な選手と絶賛する。

「この順位で合っていると思いますが、補足したい。彼はここ5年、殿堂入りの話題にもなっている選手ですが、この男は世界的には野球史上最も重要な存在です。野球は国際的にも人気のスポーツです。イチローは日本からやってきた中で最高の選手。ヒデオ・ノモもアメリカにやってきてすぐに成功し、カルチャー的な衝撃をもたらしましたが、それは長続きしなかった。イチローの爆発は太平洋の両側で長い間続きました。イチローは日本でメジャーの知名度を高めました。両国の関係を深め、今では日本から頻繁に選手がやってくるようになりました。キャリアとしては世界中のスポーツに好影響を与えました」

 イチローはメジャー16年間のキャリアで日米球界の関係を一変させ、世界的なベースボールの認知度を高めた伝道師としても評価されている。

出塁率が高ければ「トップ30〜40」も…「イチロー独特のスタイル」

 一方で、名物コラムニストのバスター・オルニー氏は「彼がメジャーでキャリアをスタートさせていたら、間違いなくピート・ローズ(の安打数)を超えていたと確信しています。彼は偉大な選手であるために最高のケアを続けています」と評価しつつ、イチローが65位という格付けになった理由について、打率の高さと比べた際の.357という出塁率の低さを指摘。「それがトップ30〜40に入らななかった理由」と説明した。

 ただ、ボウデン氏は出塁率に関しては「イチロー独特のスタイル」と説明。「彼の打撃練習を見れば分かるのですが、驚くようなパワーの持ち主。年間25本塁打を打てる選手に見えますが、彼はヒッターであることを選んだのです。ヒットを打って、仕掛けるという道を選んだのですが、彼はホームランを量産できるポテンシャルの持ち主なのです」と語り、ある程度のパワーヒッターの道を選べるほどの長打力の持ち主とも主張している。

 金字塔への道を進むイチローだが、その華麗なキャリアを巡る議論もアメリカで白熱しており、その偉大さは改めて評価されているようだ。