FC東京はどうしたのだろう。ロスタイムの悪夢が続いている。

 J1第2ステージ第1節で、サガン鳥栖に2対3の逆転負けを喫した。2対10で迎えた後半アディショナルタイムに、連続被弾してしまった。アウェイでは3連勝中で、ここ5試合負けなしの相手に、勝点3を献上してしまった。

 7月13日に行なわれた第3節では、アビスパ福岡に試合を引っ繰り返された。1対1で突入した90+2分に、失点を許してしまった。

 第1ステージからの通算で、FC東京の失点は「23」だ。全18チームで8番目に少ない。極端に多いわけではないものの、昨シーズンは34試合で33失点である。安定感は失われている。

 気になるのは終盤の失点だ。残り15分(76分以降)の10失点は、沼南ベルマーレと並んでワースト2位タイなのだ。アディショナルタイムの4失点も湘南に次いで多く、残り15分以降の失点がもっとも多い名古屋グランパスを上回ってしまうのだ。
第1ステージ優勝の鹿島アントラーズ、同2位の川崎フロンターレは、残り15分の失点がわずかに「1」だ。年間勝点が3位の浦和レッズは「4」で、同4位のサンフレッチェ広島は「3」にとどめている。勝負強さという意味で、上位陣とは大きな溝があると言わざるを得ない。

 失点が増えてしまっているだけではない。得点も少ないのだ。

 ここまで20得点は、1試合1点ペースである。すでに30点以上のチームが6つあるだけに、年間順位で上位へ食い込むのはハードルが高い。

 このチームが難しいのは、保有戦力がリーグトップクラスだということだ。

 福岡戦のベンチ入りメンバーには、高橋秀人、羽生直剛、平山相太、前田遼一が並んだ。いずれも日本代表の経験者である、リオ五輪代表の中島翔哉も控えていた。ベンチ外のメンバーにも、梶山陽平、水沼宏太、阿部拓馬らがいる。駒野友一やハ デソンを他クラブへ貸し出しても、バリエーション豊富なメンバーを編成できる。

 これだけの選手を揃えているのだ。自分たちで主導権を握るサッカーを、志向しないはずはない。アウェイでも勝点3をつかもうとするだろう。同点で終盤を迎えたからといって、守備に重心を置いたりはしない。鳥栖と福岡に喫した黒星は、彼らのスタイルゆえに喫したものだった。

 組み合わせの妙でも勝利を引き寄せられるのがサッカーだから、戦力が整っているからといって勝てるわけでもない。ただ、FC東京のようなチームが優勝争いに絡んでこないのは、Jリーグ全体にとっても損失である。保有戦力に優れるチームがタイトルを獲得することも、サッカーのロマンのひとつだからだ。