厳選!2歳馬情報局(2016年版)
【第6回:ラボーナ】

 牝馬クラシック第2弾となるGIオークス(東京・芝2400m)。3歳牝馬のほとんどの馬にとって未知の距離で行なわれる過酷なレースのため、時に大きな波乱が起こる。

 しかし今年は、1番人気に推されたシンハライト(牝3歳)がその人気に応えて快勝。桜花賞でハナ差2着に敗れた悔しさを晴らし、悲願のタイトルをつかんだ。ゴール前の末脚は、まさしく"女王"に見合う切れ味だった。 

 そして2着も、2番人気と高い支持を得ていたチェッキーノ(牝3歳/父キングカメハメハ)が入った。大本命のシンハライトに最後まで抵抗し、クビ差の接戦に持ち込んだ。

 同馬は桜花賞には出走しなかったものの、桜花賞トライアルのアネモネS(中山・芝1600m)を快勝すると、オークストライアルのGIIフローラS(東京・芝2000m)では後続に3馬身の差をつけて完勝。その実績がフロックでないことを、オークスできっちり証明した。しかも勝ちに等しいレースぶりで、今秋のさらなる飛躍を期待させた。

 そんな熾烈な争いからつかの間、チェッキーノの弟となる若駒がデビューへ向けて動き出している。ラボーナ(牡2歳/父ルーラーシップ)である。

 ラボーナを語るうえで、姉チェッキーノとともに触れておかなければいけない存在がいる。4つ上の兄、コディーノ(牡/父キングカメハメハ)だ。

 コディーノは、デビューから3連勝を飾って世代の主役に躍り出ると、2歳王者決定戦となるGI朝日杯フューチュリティS(中山・芝1600m)で2着、牡馬クラシック第1弾のGI皐月賞(中山・芝2000m)でも3着と健闘。王道路線で活躍した。惜しくもタイトル獲得はならなかったものの、その走りで多くのファンを魅了した。

 そのコディーノとチェッキーノを兄姉に持つラボーナ。期待されるのは、それらファミリーがいまだ実現していないGI制覇である。

 実際、その夢をかなえてくれそうな素質は備わっているようだ。育成を担当したノーザンファーム早来(北海道安平町)の山内大輔氏は、今春の取材でこんなコメントを残していた。

「ラボーナは全身を使って走るタイプで、独特のフォームの持ち主ですね。走っているとすごく目立ちます。その走りっぷりは現時点でもかなりいいですし、これからもっとよくなっていくと思いますね。体つきは母親に似ていて、走りは父親のルーラーシップのよさを引き継いでいるかもしれません」

 チェッキーノとコディーノは、どちらもキングカメハメハ産駒。一方でラボーナは新種牡馬のルーラーシップが父となるが、ルーラーシップがキングカメハメハ産駒のため、血統構成はそれほど変わらない。父が違っても、兄姉と同様の力は秘めているはずである。

 それどころか、ルーラーシップの母は、GI2勝(オークス、天皇賞・秋)を挙げた"女傑"エアグルーヴ。極上の血統を持つ新種牡馬ゆえ、父が変わったことが逆に、プラスに働く可能性もあるだろう。

 ラボーナのデビューは現在、8月の札幌開催の新馬戦が濃厚と言われている。そこでは、育成時代よりも数段パワーアップした姿が見られるに違いない。山内氏が続ける。

「兄のコディーノは、この時期に体がカチッとしていましたが、ラボーナはゆったりしている分、伸びしろが相当ありそうです。育成も順調にこなしてきましたし、デビューが楽しみですね」

 同馬が所属するのは、藤沢和雄厩舎(美浦トレセン/茨城県)。兄姉も管理したチームのもと、すでにゲート試験に合格。デビューに向けて着々と準備を整えている。

 ひとつ上の姉チェッキーノらとともに、まだ兄姉が果たしていないGIの栄冠獲得を目指すことになるラボーナ。まもなく迎える初陣でどんな走りを見せてくれるのか、注目したい。

河合力●文 text by Kawai Chikara