中国経済が崩壊するのか確かめたくて、天津のゴーストタウンを歩きまわってみた
目指すはニューヨークのマンハッタンだそうです。中国の天津にある浜海新区では大規模プロジェクトが推進されていました。人がいないのは建設途中だから。「良かった良かった。ゴーストタウンなんて無かったんだね」ということにして橋を渡った次の地区がゴーストタウンでした。
こんにちは、自転車世界一周の周藤卓也@チャリダーマンです。モンゴルから寝台列車と寝台バスを乗り継いで天津に戻ってきた日、時間が空いていたのでゴーストタウンを見に行ってきました。気になっていたので、この目で確かめたかったのです。2016年5月19日の訪問でした。
◆地下鉄が不通
「見たことのない世界がそこに広がっているはず」と胸をときめかせながらと街へ繰り出しました。地下鉄9号線で簡単にアクセスできると思いきや、途中までしかチケットが買えません。2015年8月の天津浜海新区倉庫爆発事故の影響で一部区間が不通となっていました。地下鉄で行けるところまで行って、路線バスに乗り換えます。GPSがあったので目的地に近い場所で降りて、後はひたすら歩きました
灰色区間の駅はチケット購入ができません。
「市民広場」という駅は閉鎖されています。
住宅マンションが並ぶ市民広場の駅前。
◆東洋のマンハッタン
インターネットで調べると、天津の浜海新区がゴーストタウン化しているという情報でした。何でも東洋のマンハッタンを目指しているとか。マンハッタンといえばニューヨークのハドソン川の河口に浮かぶ中洲の島で、繁華街のタイムズスクウェアや金融地区のウォール街もあるアメリカの中心。そういうことから天津のマンハッタンも中洲のような場所と予想。どこがゴーストタウン化しているか見当がつかなかったので、とりあえずは天津のマンハッタンを目指すことにしました。
目星をつけた場所。天津の中心から約35kmほど離れた地区です。
GPS片手に歩きに歩いて目的の場所まで来たのですが、中心に入る大きい道路には警察の詰め所があったので素通り。警官の視界の先でカメラをパシャパシャする勇気はありませんでした。橋の手前が公園と遊歩道となっていたので、そこから中心を覗いてきました。
間違っていませんでした。ニューヨークのような景色を作っていました。
次々と完成していく高層ビル。
完成したあかつきには、たくさんの人々が行き交うことになりそうな通り。
まだ建設途中ですので街は機能していません。歩いているのは建設労働者の方ばかり。
こちらの建物はホテルになるようです。
建設中のビル。
川沿いは緑化され遊歩道もあって爽やかな風が吹いていました。
このままマンハッタンとなるのか、それともゴーストタウンになるのか、これからが楽しみな場所でした。
ちなみに、こちらがマンハッタン化計画の完成予想図。
◆ゴーストタウン
マンハッタン地区は、建設中なので人が居ないのも納得できました。ゴーストタウンとは言えません。でも、怪しい場所がありました。マンハッタン地区から眺めた対岸の地区も人の気配がありません。その予感は見事的中。橋を越えた一帯がゴーストタウン化しています。
この辺りがゴーストタウン。
高層ビルが並ぶ光景と一致しない人と車の少なさ。
「住人は消えてしまったんだ」という説明の方がしっくりします。静か過ぎます。
閉ざされたドアからは、誰の声も聞こえません。
入居者の募集はやっているようですが、日に焼けたポスターが上手くいってないことを暗示していました。
中央を全速力で駆け抜けたくなるような一直線。誰も居ません。
これほどまでに巨大なビルにも人の気配はなし。
完成間近なのに工事が止まっているようなビルもあります。
こちらも止まっている感じ。木曜日の訪問でした。
こちらのビルは建設中のようで、工事用のエレベーターが動いていました。
ここを歩いていると、コンクリートむき出しのビルは廃墟なのか建設途中なのか、頭が混乱してきます。
これだけの街の規模にも関わらず、ぽつりとしかお店がないのがまた寂しい。人が住んでいる建物もあるようでしたが、街として機能していないのは明らかでした。
こちらはショッピングモールなんでしょうけど、建設中なのか撤退後なのかの判断もつかない。
ゴーストタウン化している地区とマンハッタン地区を結ぶ2本目の橋を建設中。
せっかくなので、記念写真を撮りました。僕だけしかいない街。
こんな感じで街を独り占めする写真を自由に撮れます。
たくさんの人で賑わう日がいつか来るのでしょうか?
住人は少ないようですが、道路の清掃や草木の手入れは入っていて街は綺麗に保たれていました。地元民がいないからこそ街が清潔という、中国の皮肉が詰まった場所でした。
「天津海昌極地海洋世界」という水族館の近くまで歩くとバス停がありました。こちらのゴーストタウンを訪れるのであれば、水族館を目指すのが分かりやすいでしょう。バス停から路線バスで塘沽駅へ。後は電車で天津駅に帰ります。地下鉄は別に電車の路線もありました。
◆ゴーストモール
日本でもピエリ守山というショッピングモールが話題となりました。テナント撤退が相次いだことから「明るい廃墟」とまで言われる始末で、いわばゴーストモールでした。それが一転、運営主体が変わったことからリニューアルオープンし、華麗なる復活を果たしています。
だからこそ、中国で見かけた商業施設が撤退したあとの空きビルは異様でした。この目に見える中国経済の弱さが、ゴーストタウン訪問意欲をかきたててくれました。
・天津
天津市中心の和平路は東西約2kmにわたって百貨店、アパレルショップ、飲食店などが連なる一大商業地区となっています。乗用車の乗り入れも規制された歩行者天国で、日本の爆買いさながらの人の渦がうごめいていました。大勢の人たちで賑わう和平路ですが、西端の一帯だけやけに寂れています。
2015年03月に撤退したマレーシア資本の「百盛(パークソン)百貨店」が入っていたビル。随分と色褪せていました。
もぬけの殻となった百貨店の正面玄関。
「国美電器」という家電量販店が入居していたビルも営業していません。
同じように入り口が封鎖されたビル。
総合スーパーマーケットの「ウォルマート」は営業しているのですが、このビルのテナントも空きが目立っていました。
こちらは別の場所ですが、2015年3月に台湾資本の「遠東百貨店」が撤退しています。
中国でもインターネット通販が浸透し、既存の商業施設は苦境に立たされています。こうした百貨店の撤退は天津だけでなく、全国規模で起きいるようで、撤退後のビルの活用が気になるところです。
・北京
天津だけでなく首都北京でも、同じような光景を目の当たりにしていました。
地下鉄「東直門」という駅を出てすぐのモールも閉鎖中。
かなり大きな建物でした。
モールだけでなく、隣の高層ビルの建築も止まったままです。
こちらは、2008年の北京オリンピックに合わせて進められた「国盛中心(国盛センター)」という一大プロジェクトでしたが、株式をめぐるトラブルによって、全面開業することなく今に至っています。
中国の秋葉原とも言われた中関村でも、見上げるほどに巨大な電脳ビルが閉鎖中でした。胡同地区にあった10階建て以上はある大きなホテルもは閉鎖中でした。もったいないと思う建物が目立っていました。
◆中国の発展
だからといって、中国経済が崩壊するという見方も複雑で、発展している地区はほんと発展しているですんよね。以下はいずれも天津の写真です。
天津市中心の高層ビル群。
天津中央駅の一帯。
ちょっとおしゃれな高層マンション。
高層マンションの森。
2015年6月には中国株の大暴落というニュースが世界を震撼させました。何が起きても不思議ではない国ですので、これからも中国経済に関する報道には注目してきたいところです。
(文・写真:周藤卓也@チャリダーマン
自転車世界一周取材中 http://shuutak.com
Twitter @shuutak)