【連載:映画で分かる女の本音】〜仕事も夢も恋もチャンスを手にするには純粋であれ〜映画『フラワーショウ!』

写真拡大 (全6枚)

本日、女の本音を探るためにピックアップしたのは、アイルランド映画『フラワーショウ!』。

アイルランドの田舎娘が世界最高峰のガーデニング&フラワーショー“チェルシー・フラワーショー”に挑む、実話をもとにしたサクセスストーリーです。

主人公はメアリー・レイノルズ(エマ・グリーンウェル)。幼い頃から自然のなかで育ち、野草を愛する女性。

いつか自然を活かした庭をデザインして世の中に送り出したいという夢を持っています。

その夢は、著名なガーデン・デザイナーのシャーロット(クリスティン・マルツァーノ)のアシスタントに採用されることで、第一歩を踏み出します。

でも、採用されたのはラッキーでしたが、蓋を空けてみたら──才能を利用され、こき使われ、あげくの果てにデザインを盗まれる! アンラッキーな状況が待っていました。

ふつうならシャーロットを見返すため、復讐のためのバトルに発展しそうですが、そうならないのがメアリーの素晴らしいところ。

ガーデン・デザイナーになって一儲けしようとか、名声を手に入れたいとかそういうことではなく、本当に美しい庭=自然を感じる庭を広めたいと思っている。

その純粋さはある意味、最強。本気度と才能で彼女はどんどんチャンスを引き寄せていきます。

そんなメアリーと対照的に描かれるのがシャーロットです。人生において一番大切なものは? と聞かれて「クローバー、シダ、柳、草」と答えるメアリーに対し、シャーロットにとって大事なのは「若さと美しさ、富と力」です。

外見と権力、内面と才能の対比がとても分かりやすく描かれているのも、この映画の面白いところ。

シャーロットはメアリーを利用してのし上がっていく、いわゆる“悪者”ですが、女性としては彼女の気持ちもわからなくもない。

女性だから……となめられないように、利用できるものは利用する。女を武器にすることも戦略のひとつだと考えたら、それはそれで立派です。

 

もう一人、注目してほしいのはメアリーの親友イヴ(ローナ・クイン)。

登場シーンは決して多くはないですが、彼女のメアリーへの助言はどれも心に響くものばかりで、しかも的確!

シャーロットにデザインを盗まれてしまったメアリーが、自分を信じて立ち上がれたのはイヴの言葉があったから。

たとえデザインが盗まれてもアイデアはメアリー自身の頭のなかにある、アイデアを生み出すのはメアリー自身なんだから──と。

年輩の人に言われたことがあります。大人になると交友関係が広がり知り合いもたくさんできる。

でも、いざというとき自分の味方でいてくれる人をしっかり見極めなさいと、友だちは選びなさいと。

この映画を観て、その言葉を思い出しました。

 

世の中には意地悪な人はたくさんいますが、メアリーが自分の力で“チェルシー・フラワーショー”を目指すきっかけは、シャーロットによってもたらされた屈辱あってこそ。挫折あってこそです。

本人的には、ただ「自然を活かした庭をデザインしたい」という思いを貫いた、その結果が功をなした。

ピンチをチャンスに変えよう、なんて気持ちはなかったのかもしれません。

ですが、そのピンチをチャンスに変えるためのプロセス、前向きさ、真っ直ぐさ、諦めない強さ、これはものすごい女子力です。

もうひとつ付け加えるなら、植物学者のクリスティ(トム・ヒューズ)に恋したこともメアリーのやる気アップに繋がっている。メアリーの仕事力、女子力、真似たいものです。

 

タイトル:『フラワーショウ!』
公開表記:2016年7月2日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー!
コピーライト:© 2014 Crow’s Nest Productions

2014年/アイルランド/カラー/DCP5.1ch/シネマスコープ/100分/原題:Dare to be wild 字幕翻訳:鈴木恵美 /後援:アイルランド大使館/提供:クロックワークス、東北新社/Presented by スターチャンネル

監督、脚本:ヴィヴィアン・デ・コルシィ
出演:エマ・グリーンウェル、トム・ヒューズ、クリスティン・マルツァーノ
配給:クロックワークス 公式サイト:flowershow.jp