渡邉氏の「公僕提言」にネットで批判集まる(13年5月撮影)

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居酒屋チェーン「ワタミ」の創業者で参院議員の渡邉美樹氏(56)が、次の東京都知事には「『無報酬で知事をする』という完全公僕宣言」が求められると提言した。

都民は「公僕の決意」を都知事に求めている――。こんな持論を展開した渡邉氏の投稿に対し、ネット上では「別に誰も求めてない」「これ以上日本をブラックに染めるな」との手厳しい意見も相次いでいる。

渡邉氏自身は無報酬の決断「簡単に口にできます」

渡邉氏は2016年6月23日、「都知事選への提言」と題した文章をフェイスブックに投稿。猪瀬直樹氏に舛添要一氏と、「政治とカネ」をめぐる問題での辞任が続く都知事に対し、独自の視点で「提言」を行った。

渡邉氏は「次の都知事の有力候補者の名前が出てきません」とした上で、今回の都知事選では、政策の前に過去の金銭の使途などに注目が集まると指摘。その上で、

「『無報酬で知事をする』という完全公僕宣言のようなものをしないと、幕引きが図られないと感じます」
「たとえばせめて、『課長級』の報酬で都政に身を捧げますという公僕の決意ぐらいは次の知事に都民が求めている」

などとして、多額の費用がかかる都知事選を繰り返さないためには、こうした「政治決断」が必要だと展開した。

さらに、上場企業を経営していた渡邉氏ならば、無報酬という判断を「簡単に口にできます」と意味深な一言も。実際、自身が出馬・落選した11年の都知事選を引き合いに、支持者からの質問には「今なら政策に『無報酬知事』を付け加える」と答えている、とも明かしていた。

「出馬宣言ではありません」

ただ、渡邉氏の創業したワタミは、その労働環境が「ブラック」だとの批判をたびたび受けており、12年には「ブラック企業大賞」の「市民賞」を受賞している。こうした背景から、ツイッターやネット掲示板では今回の投稿に対し、

「別に無報酬なんて誰も求めてないんだが?むしろタダ働きするやつなんて信用できん」
「これ以上日本をブラックに染めるな」
「仕事に対して対価がないのがどこが素晴らしいんだ?ブラック気質は相変わらずですね」

などと手厳しい意見が相次いでいる。

渡邉氏といえば、6月15日にも「都知事選出馬」をにおわせるような文章をフェイスブックに投稿し、ネット上で大きな話題を集めたばかり。その際にも、自身は「絶対に税金で贅沢をするつもりはない」と断言した上で、都知事には「私欲がない人が求められる」と綴っていた。

ただ、今回の投稿については「出馬宣言ではありません」と断言。ただ、「(11年の都知事選で)100万票のご期待を頂いた政治家として、注視と提言はこれからもして参ります」と含みを持たせるような言葉も残している。