特集:宝塚記念 打倒!ドゥラメンテ(5)

 6月26日に行なわれるGI宝塚記念(阪神・芝2200m)は、ファンの心踊る豪華メンバーが顔をそろえた。

 昨年のクラシックを賑わせたドゥラメンテ(牡4歳)やキタサンブラック(牡4歳)をはじめ、昨秋の古馬戦線で主役を張ったラブリーデイ(牡6歳)ら、総勢6頭のGI馬が集結。加えて、前走のGII大阪杯(4月3日/阪神・芝2000m)を快勝したアンビシャス(牡4歳)や、初GIとなった天皇賞・春(5月1日/京都・芝3200m)で3着に好走したシュヴァルグラン(牡4歳)など、伸び盛りの期待馬たちも参戦し、現役古馬トップクラスによる上質な攻防が見られそうだ。

 それでも馬券を買うファンとしては、上半期の最後に"大穴"をゲットしたいと思うもの。粒ぞろいのメンバーがそろった宝塚記念だが、ここでは過去の宝塚記念をヒントに"荒れる"要素を探ってみたい。

 過去10年の宝塚記念を見ると、1着馬については、比較的堅い決着になっていることがわかる。単勝配当が20倍以上だったのは、2010年のナカヤマフェスタ(8番人気/単勝3780円)ぐらい。2008年のエイシンデピュティ(5番人気)をはじめ、2011年のアーネストリー(6番人気)、2015年のラブリーデイ(6番人気)とわりと人気薄の馬が勝った年もあるが、それぞれ"大穴"というほどの低評価ではなかった。

 翻(ひるがえ)って、過去10年の2着馬に目を移すと、"大穴"と言える存在が3回食い込んでいる。以下のとおりだ。

◆2006年
1着=ディープインパクト(牡4歳/1番人気)
2着=ナリタセンチュリー(牡7歳/10番人気)

◆2014年
1着=ゴールドシップ(牡5歳/1番人気)
2着=カレンミロティック(セン6歳/9番人気)

◆2015年
1着=ラブリーデイ(牡5歳/6番人気)
2着=デニムアンドルビー(牝5歳/10番人気)

 2着に入った穴馬3頭のうち、ナリタセンチュリーとデニムアンドルビーは、前走の天皇賞・春でともに12着、10着と惨敗していた。その負け方に加え、2頭は天皇賞・春でも伏兵的な存在だったため、宝塚記念でも人気することはなかったが、大方の予想に反して2着に食い込んだのである。

 そもそも天皇賞・春は、3200mという特殊な設定のGI。そこから舞台が大きく変わるだけに、たとえ天皇賞・春で大敗しても、一変の余地はある。穴馬として狙う価値は見出せそうだ。

 今年の宝塚記念において、天皇賞・春の惨敗から直行する馬を探すと、1頭の名が浮かび上がる。フェイムゲーム(牡6歳)である。

 同馬は、3000m以上の長距離戦を得意とするタイプで、前走の天皇賞・春でも4番人気の評価を得ていたが、8着と大敗を喫した。この結果はもちろん、今回は距離が2200mと大幅に短縮されることで、かなりの人気落ちが予想される。

 とはいえ、天皇賞・春では道中の位置取りが悪く、ほとんど能力を発揮できなかったことも事実。また、確かに3000m以上のレースでの活躍が目立つが、過去にはGIIアルゼンチン共和国杯(東京・芝2500m)や、GIII京成杯(中山・芝2000m)といった中距離戦での重賞制覇という実績がある。とすれば、宝塚記念での激走があっても何らおかしくない。

 そしてもう1頭、天皇賞・春と同じような"特殊なGI"を惨敗して宝塚記念に挑む馬がいる。サトノクラウン(牡4歳)である。

 同馬は前走で、海外GIのクイーンエリザベス2世カップ(4月24日/香港・芝2000m)に挑戦。12着と馬群に沈んだ。しかし、これは初の海外遠征で馬自身がリズムを崩したもの。"特殊なGI"であったことは明白で、条件が大きく変わった今回、巻き返す余地は十分にあるだろう。

 もともと昨年の3歳クラシックでは中心的な存在で、皐月賞ではドゥラメンテらを抑えて1番人気に支持された馬。古馬になってからも、2走前にはGII京都記念(2月14日/京都・芝2200m)を快勝しており、その力を存分に発揮すればチャンスはある。前走の大敗によって人気を落とすようなら、格好の狙い目だ。

 過去10年で穴をあけた2着馬のうち、残り1頭は2014年のカレンミロティック。今年も出走する同馬は、2013年秋のGII金鯱賞(中京・芝2000m)で初の重賞制覇を飾ると、続くGI有馬記念(中山・芝2500m)でも6着と奮闘した。年が明けて2014年、GII中山記念(中山・芝1800m)では14着と惨敗したものの、その後の大阪杯とGIII鳴尾記念(阪神・芝2000m)では4着と健闘。特に鳴尾記念では勝ち馬とタイム差なしの接戦を演じていて、上り調子にあった。

 宝塚記念を迎えるにあたって、まさに"好走の兆し"を見せていたわけだ。そして実際、宝塚記念で2着という好結果を残した。

 これに似たタイプを探してみると、タッチングスピーチ(牝4歳)が目に止まった。同馬は、昨年のGIIローズS(2015年9月20日/阪神・芝1800m)で初めての重賞タイトルを獲得。その後、GIエリザベス女王杯(3着。2015年11月15日/京都・芝2200m)や、年明け初戦の京都記念(2着)などで好走し、一線級相手でも通用する力を示してきた。

 ここ2走、大阪杯とGII目黒記念(5月29日/東京・芝2500m)では、9着、6着と連敗している分、人気落ちは必至だが、今年はずっと牡馬一線級相手にもまれてきた。そうした経験を積んで、直近の目黒記念では勝ち馬とはコンマ4秒差と、着実にレベルアップしていることを証明。カレンミロティックと同様、明らかに"好走の兆し"を見せており、上位に食い込む可能性は大いにある。

 なお、近年の宝塚記念は「牝馬の好走が目立つ」という傾向にある。2015年は、2着デニムアンドルビー、3着ショウナンパンドラが、ともに人気薄の牝馬として波乱を演出した。2014年も、8番人気だった牝馬のヴィルシーナが3着に好走している。タッチングスピーチには心強いデータだ。

 上半期のフィナーレを飾るにふさわしい面々がそろった宝塚記念。強豪馬たちの間隙を縫って、想定外の激走を見せる穴馬が今年も現れるのか。ビッグな夏のボーナス奪取を夢見てみるのも悪くない。

河合力●文 text by Kawai Chikara