両手で持っても溢れて落ちてくるこのボリューム感。満腹です。

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関西の喫茶店で卵のサンドイッチを注文したら、他地域の人が驚いた……というのは、よく聞く話。なぜなら関西の「卵サンド」は、2種類あるからだ。

ひとつはゆで卵を潰してマヨネーズなどで和えた、卵サラダを挟むタイプ。これはコンビニなどでもよく見かけるスタンダードなものだ。それにくわえて関西ではオムレツ風の卵焼きをパンに挟み込むタイプを出す店も多い。

昔から喫茶を経営しているお店では、卵サンドといえばオムレツ風が当然、という。なぜかと聞いても「昔から」とのこと。確かに京都、大阪には卵サンドの名店と呼ばれるお店が多いのである。

関西の人は「分厚いもの好き」


なかでも数年前に惜しまれつつも閉店した京都の「コロナ」という喫茶店の卵サンドは、厚み10センチ近く。この卵サンドのために行列ができるほど圧倒的な人気を誇り、今では後継のお店がこの味を守り続けている。
そんな京都だけでなく大阪・神戸などでも、卵サンドといえば厚いオムレツや、時にはだし巻き卵を挟んだ卵サンドが登場する。

実は京都はパンの消費量日本一番、神戸や大阪は喫茶店文化が根強く、そして全体的に関西の人はボリュームのあるものが好まれる。食パンでも4枚切り、5枚切りの厚さを好む「分厚いもの好き」の文化のせいかもしれない。

ふわふわのパンに、溢れんばかりの分厚い卵焼きを挟み込む。一見くどく感じられるが、意外にその味わいは癖になる。

厚いものをつくるなら、卵はたっぷりと


作り方は至ってシンプル。必要なのは卵の量と、カロリーに対する思い切りだ。なんといっても関西風の卵サンドは使う卵の量がとんでもなく多い。厚いものを作るなら、4つか5つ使うともいわれている。そこまで極端にならずとも、3つくらい使う方が断然おいしい。ふつうより少しゆるめの柔らかい卵焼きを作り、バター、マスタードやケチャップを塗ったパンにサンド。崩れないように気をつけて切り分けてあとは食べるだけ。柔らかいので上から押すのは厳禁。そっと手に取り、こぼさないようにご注意を。

そもそもサンドイッチとは片手で気軽に食べられるようにイギリスの貴族が考案したものだ、といわれている。しかしこの卵サンドにかぎっては、両手で持ってじっくり味わいたい。

関西風というが、関西でも最近は卵サラダを挟んだタイプも増えてきた。オムレツ風だと注文を受けるたびに焼かなければならないし、卵の数も使うので喫茶店的には一手間かかってしまう。しかし、ぜひこの味わいは続けてほしい文化である。

雨降りなどで家にいることが増える季節。こんな鬱々とした毎日は、豪華でボリューム満点な卵サンドイッチで贅沢な時間を過ごしてみては。
(のなかなおみ)