マーリンズ・イチロー【写真:田口有史】

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今季は04年を上回る出塁率.422、「バットが振れているだけではなく、四球も増えている」

 マーリンズのイチロー外野手は22日(日本時間23日)、本拠地でのブレーブス戦に「1番・ライト」で3試合連続先発出場し、2試合連続安打をマークした。4打数1安打でメジャー通算2983安打として、3000安打へ残り17本。今季は打率.350、出塁率.422と好調を維持している。地元メディアは、イチローの四球数が増加していることに注目。その圧倒的な打撃技術とともに、打席の内容を改めて称賛している。

 イチローはこの試合、2回の第2打席で相手先発ガントの75マイル(約121キロ)のカーブをセンター前に運んだ。さらに、3点リードの5回には2死二塁でガントの右翼ファウルゾーンへと切れていく打球を鮮やかなスライディングキャッチ。攻守両面で見せ場を作り、3-0での勝利に貢献した。

 巧みなバットコントロールで中前打を放った2回の打席では、マイアミで試合を中継した「FOXスポーツ・フロリダ」の実況が、好調を維持するイチローの打席内容に今季は変化が見られると指摘。「昨年と比べ、バットがよく振れているだけではなく、四球も増えています。ボールを多少選ぶようになっていきているようです」と話した。

 イチローはこの試合では無四球も、20日(同21日)のロッキーズ戦で2四球を選ぶなど、21日(同22日)のブレーブス戦までは出場3試合連続四球。6月は打率4割というハイレベルな数字に加え、出塁率も.483と更に成績を上げてきている。イチローがキャリア最高の出塁率を記録したのは、メジャー記録のシーズン262安打を記録した2004年。その時の.414を上回る.422という出塁率を今季は現時点でマークしている。

圧倒的な打撃技術も健在、「教科書通りの打ち方ではない。これは彼独特のスタイル」

 この試合で解説を務めたマーリンズOBのジェフ・コーナイン氏も、イチローの四球数が増加していることに言及。昨年は438打席で31四球(約14打席で1四球)だったが、今季は154打席で17四球(約9打席で1四球)となっていることに触れ、「彼はボールをよく見るようになりました」と話した。リードオフマンとして、大きな役割を果たしていることは確かだ。

 もちろん、圧倒的な打撃技術も健在。この打席では、初回の第1打席で二ゴロに打ち取られたカーブをしっかりと捉え、ライナーでセンター前に運んだ。コーナイン氏はこのヒットを見ると、イチローの“唯一無二”の打撃スタイルについても解説した。

「彼が打席でどれくらい前に移動しているか見てください。しかし、彼の腕はしっかりと後ろに残っています。そして、打球が前に飛ぶとバッターボックスから飛び出していきます。

 教科書通りの打ち方ではありません、これは彼独特のスタイルです。この一連の動きの中では目と手を協調させる必要があり、さらにボールに向かって移動していきます。並大抵のことではありません」

 マーリンズで2度のワールドシリーズ制覇に貢献した名選手も、イチローがメジャーで称賛を浴びてきた「ハンド・アイ・コーディネーション」について、改めて脱帽している。

 3000安打の金字塔へ向け、イチローの勢いは衰えることがない。最高の技術でヒットを積み重ね、さらに四球もしっかりと選び、リードオフマンとして出塁を続ける。出場機会が訪れれば黙々と自分の仕事をこなす4番手外野手のチームへの貢献度は高い。