マーリンズ・イチロー【写真:Getty Images】

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歴代最多のローズまでいよいよ4本、日米通算記録について地元紙が特集

 マーリンズのイチロー外野手が、“歴代最多安打”に着々と近づいている。11日(日本時間12日)の敵地ダイヤモンドバックス戦では代打で一塁強襲内野安打をマーク。メジャー通算2974安打として3000安打に26本とし、日米通算では4252安打でピート・ローズの歴代最多安打4256本までは、いよいよ残り4本となった。日米合算のため、現地では参考記録という声も多い中、背番号51は「個人的には大きなことではない」とクールに“イチロー節”を貫いている。地元紙「サン・センチネル」が「ローズの通算安打数への追求はマーリンズのイチローにとっては大問題ではないが、日本ではビッグニュース」と特集している。

 記事では、「イチロー・スズキがピート・ローズを凌駕しようとしているが、アメリカのベースボール界は彼の通算最多安打をどう扱うか不透明だ」と、日米通算記録について報じている。

 イチローは2001年に27歳でオリックスからマリナーズに移籍するまで、NPBで1278本の安打を積み上げてきた。日米合算の数字を参考記録とする声はアメリカで少なくないが、日本では注目の的となっている。ただ、ミネソタ、アリゾナと遠征5試合で17打数8安打と好調ぶりを維持するイチローは、周囲の喧騒にもどこ吹く風。いつものクールな姿勢を崩していない。

「もしも、人々が重要と思うなら、素晴らしいことです。そう思わなくても、問題ありません。小さなことだとは思いませんが、大きなことでもないと思います。それが自分の見方ですね。本当ですよ」

 “ローズ超え”の重要性について聞かれた安打製造機は、同紙にこう語ったという。さらに、「自分にとっても大きなことではありません。自分はそのためにプレーしているわけでもありません。個人的には特に関心はありません」ともコメントしている。

マッティングリー監督は評価、日米通算記録は「間違いなく正当だ」

 記事では「彼は土曜日にメジャー3000安打の方がローズ超えよりも意味深いと示唆した」と伝えている。実際に、イチローは「そちらの方が少し重要と感じることの方が自然かもしれませんね」と語ったという。

 ローズは以前から、イチローが日米合算で記録を超えるのならば、自身の記録にマイナー時代の427安打も加えるように主張している。ただ、イチローも日本の2軍でヒットを打っており、比較するならこれを加えるべきだという声もある。一方で、ヤンキースでMVPに輝くなど、現役時代に名打者として名を馳せたドン・マッティングリー監督は、日米通算安打を公式とする意見に賛成していると、記事では伝えている。

「比較は難しいね。でも、どう切り取ろうとしても、すごいヒットの数だよ。私は(日米合算安打を)正当な数字だと思う。我々は日本からやってきた数多くの選手を迎え入れてきた。そして、彼らはすごく成功している。現時点で野球はとてもグローバル化を進んでいる。偉大な選手は世界中にいる。だから、私はそれ(通算安打数)を絶対に過小評価したくないんだ」

 マーリンズでも、エース右腕ホセ・フェルナンデスはキューバ出身、今季絶好調のマルセロ・オズナ外野手はドミニカ共和国出身。そして、今季加入した元中日のチェン・ウェイン投手は台湾出身だ。

 指揮官は記事の中で、「彼がここで3000安打に到達しようとしている事実がある。日本のヒットも質の高いピッチャー相手のものだ。基本的にメジャーでプレーできるレベルの選手たちだ。だから、(日米通算安打は)間違いなく正当だ」とも語っている。

 アメリカで注目と議論を呼びながら、イチローはローズの世界記録まであと少しのところまで近づいている。