ウッディ・アレン監督 (C)Kazuko Wakayama

写真拡大

 ウッディ・アレン監督がホアキン・フェニックスと初タッグを組んだ新作「教授のおかしな妄想殺人」が、6月11日から公開される。哲学教授を主人公に据えた本作のテーマや、前作「マジック・イン・ムーンライト」でもヒロインを演じたエマ・ストーン起用の理由を語った。

 大学の哲学科に赴任したエイブは、人生の意味を見失い、孤独で無気力な暗闇に陥っていた。ある日、迷惑な悪徳判事の噂を耳にしたその判事を自らの手で殺害するという完全犯罪を夢想し、エイブは次第にその計画に夢中になっていく。

 人生に空しさを感じ、心の穴を埋めるべく大胆な行動に出るエイブ。「僕はジャズを聞いたり、マジックを楽しんだり、スポーツ観戦するのと並んで哲学の本を読むのが楽しみのひとつなんだ」というアレン監督ならではの、知的な考察が物語に織り込まれている。

 「このストーリーを思い付いたとき2つの観点を合わせてみたんだ。エイブが抱えている問題はとても哲学的な内容の悩みでね。ある行動を取ろうと思うがそれが非道なのか正当なのかと悩むんだ。正しい判断なのか否かとね。明らかに過ちだと僕は思うけれど、理屈で説明できることでもない。人を助けるための行為なら間違ってないとも言える。僕は賛成しないけどね。哲学的な観点でどう心に響くかがこの物語の面白いところだと思うよ」

 過去の作品で起用した俳優と再度タッグを組むことが多いアレン監督。エマ・ストーンを再び起用した理由をこう語る。「エマはすばらしい女優だよ。数年前に偶然知り『マジック・イン・ムーンライト』に起用してみたらいい演技をしてくれてね。だからまた雇ったんだ。とにかく才能豊かな役者だよ。僕はこれまで数多くの優秀な女優たちと組んできた。ダイアン・キートンやメリル・ストリープ、ダイアン・ウィーストやジェラルディン・ペイジ、ジーナ・ローランズやナオミ・ワッツ、ケイト・ブランシェットなど大勢いるよ。エマもその1人でまだとても若いのに才能にあふれていて美しい。スカーレット・ヨハンソンと同じくエマには心を引かれるんだ」

 今作でエマ・ストーンが演じる女子大生のジルは、同世代のボーイフレンドがいるにもかかわらず、気難しいエイブにひかれ、危ない妄想を知らずに恋心を抱いてしまう設定だ。「大学生が自分の教授に夢中になることは決して珍しいことじゃない。そういうことって本当によくあると思うんだ。教授と言えば威厳のあるイメージだし父親っぽくもあり英雄的な存在でもある。だから魅力的だけど映画の彼女は途中で目が覚めるんだ」

 とりわけ好きなシーンは「エイブの人生が変わるシーン」だといい、「ある時突然 彼は気付くんだ、自分の人生には生きる意味があるとね。そこで取る行動は悪いことなんだけど彼を生まれ変わらせるんだ」