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●藍先生の推薦で企画がスタート
声優ユニット・StylipSの一員として活動するほか、声優、アーティスト、ラジオパーソナリティ、舞台をはじめ、モーションアクターや振り付けなど、幅広いシーンで活躍する"のっち"こと能登有沙が、2016年6月15日にNEWシングル「おやすみ星」をリリースする。

作詞・SAWA×作曲/編曲・有木竜郎による表題曲「おやすみ星」に加え、カップリングとして、スマホゲーム『ガーディアンズ・ヴァイオレーション』の挿入歌「超絶無敵最強スマッシュ」を収録するほか、DENSHI JISIONの「深夜あにめーしょん」をカバー。バラエティ豊かな3曲が収録される。

さらに、TVアニメ化もされたマンガ『ミリオンドール』の作者である藍先生による、能登有沙と「深夜あにめーしょん」を題材としたマンガが読めるURLが特典として用意される点も要注目。そこで今回は、能登有沙、藍先生、さらに本作を企画した松野プロデューサーが語った本作の魅力を紹介しよう。

○能登有沙、NEWシングル「おやすみ星」を6月15日リリース

――まずは今回の企画がスタートした経緯を教えてください

松野プロデューサー「今回のCDの2曲目に収録されている『超絶無敵最強スマッシュ』を歌ってくれる方を探していたときに、アイドルや声優さんに詳しい藍先生に相談したところ、能登さんがいいんじゃないか、という話になったのが最初ですね。それで、能登さんに歌っていただいところ、すごく良かったので、それならほかの曲も加えて、CDを作ろうという話になりました」

能登有沙「藍先生は、私がハロプロエッグや音楽ガッタスにいたころから知っていてくださるんですけど、そこから離れて活動している現在も、変わらず気に留めてくださっていて……先生の数あるアイドルライブラリーの中から、能登を選んでいただけて、ホントにうれしかったです」

藍先生「私はStylipSが本当に好きで、能登さんなら絶対に楽しくなるだろうという思いが根源にあったんですけど、ちょうどその話をいただいたころに、クリスマスのアニソン100曲ライブを観させていただいて、そこで『やっぱりのっちはいいな!』って確信して、推薦させていただきました(笑)」

能登「クリスマスのライブでは、ファンの方々から毎年、寄せ書きの色紙をいただくんですよ。"お誕生日おめでとう"みたいな。どうやらその色紙が先生のところにもいったみたいで、ちょうど先生が色紙に書いているところをうちの母親が横で観ていて、『ママのとなりにいたお姉さん、お絵かきがすごく上手だったの』って(笑)。それはプロの先生ですから! って」

藍先生「あれはすごく恥ずかしかったです」

――先生はいつもファンの中に溶け込み過ぎです(笑)

藍先生「会場にいたら普通に頼まれたので描いちゃいました(笑)」

能登「まだその段階では、色紙に書いていただいてありがとうございますっていうぐらいの関係だったのですが、今回のお話をいただき、一緒にお仕事ができるということで、とてもうれしかったです」

松野P「それで、能登さんに歌っていただいたときに、好きな音楽の話を聞いたら、能登さん的には星野源さんが好きだったりするらしく……」

――そうだったのですか?

能登「実はそうなんです(笑)。せっかくCDを作ってもらえるのなら、アイドルアイドルしたものではなく、もうちょっと音楽性を楽しめるものにしたいなって思いました。私は音楽にそれほど詳しいわけではないんですけど、みんなで肩の力を抜いて、手拍子なんかをしながら聴けるような音楽を作りたいなって。あと、モーションアクターや振り付けをやっていて、繊細な感情を表現するような動きが最近増えてきたんですよ。女の子の可愛さを表現するのでも、思い切り可愛さを前面に出すだけじゃなく、ちょっと恥ずかしがっている可愛さとか、いろいろあるじゃないですか。今までの能登有沙は、ブルドーザー的にガーッて進んでいく印象が強かったと思うんですけど、今回はそれとは違う何かを表現できないかと」

――今までのイメージとはちがう自分を表現したかった?

能登「もっと奥が深いというか、スルメみたいに噛めば噛むほど味が出てくる、みたいなものができたらいいなという思いがありました」

松野P「僕も歌を聴いた時、そういうものがやりたいのかなって。ただのアイドルアイドルした流れだけじゃないものを感じる部分があったので、もう少し音楽性の高いところでやれば、もっと面白いものが作れるのではないかと思って提案したら、ちょうど能登さんも同じことを思っていたようで(笑)。それで今回のリード曲は、今までとは全然違う路線のもの、大人に変わっていくところをうまく表現できないかと思って作りました。そこにもうひとつくらい何かを加えたほうが深みが出ると思ったので、最終的にはデジタルな感じになりましたが、ちょっとロキノン系の曲も入れてみようかと」

●「深夜あにめーしょん」の世界と現実
――それが「深夜あにめーしょん」ですね

能登「オタクな女の子が、外では気を遣っているんだけど、家では気を抜きたくて、コンビニで缶ビールを買って、深夜アニメを観ながら一息つく、みたいな感じの曲です」

松野P「それがイコール能登さんかどうかは別にして、深夜アニメを観ている本人が声優さんというのも面白いかなって思いました。能登さんは、何でもバチッと頑張るぞ! みたいなイメージが強いじゃないですか。でも、今回はそれとは違った方向性の曲にすることで、今までとは違うイメージ、大人の一面を見せられるのではないかと思いました」

――ちなみに、歌詞の世界観とはイコールですか?

能登「実際、『深夜あにめーしょん』の女の子とかなり近いところがあると思います。私の場合、缶ビールじゃなくて、缶チューハイですけどね(笑)。オンとオフの切り替えをすごくする人間なので、仕事をしているところだけを観ている方は、すごくしっかりしているねって言ってくださるんですけど、プライベートだとけっこうダラダラしています。部屋が汚かったり、わかめうどんが作りたくて、乾燥わかめとうどんを一緒にお湯にぶちこんで大変なことになったり(笑)」

――女子力なさすぎです(笑)

能登「そして、まったく気にせずにそれを食べるみたいな(笑)。深夜アニメを観たり、お風呂で一人で本を読んだりしている時間が好きで、本当はすごく不器用なんですよ。周りの人からは、もっとわがままになればいいのにってすごく言われるんですけど……」

――自分の中で、多かれ少なかれ抑えている部分があるのですか?

能登「私の中では無意識なんですよ。ハローの時代とか、もっと遡れば小学校4年のころからこの世界にいるので、周りの目を絶えず気にしないといけない環境で生きてきた結果、自然と身についた行動が、他人からはちょっと無理しているんじゃないかって思われちゃうみたいなんですよね。でも本人はまったくそんな気はないです」

――StylipSもそうですが、比較的お姉さん的ポジションを求められることが多いのも、そう思われる理由の一つかもしれませんね

能登「それもあるかもしれません」

藍先生「能登さんが、お姉さん的なポジションで頑張っている姿というのは、同性の目から見ると、すごく大変なことだろうって思えてしまう。だからこそ、可愛い子はたくさんいるけれど、その中で、何となく共感できる、一緒にお仕事してみたい、話してみたいって思えるのは能登さんなんですよ。今回、『深夜あにめーしょん』のマンガを描かせていただくことが決まったときは、そういった部分を拡げて、表現できればいいなっていう思いがありました」

――マンガの構想はかなり早い段階からできていたのですか?

藍先生「ちょっと世の中に不器用で、事務所を辞めソロになっちゃうような子を主人公にした漫画を描いているんですけど、私自身、そういう子が好きなんですよ。割りを食っちゃうタイプの子。そこにあるドラマが好きで、ファンの人も何となく苦労していることはわかっているだろうから、そこをちょっと拡げていきたいなと。そうすれば、ファンの人も何となく報われるし、本人のためにもなるんじゃないかと思いました」

――そのあたりは『深夜あにめーしょん』の世界観とも一致するところがありますね

藍先生「松野さんからDENSHI JISHIONさんの歌詞をいただいた段階で、これなら描ける! って思いました。今回のマンガは、能登有沙を主軸に置くというのが一番だったので、能登有沙を中心にしながら、歌詞のストーリーラインに出てくるエピソードを加えていくという感じで構成しています」

――歌詞の世界観に能登有沙を登場させるのではなく、能登有沙に歌詞の世界観をアドオンしていくという感じですね

藍先生「自分の描きたいものだけを描くんだったら単なるファンと変わらないじゃないですか。あくまでもプロとして描く以上、DENSHI JISHIONさんの歌詞の世界もきっちり吸い上げて、音から受ける印象も盛り込んでいくという流れで描いています」

――自分が主人公の漫画というのはいかがですか?

能登「私が想像していたよりも、私の心の中が表現されていて、すごく言いたいことなんだけど、私の口からは言えない! みたいなところをすごく拾っていただけていると思いました。実際、髪の毛を切っちゃったのも、『もう、やだ!』って思ったからなんですよ。髪の毛を伸ばしてポニーテール、というチャームポイントでやってきたんですけど、ここらで一度ショートにしてみたい、と思って」

――ちなみに髪はいつごろから伸ばしていたのですか?

能登「子供の頃からずっとです。子役は髪の毛が結べないとダメなので。そのままの状態でここまで来ちゃったので、ちょうどStylipSのシングルを出した後くらいのタイミングで思い切って切っちゃいました。切ってみたら本当に楽で、シャンプーって一回でいいんだって感動しちゃいました(笑)。実はそういった心境について、先生には話してなかったのに、マンガ上で表現されていたので、すごく驚きましたし、すごくうれしかったです」

藍先生「そういってもらえて良かったです。単なる妄想だったので(笑)。変化を前向きに描きたかったんですよ。今回、ちょっとタッチも変えて、線も均一なペンに変えて、少女漫画っぽい雰囲気、おしゃれっぽい雰囲気を出してみたんですけど、そうやって変化していく"のっち"、キラキラになっていく"のっち"をファンも受け入れざるを得ないみたいな雰囲気にして、納得させたいという狙いもありました」

●推しが変化していくときのファン心理
――実際に推しが変化していくときのファン心理はどのような感じなのでしょうか?

藍先生「自分の中に、オタクモードの自分と女性モードの自分がいて、オタクモードの自分は変化をすごく怖がります。あの子のあの感じが好きだったのに、みたいな。言うなれば、あのポニテが好きだったのに! みたいな感じですね(笑)。でも女性としてわかる部分があって、ずっとこの髪型って言われても、いつかは切りたくなっちゃうんですよ。自分自身も、すごく濃いメイクをしたい時期があれば、まったくのスッピンで過ごしたい時期もある。それは、その時その時の心境によるものだから仕方ないと納得できる、物分りの良い大人の女性も自分の中にはいるので、その両者の折り合いをつけながら生きている感じです。嫌なんだけど、わかる! みたいな(笑)。そこを上手く活かして、オタクを説得する翻訳機みたいな存在になりたくてマンガ家をやっているので、今回の仕事は本当に良かったなって思っています。マンガなら直接言わなくても、雰囲気でわかってもらえるじゃないですか」

――先生自身の思いも詰まった作品なんですね

藍先生「今回は、最初切ったネームでOKをもらえたときが一番ほっとしました。そこで、こういう私を見せるのには抵抗がありますって言われたら、全部直すしかなかったので」

――ちなみに、能登さんにとって見せたくない自分はありますか?

能登「今はあまりないです。StylipSが始まったころは、ライブのときは強気でいかないとみんながついてこないとか、能登有沙はこうあるべきだ、みたいな勝手な解釈があって、かなり肩肘を張っていたんですけど、今回は特に自分一人のCDなので、誰に気を遣うこともなく、自分のやりたいこと、チャレンジしてみたいことを思い切りやって、その上で、自分の知らない能登有沙を引き出してもらえたらいいなと思っていました」

藍先生「けっこう自分の中でも踏み込んだところまで描いている意識があったので、これは違いますって言われたら、ゼロからやり直すしかない、くらいの覚悟でした」

能登「本当に皆さんが、すごく絶妙なラインで、ギリギリを攻めてくれた結果が今回のシングルになっているんじゃないかと思います。ジャケ写もあまりニコニコしていない、ちょっと大人な感じになっていますし、いろいろな挑戦が詰まった1枚になっています。ただ、2曲目の『超絶無敵最強スマッシュ』を聴いてもらえば、いつもの"のっち"だって安心してもらえるんじゃないでしょうか(笑)」

――いつもの"のっち"もやはり大事ですよね

能登「自分自身、いつもの"のっち"で安心してしまうのは、成長が止まってしまうみたいで嫌なんですけど、その一方で、今の自分をずっと続けられるのも、それはそれで素晴らしいことなのではないかと思っています。そういう意味では、本当に今回のシングルはすごくいいタイミングで、StylipSがありつつ、振り付けなどのクリエイティブな活動もあり、さらに自分自身の活動も大事にしているところを見せられるので、すごく良かったです」

――今回の3曲は比較的難しい、歌いにくい曲が多くないですか?

能登「中でも『超絶無敵最強スマッシュ』は超絶難しかったです(笑)。だた、私自身、けっこう頑固な部分があって、難しいと言ったら負けだみたいな気持ちがあるので、あえてハモリを二声にして厚くしたりしています。ハモリは全部自分なんですけど、有木(竜郎)さんにその場で作ってもらって、耳コピしてレコーディングして、みたいな感じで、本当に録りながら作っていった感じです」

松野P「『超絶無敵最強スマッシュ』を録った時は、その一曲だけの予定だったので、僕らも力んだところがあり、すごくたくさんの要素を詰め込んじゃったんですよ。そうしたら、全部クリアしていくので、もっといけるんじゃないか、みたいに調子に乗っちゃって(笑)。今考えると申し訳なかったです」

能登「松野さんはレコーディングの時に、もうちょっと神っぽい感じで、とか面白いディレクションをしてくれるので、すごく楽しかったですよ(笑)」

――神ですか?

能登「神です(笑)」

――無茶振りにもほどがありますね

松野P「これまでいくつかの現場を見て、声優さんの場合、イメージで語ったほうが上手くハマることが多かったので、そういうディレクションになってしまいました(笑)。『おやすみ星』は、ちょっと昔を振り返るみたいな世界観なので、昔を俯瞰で眺めるイメージを、"神っぽく"と表現した感じです」

能登「こうしたら、神に聴こえるかな? みたいな感じで歌ったんですけど、気持ち的には、お姉さんというか上に持ってくる感じ。でも、上に持っていきすぎると幼く聴こえるので、あわせて幅も広げながら歌いました。逆に『深夜あにめーしょん』は真っ直ぐ前をみながら、肩幅ぐらいの感じ。『超絶無敵最強スマッシュ』は、鋭いランスで、いろいろな方向から刺して掘ってえぐるみたいに、縦横無尽で動くみたいな感じで歌っています(笑)」

――そういう点でも、今回の3曲は面白いバランスですよね

能登「曲のバランスも面白いですし、そこにミュージックビデオが加わり、藍先生のマンガが加わることで、本当に面白い作品に仕上がったのではないかと思っています」

――それでは最後にファンの方へのメッセージをお願いします

藍先生「今回は、音楽を聴いてマンガにするという新しい試みでしたが、絵作りもこだわってますし、のっちの魅力もきっちり出せているのではないかと思いますので、ぜひマンガを読んでみてください! あと、『note』という媒体で新作のアイドル物を始める予定なので、こちらもチェックしていただけるとうれしいです」

松野P「能登さんは、本当にいろいろな魅力を持っているすばらしい方で、その魅力がいろいろな角度から詰まった作品ができたと思っています。ぜひお手にとって聴いてみてください」

能登「今回のCDは、自分の表現したい世界や色を、たくさん取り入れていただいております。新しいのっちの一面を見せたいという気持ちもありますが、聴いた人がビックリしないように、これまでののっちの要素も残しているので、肩の力を抜いて、気持よく音を楽しみながら、プラスアルファの新しいのっちを感じていただけたらうれしいです。よろしくお願いします」

――ありがとうございました

能登有沙のNEWシングル「おやすみ星」は2015年6月15日のリリース予定で、価格は1,000円。特設サイトもオープンしており、インストアライブ情報や店舗購入特典なども公開されている。また、「深夜あにめーしょん」のマンガを手掛けた藍先生の公式サイトやTwitter(@ai_hanwota)もあわせてチェックしてみよう。

(竹間葵)