『美しくなるためのランニング講座』  
第3回●正しいフォームを身につける

ランニング初心者の馬場ふみかさん(女優・モデル)がフルマラソン完走を目標にトレーニングを開始! 指導担当は、湘南ベルマーレ・トライアスロンチームの中島靖弘ヘッドコーチ。「楽しく、頑張りすぎない」ランニング講座の第3回。

【プロフィール】
○中島靖弘http://www.bellmare.or.jp/triathlon/profile/member.html
湘南ベルマーレ・トライアスロンチーム・ヘッドコーチ。ニューバランスランニングアドバイザー
○馬場ふみかhttp://lineblog.me/babafumika/
女優・モデル。新潟県新潟市出身。167cm。

■腕振りのポイントは肩甲骨

 理想のフォームを習得するために大切なのは、脚の動きだけではなく上半身を入念にチェックすることです。極論すれば、上半身の動きや姿勢が良くなれば足運びも変わってきます。

 修正が必要な上半身の姿勢で一番多いパターンは「猫背」です。その次が「上半身だけの前傾姿勢」。上半身だけ前傾すると腰が後ろに残ってしまい、足が後方へ流れてしまう。つまり腰が引けた状態で走っている人は結構多いのです。あとは肩に力が入って首をすくめるように走っている人も多いですね。

 初心者は正しい腕振りができてない人が多いです。悪い例としてよくあるのは、肩甲骨が動いていないこと。腕だけを振って、しかも外に振っている。そうすると、余計な方向に体が振られてしまい、効率が悪くスムーズに前に進むことができません。

 実は"ランニングは腕振り"と言われるほど、正しく腕を振ることは重要です。腕振りというより、"肩甲骨振り"と言ってもいいかもしれません。肩甲骨が動けば、自然と胸が前に出る。肩甲骨を動かして、胸とお腹が前に出るように意識すれば大丈夫です。

 肩甲骨の内側を寄せるようにして、脇を開くことなく、肘を後方に強めに引いて振ってみましょう。肩甲骨がぎゅっと寄るようにして、そのまま左右交互にやっていくと体全体がひねった状態に近くなってきます。この動きをリズム良く引き出してください。

 上半身と下半身が連動すると自然に、骨盤が左右に動いてきます。つまり、腕振りが脚の動きを誘導することになって連動します。これが原理です。

 横から見たときに、奥の肩が見えるぐらい振ってください。正面から見たときのNGは、脇が空いていることです。脇が空いたまま腕を振ると、身体が横に振られてしまって必要のない方向に力が逃げてしまいます。脇を閉めて腕を振ると、前方へ力が伝わりやすいのです。

 腕振りの際、肘が伸び縮みがあったり、伸ばしたままだと、腕を振るために大きな力が必要だったり、力が下へ抜けてしまうので、約90度に曲げて振ってください。肩から肘が作る円弧の中で振った方が、腕は振りやすくなります。

■フォームのチェック
 バラバラのフォームで走って、余計に疲れてしまっては本末転倒です。また、ケガのリスクも高まります。

 初心者は、少しでも遠くに足を置こうとしてしまいがちですが、まずは歩幅を気にすることなく、力を抜いて走ることを意識してください。

 ランニングは「ジャンプの連続」で、「地面反力」が必ずあります。押したら必ず押し返される。その場で垂直にジャンプをすると、着地した次の瞬間に体のバネが反応します。これが「反力」で、強く地面を踏みつければ、その分強く返ってくる。これを利用して走るようにします。

 筋力だけでジャンプしようとすると、しっかり沈み込んで、飛び上がろうとしてしまい、上下動が大きな、負担の大きいフォームになってしまいます。筋肉だけで一生懸命頑張ろうとしないで、バネでポンポンポンと飛ぶようなイメージです。肩甲骨を寄せて胸を張り、お腹を引っ込めて、膝を深く曲げようとせずにジャンプをすれば、より軽やかに走れます。一方、悪い例である猫背だと反力を使えず体が重たくなってしまい、ジャンプのバネをうまく利用できなくなってしまいます。

 初心者の方で、腿を上げずに「擦り足」のような動きで、着地をする瞬間にブレーキをかけながら走っている人も多く見かけます。よりスムーズに走るためには、こうしたブレーキをなくしたいので、少しだけ太ももを上げて、"地面を真下に踏みつける"ということをもっと意識して練習をしてください。

 馬場さんのフォームは、少し体が後ろに倒れてしまっています。以前も教えたように、お腹を引っ込めてお臍(へそ)と胸を同時に前に出し、身体全体を前傾させることをイメージして走ってみてください。しっかりと肘を曲げた腕振りも意識することも忘れないでください。

 前傾を意識する際に注意が必要です。

「ランニングは前傾することが大切です」と教えると、お尻が後ろに残って上半身だけ前傾させてしまう人が少なくありません。

 そうではなく、良い姿勢のままで、踵(かかと)から頭のラインをそのまま前傾するようにしてくだい。前方に体重をかけ、自然に体が倒れてしまうぐらいのタイミングでスッと脚を出すようにしましょう。お尻が後に残って上半身だけを前傾させても、足は前に出てきませんし、重心が下がりやすいフォームになります。以上のことに気をつければ、正しいフォームで走ることができます。

 姿勢と全身の前傾を意識し、最初は無理して走ることなくウォーキングをし、徐々にスピードを上げていき、何となく走った方が楽だなと思ったところで、スキップをしてみましょう。

 スキップすることによって上体が引き上げられ、スムーズに走り出すことができます。例えば信号で止まってしまい、再び走り始める際にスキップから走り始めるといいと思います。

石塚隆●取材・構成 text by Ishizuka Takashi
八戸亜希子●ヘア&メイク hair&make-up by Hachinohe Akiko
松尾由美●スタイリング styling by Matsuo Yumi