特集:「最強世代」の日本ダービー(4)

 今週5月29日(日)は、東京競馬場で3歳馬による競馬の祭典・GI日本ダービー(芝2400m)が行なわれる。空前のハイレベルと言われ、「3強対決」で盛り上がったGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)は1番人気のサトノダイヤモンドが3着に敗れ、伏兵視されていた8番人気ディーマジェスティがレースレコードで優勝。上位3頭はいずれもディープインパクト産駒だった。

 スポルティーバでは、先に皐月賞馬ディーマジェスティに乗る蛯名正義騎手のインタビューをお届けした。同じ父を持ち、皐月賞2着、3着に敗れたマカヒキ(3番人気)、サトノダイヤモンド(1番人気)。両馬は無敗がストップしたものの、「むしろ日本ダービーでこそ」と注目度は依然高い。巻き返しはあるのか、今回はこの2頭を比較してみよう。

 まずは2着のマカヒキ(牡3歳、栗東・友道康夫厩舎)。昨年10月の新馬戦(京都・芝1800m)、今年1月の若駒S(京都・芝2000m)、3月のGII弥生賞(中山・芝2000m)と、無傷の3連勝。特に弥生賞では昨年の最優秀2歳牡馬リオンディーズを差し切り、強烈なインパクトを残した。父ディープインパクトと同じ道を歩んで臨んだGI皐月賞では、後方追走からメンバー最速の上がり3ハロン33秒9の豪脚を見せ、ディーマジェスティから1馬身1/4差の2着に入った。これで父ディープインパクト同様に、デビューから4戦連続で上がり3ハロン最速を記録。平均33.4は父の33.7を上回る数字だ。ダービーでもかなりの人気を集めるだろう。

 マカヒキの全姉ウリウリはGIII京都牝馬S、GIII CBC賞と、1200〜1600mの重賞を2勝しているスピード馬。それだけに距離の不安も取り沙汰されているが、母の父フレンチデピュティは昨年のGIジャパンCを勝ったショウナンパンドラと同じ配合で、祖母の父レインボウコーナーの父は凱旋門賞馬レインボウクエスト。スタミナ血脈も兼備しており、2400mの距離は克服可能だろう。

 一方のサトノダイヤモンド(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)も、昨年11月の新馬戦(京都・芝2000m)、12月の2歳500万下(阪神・芝2000m)、2月のGIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)と、こちらもデビューから3連勝で重賞制覇。同レースでは2着馬に3馬身1/2差をつける圧勝だった。

 しかし、それ以来約2カ月ぶりとなった皐月賞では、直線で不利もあり、末脚の鋭さを欠いて2着マカヒキからさらに1馬身1/4差の3着に敗れた。きさらぎ賞から皐月賞に向かうローテーションは近年では結果が出ていないだけに、臨戦過程としては今回の日本ダービーの方が期待を持てる。重馬場と稍重馬場で勝利している経験もマカヒキにはないもの。脚質的にも、マカヒキより前につけるタイプで、スローペースになった場合は有利になりそうだ。

 母マルペンサはアルゼンチンの芝、ダートのGIを計3勝もした活躍馬。優秀な牝系だが、母の父オーペンは現役時代に仏GIモルニ賞(芝1200m)を勝ったスプリンターで、産駒もスピードタイプが多い。その父ルアーも米GI BCマイルを勝ったマイラー。ディープインパクト産駒は母がスピードタイプでも距離を問題にしない馬が多いが、2400mが大歓迎という馬ではないだろう。

 以上、日本ダービーでも有力視される2頭のディープインパクト産駒を比較してみた。血統的距離適性と皐月賞の走りではマカヒキ、脚質と臨戦過程、道悪経験ではサトノダイヤモンドと、一長一短あり甲乙つけがたいが、筆者がどちらかを選ぶとすればマカヒキだ。父ディープインパクト(2005年ダービー馬)や同じ父のキズナ(2013年ダービー馬)が見せたように、豪快な末脚に期待したい。


平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki