ゲーム実況で生きていけるの?人気実況者・茸が明かす「稼ぎのカラクリ」- 土屋礼央の「じっくり聞くと」(第3回)
土屋:「土屋礼央のじっくり聞くと」、今日は若者を中心に人気のあるゲーム実況者の「茸」さんに、ゲーム実況で生活するとはどういうことなのか、ゲーム実況で成功するためにはどうしたらいいのか、根掘り葉掘り伺っていきたいと思います。

茸:よろしくお願いします。

茸(たけ)プロフィール



ニコニコ動画やYoutubeで活動する「ゲーム実況者」。Youtubeではチャンネル登録者数20万人を突破。ニコニコ生放送公式ラジオ番組「ニコラジ」にアシスタントMCとしてレギュラー出演中。

■好きなことで生きて…行けるの?


土屋:「ゲーム実況で生活する」というのはそもそもどういうことですか。

茸:「ゲーム実況」の活動というのは、ゲームをパソコンの画面に映し出して、おしゃべりしながらプレイする様子を録画することです。それがどう仕事として成り立つのか、ということですよね。

土屋:動画をインターネット上にアップして、沢山再生されると収入が増えるってことでいいのかな。

茸:まずニコニコ動画さんの場合は「クリエイター奨励プログラム」というものがありまして、これは許諾のおりているゲームを実況プレイして再生回数に伴った金額をお支払いしますよというシステムです。

YouTubeは動画を再生するときに広告がでるじゃないですか。あの広告の表示時間ですとか、どこの企業さんの広告が載るかで全部かわってくるんです。基本的にYouTubeさんは一回の広告で約0.1円。動画が1万回再生されたら千円入ってくるというのが一般的な収入です。

ただ、僕の場合は特殊なものもありまして、ゲームメーカーさんから「このゲームが新しくでるから、ちょっとやってみてくれ」というレビュー広告の依頼を受けることもあります。

土屋:いつ頃から「ゲーム実況」で生活ができるように?

茸:今から3年くらい前ですかね。もともと実家に住んでフリーターをやっていて、家では動画を作って(ネット上に)あげて、外に出たらバイトするって感じだったんです。

最初はニコニコ動画さんで活動させてもらっていたんですが、そこで公式放送というものがありまして。いろんなゲーム会社さんが「このゲームをやってくれ」というものを、みんなでリレー形式でプレイする企画があって、そこにお呼ばれするようになって。

バイトだと1日7時間働いて6、7千円とかじゃないですか、それが公式放送になると自分たちの好きなことをやるだけでお金がもらえる。ゲームをさせていただいて、なおかつお金もいただける。

土屋:なるほど。

茸:最初のうちは、その仕事を月に1本とかいただいていて、オファーがない時はバイトをしていたんですけど、今から3年くらい前に公式放送の収入も安定してきて。ちょうどそのころYouTubeでも活動を始めて、動画の収入がどんどん入ってくるようになったんです。

土屋:ぶっちゃけ、どのくらい儲かるんですか。

茸:具体的な数字まではアレですけど、同世代(20代前半)の一般的なサラリーマンよりは収入が多いと思います。

土屋:それは夢がありますね!

茸:とは思ってはいるんですけど、HIKAKINさんとかマックスむらいさんとか、はじめしゃちょーさんは、そんな僕らから見ても雲の上の存在です。


■ゲーム実況の原点は「ゲームセンターCX」


土屋:ゲーム実況で憧れの人はいましたか。

茸:いましたね。それこそゲーム実況者の方の動画に憧れて僕も始めて、それが仕事になっちゃったって感じなので。一番上で言うと高橋名人なんですが、その後にフジテレビCSのゲームバラエティ番組「ゲームセンターCX」っていうのがありまして、あれが実況者全員のきっかけになったと言っても過言ではないんです。

黙々とよゐこの有野さんがゲームをやっているという…あれが原点でありながら頂点。いまだにみなさん「あれは超えられない」って言います。それを一般の僕らがやったらどうなるのかが、ゲーム実況のはしりです。

土屋:茸くんのようにゲーム実況で生活できている人はどのくらいいるんですか?

茸:僕も具体的に数えたことはないんですが、100人はいないですね。50人いるかいないか、って感じです。


■就職しろ!と言わなかった両親


土屋:ゲームばかりやってて親は大丈夫だったの…?「お前もっとしっかりしろ」とか言われそうなもんだけど。子供の頃「ゲームは1日1時間」って言われなかった?

茸:そのへんはフリーだったというか。父親が一旦ゲームを始めるとずっとやってるタイプだったので。

土屋:はぁ!

茸:父はプログラマーとかパソコン関係の仕事をしているんですけど、突然ゲームを買ってきて土日に黙々とプレイする人だったんです。さすがに実況はしてなかったですけど、ひたすらRPGをやってましたね。

時々僕のことを呼んで「このあたりをぐるぐるしてると時々敵が出てくるから、それで経験値を稼いでおきなさい」って代打をやらされたり(笑)。ただそれがおもしろかったというのが、僕のゲームのスタートだったりします。

母親も「好きなことをやりなさい」と。ゲーム実況も家族に隠していたわけじゃなくて、動画を撮って居間に行ったら「あんた今日はよくしゃべってたね」って言われるような感じでした。

土屋:じゃあ、最初から受け入れられてたんだ。「就職しなさい」とか言われなかった?

茸:特に言われなかったですね。僕の両親は高校を卒業してすぐ社会に出て、夢を追って上京したので、好きなことは若いうちにやりなさいってタイプなんです。

土屋:最初からゲーム実況で食べていこうって思ってたの?

茸:さすがに思ってなかったです。ただ、有名にはなりたいとは思ってたんですけど、金銭的な部分は全く思ってなくて。それこそ今仕事になってるというのがびっくり。家族には「よく生活できるようになったね」って今でも言われますし。

土屋:小学生の憧れ職業に「ユーチューバー」が入ってくる時代ですが、茸くんに子供ができてゲーム実況をやりたいと言ったらどうしますか。

茸:自分も両親に「好きなことをやりなさい」って言われてきたので、子供からそう言ってきたらもちろん「やりなさい」って言うと思います。編集にダメ出したりしちゃいそうですけど(笑)