■2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:最終版)

 3歳馬の頂点を決する、日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)の開催が迫ってきた。

 最終的に"飛車角落ち"となった牝馬戦線とは対照的に、牡馬戦線の有力各馬は順調そのもの。皐月賞馬のディーマジェスティをはじめ、皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)の前まで「3強」と称されたマカヒキ、サトノダイヤモンド、リオンディーズも、大一番に向けて万全の準備を整えている。

 また、ダービーへの最終切符をかけた3つのトライアル&前哨戦が行なわれ、GII青葉賞(4月30日/東京・芝2400m)ではヴァンキッシュランが、プリンシパルS(5月7日/東京・芝2000m)ではアジュールローズが、そしてGII京都新聞杯(5月7日/京都・芝2200m)ではスマートオーディンが勝ち名乗り。それぞれ、皐月賞の上位勢に挑戦状を叩きつけるだけの、好内容のレースを披露した。

 これまでの評判どおり、競馬界最高峰の舞台は「史上まれに見るハイレベルな争い」となりそうだ。

 今回は、これらの結果と経過を踏まえて、ダービーの行方を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、日本ダービーを目指す3歳牡馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、マカヒキ。前回は首位タイだったものの、今回は単独でトップの座に就いた。皐月賞2着ながら、最速の上がりタイムをマーク。舞台を東京に移しての逆転が期待されている。

●吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「5月1日に坂路で乗り出しを再開。5月5日には、はや坂路でタイムを出していました。ゆったりと大きなストライドで走ったためか、スピード感はそれほど感じませんでしたが、それで4ハロン55秒0、1ハロン13秒9というタイムを馬なりでマークするあたり一流馬の証でしょう。その後も精力的な調整を重ねて、日曜日には左回りになる栗東のトラックコースを活用。ダービーの舞台となる東京競馬場を意識した準備もきちんとこなしていました。ブレのないきれいなフォームは健在で、精神面も高い集中力を維持。皐月賞とは違って、落ち着いたペースでの瞬発力勝負になれば、ディーマジェスティより分があると思います」

●木南友輔氏(日刊スポーツ)
「2着に敗れた皐月賞も、上がりタイムは最速をマーク。兄姉の戦歴から、血統的には距離延長は微妙ですが、ポテンシャルそのものが(兄姉の中では)別格かもしれません。前走は、川田将雅騎手がテン乗りという面もありました。ダービーでは引き続き川田騎手が騎乗。乗り替わりでは勝てないレースで、皐月賞以上のパフォーマンスが発揮されることを期待しています」

 2位は、皐月賞馬のディーマジェスティ。マカヒキに首位の座を譲ってしまったのは、ダービーに向けて何かしら不安があるのだろうか。

●市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「皐月賞では、マカヒキより少し前に位置して、3角から大外を回して徐々に進出。そこから直線に入って、もう一度伸びて完勝しました。当然、ダービーの有力候補に名乗り出たと言えます。しかしながら、皐月賞では展開の利があったことは確か。ダービーでは、それを差し引く必要があると考えます」

●土屋真光氏(フリーライター)
「皐月賞はハイペースを利しての勝利だったとはいえ、直線で2段ロケットのような加速で前方馬群をひと飲みし、さらに後ろから迫ってきたマカヒキを完封した脚は圧巻でした。ただ、やはり"はまった"という感は否めません。また、イメージほど共同通信杯の勝ち馬がダービーで勝てていない(過去20年では2001年のジャングルポケット1頭のみ)、という点が気になるところです」

 3位は、リオンディーズ。皐月賞では5着(4位降着)でも、変わらずに高い評価を得ている。

●土屋氏
「もともとはダービーでこそ、と思っていた馬。皐月賞も、普通のハイペースだったらあのまま押し切っていたかもしれません。ダービーでも枠順次第といった面はあるものの、今回は気楽な立場となって、"ここ一番"で強さを発揮するミルコ・デムーロ騎手の手腕が冴えるのではないでしょうか」

●木南氏
「皐月賞は、完全なる"暴走"。中山の難しさを改めて痛感しました。それでもパドックや返し馬では、リオンディーズのパワフルな馬体とフットワークに惚れ惚れさせられました。菊花賞馬の兄エピファネイアのベストレースは、速いペースで押し切ったジャパンC(東京・芝2400m)。少々強引でも、今回は押し切ることができるのではないか、と考えています」

 4位は、サトノダイヤモンドとスマートオーディンの2頭が同ポイントで並んだ。スマートオーディンは、前哨戦の京都新聞杯を快勝して、大きくポイントを伸ばした。

●市丸氏
「皐月賞上位の評価で言うと、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)こそ3位ですが、最も正攻法なレースをして、勝ちにいって敗れたサトノダイヤモンドが一番上、という評価です。しかも、勝負どころで不利を受けての3着。負けて強し、でしょう」

●本誌競馬班
「安定感では、サトノダイヤモンドがピカイチ。混戦になったとき、強さを発揮しそうな気がします」

●木南氏
「スマートオーディンは、マカヒキの友道康夫師、リオンディーズ、ヴァンキッシュランの角居勝彦師の師匠にあたる松田国英調教師の管理馬。同師にとってはダービー3勝目がかかっていて、NHKマイルCではなく、京都新聞杯を使ってきたところに勝負気配を感じます。ダービー目前で骨折に泣いた、父ダノンシャンティの分までがんばってほしいですね」

●吉田氏
「スマートオーディンの、毎日杯→京都新聞杯→ダービーというローテーションは、2013年にダービー馬となったキズナと同じ。直線に向いたときの爆発力は世代屈指です。前走、芝2200m戦の京都新聞杯で我慢して折り合えたことは、大きな自信となったはず。余力を残して課題をしっかりと克服してきた事実は大きく、中2週で挑むダービーでもいいレースが期待できそうです」

 また、ランク入りこそ逃したが、青葉賞の勝ち馬ヴァンキッシュランを推す声も多かった。

●市丸氏
「TF指数では9位ですが、ヴァンキッシュランは降着した1戦を含めると、芝2400m戦では実質3連勝。レースをこなすごとに指数を伸ばしており、ダービーで勝つまではどうかと思いますが、2、3着に入る力は十分にありそうです。母父は欧州長距離血統のガリレオ。ハイペースのスタミナ勝負になったら、台頭しても不思議ではありません」

 注目の"頂上決戦"まで、あとわずか。「最強世代」と称される屈指のメンバーたちがどんなレースを見せてくれるのか、楽しみは膨らむばかりだ。

text by Sportiva