深田晃司監督と
マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督 (c) Kazuko Wakayama

写真拡大

 フランス現地時間の5月21日、コンペティション部門より1日早く行われたカンヌ映画祭、「ある視点」部門の授賞式で、深田晃司監督の「淵に立つ」が審査員賞を、またスタジオジブリとオランダ合作の、マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督によるアニメーション「レッドタートル ある島の物語」が特別賞を受賞した。

 授賞式後、会場から出てきた深田監督とキャストの筒井真理子、古舘寛治は興奮冷めやらぬ様子で日本の報道陣の取材に応じた。深田監督は、「とてもうれしいです。俳優、スタッフの協力のもとに生まれた作品なので、その力が認められたということが何よりもうれしい。本当はもっと長いスピーチを用意していて、この機会に日本とフランスの合作協定がないことなどを訴えようと思っていたんですが、他の方のスピーチが短かったので端折りました(笑)」とコメント。

 筒井が「受賞があってもなくても、最後まで監督と一緒にお祝いしたいという気持ちで今日まで残っていたので、本当によかったです。審査はかなり競り合ったと聞いていますので、十分にうれしいです」と語ると古舘は、「今までこういうことに接点のない人生を送ってきたので、どういう気持ちになればいいのかわからないですが、身体がびんびん反応している感じです(笑)」と述べた。

 審査員のひとりであるディエゴ・ルナにコメントを求めると、「パワフルで素晴らしい映画で、僕は大好きだった。フィルムメーカーとして深田監督は美しく、鮮烈な声を持っていると思う」と語ってくれた。一方、すでに一足先に日本に戻っていた浅野忠信は、「我々は妥協なくこの映画に挑みました。そしてこんなに素晴らしいところにたどり着けました! 皆様のおかげです!!! ありがとうございます! 最高です!」とコメントを寄せた。

 「レッドタートル ある島の物語」は、審査員のひとりのフランス人女優、セリーヌ・サレットが代表して、「映像、音楽ともにとてもポエティック。まさに特別な映画なので特別賞になりました」と評価。登壇したデュドク・ドゥ・ビット監督は、「スタッフ一同とても誇りに思っている作品なので、こんな賞を授与してくれた審査員のみなさんに感謝します」と語った。

 さらに監督賞には、観客に人気の高かったビゴ・モーテンセン主演の「Captain Fantastic」を撮ったマット・ロスが、作品賞には、フィンランドのジュホ・コスマネン監督によるモノクロのボクシング映画、「The Happiest day in the Life of Olli Maki」が輝いた。

 審査員長のマルト・ケラーは同部門のラインナップについて、素晴らしい作品ばかりだったため賞の決定が難しかったこと、結果的に切り捨てざるを得ない作品が出てきたのが心苦しかったと評価した。(佐藤久理子)