会見で被害者家族に詰め寄られるレキットベンキーザー代表アタ・サフダル氏(YouTubeより)
 5月14日、韓国で、2011年に加湿器の水に混ぜて使う殺菌剤が原因で妊婦や新生児中心に200人を超える(消費者団体によると累計1500人超)死傷者が出ていた問題を巡り、ソウル中央地方検察庁が、もっとも多い死傷者を出した殺菌剤の製造販売元、英日用品大手レキットベンキーザーの韓国法人元代表ら4人を業務上過失致死傷の疑いで逮捕したことが話題になっている。

 殺菌剤で最も多いシェアを占めていた英国の多国籍企業「オキシー・レキットベンキーザー」韓国法人をはじめとするメーカー3社が、韓国のSKケミカルが開発し「人体に有害」と認めていた薬品を原料にした殺菌剤を販売していたとされている。この件について、消費者団体側の弁護士は「韓国政府が20年間、有害物質の使用を黙認してきたせい」と主張している。

 韓国ではこうした人災による人命被害事件が多発する国内の状況を揶揄し「家の中のセウォル号事件」と呼ばれ、近年最悪の消費者被害事件であると言われている。(参考:ハフィントンポスト韓国版)

◆韓国で頻発する消費者問題

 だが、問題は加湿器だけではない。

 韓国の消費者問題に斬り込む唯一の番組であるKBS「しっかりとした消費者レポート」では、不良品による被害を中心に詐欺、保険、食品偽装、老人虐待などに関与している企業などに2007年から潜入取材している。

 その中で紹介された「問題製品」は凄まじい。「洗えば洗うほど汚くなる」洗濯機、ダッシュボードが溶ける車内用芳香剤、火を噴くキムチ専用冷蔵庫などなど、驚愕のラインナップなのだ。

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 なかでも、浄水器の蛇口から謎の粘液が出てくる事例が相次いだ件では、調査の結果粘液は細菌が固まってできた「バイオフィルム」であったことが判明。製造販売元は当初、粘液について「飲んでも無害である」と強弁していたが、番組が調査結果をもとに書面で質問状を送ると、ようやく安全ではなかったことを認めた。さらに「黒い物体が混じる」という他の家庭の浄水器を調べると、なんと放水口に飲料水基準の14000倍の黒カビが付着していた。メーカーによる定期訪問メンテナンスを受けているにも関わらずのこの事態に、消費者は怒り心頭だったという。

◆消費者の怒りをエンタメ化

 ほかにも、日本でも人気の韓国コスメの一つである「黄土パック」から重金属が、ベビーパウダーからは石綿が検出する例、「男児を産める薬」の実態、皮膚病や伝染病にかかった犬をきわめて不衛生な場所で屠殺、処理する現場など衝撃的な事例が紹介されている。

 といっても、中には消費者側がクレーマー体質丸出しであったり、毎週無理やりネタをでっちあげ大げさに演出している感じも否めず、番組自体も信憑性は微妙だが、スポンサーの事情でこうした番組が連続放送されることはまずない日本と比べると、かなり思い切った構成となっている。誠意のないメーカーに激怒する消費者の図は一種のエンタテインメントとして成立しているかのようだ。

 「偽装」がまかり通っているのは日本も同じ。韓国の事例を他山の石として、消費者意識を高めていきたいものだ。

<取材・文/HBO取材班 写真/Atar Safdar head of Oxy Reckitt Benckiser Korea SLAPPED during conference in Seoul (VIDEO) 参照/KBS「しっかりとした消費者リポート」 >