奇跡の水かインチキか!? 話題騒然“水素水”の真実を整水器メーカーにきいてきた

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最近何かと話題の水素水。体にいい?疲労が取れる?美肌になる? ……しかしその一方で、「水素水はインチキである」とするご意見もちらほら。我々は一体何を信じればいいのか――


そこで、通販大好き主婦・ナンボ―西澤が久々の出動。業界シェアナンバーワンの整水器メーカー「日本トリム」が開催する、「アンチエイジングと水素」イベントに潜入。水素水の真実に迫ってまいりました!

都内某所。やたら毛の長い犬を連れた老夫婦やら、やたら車高の高いベビーカーを押したセレブママやらが行き交う高級住宅街のオシャレなレストランが、今回のイベント会場。「浄水器販売=シャッター商店街にある謎の空き店舗」というイメージで参加したナンボ―西澤、初手から肩透かしを食らう。


この日のイベントテーマは「アンチエイジング」。着席すると日本トリムさんご自慢の整水器で生成された、できたて水素水がさっそくサーブされる。美味しい。飲みやすい。しかし、「大将、いい水素使ってるねぇ〜」とは感じられない。当たり前ですが。

ちなみに日本トリムは昭和57年創業の整水器メーカー。業界のシェアは約60%で、国内ナンバーワンである。「整水器? 浄水器じゃなくて?」と思った奥さま、お目が高い。同社によると、「お水を浄水し、美味しくするのが“浄水器”。浄水したお水をさらに電気分解して、抗酸化性のある水素を豊富に含んだアルカリ性の水を生成するのが“整水器”」とのこと。


スクリーンでこの電解水ができる仕組みが説明されたが、要するに「濾過された水を電解槽にイン→(電解タイム)→電解水素水&酸性水の生成」というわけ。

「この電解水素水は、胃腸症状の改善に効果があると医薬品医療機器等法(旧薬事法)で認められています。飲用水生成器では、唯一効果・効能が認められている機器です」と胸を張る。

なお現在は、農業や医療分野への応用も進んでおり、「農作物の高品質化や収穫量の増大、また血液透析に電解水素水を利用する研究も行われています」とのこと。「後ほど電解水素水を使って作った野菜でのミニランチもご用意しております」という一声に、難解ワードに眠りの呪文をかけられそうになっていたナンボ―の脳みそが一気に活性化する。


おまちかねのワンプレートランチが到着。電解水素水で煮込んだ鳥のミネストローネに電解水素水で育てたピーマン、しいたけ、トマトのグリル。さらに電解水素水で炊いたご飯。デザートももちろん電解水素水で栽培したイチゴ。これが非常に美味しい。しかし、繰り返すようだが「お、大将、いい水素使ってるねぇ〜」「お客さん、やっぱ分かります?」とはならないのである。

日本トリムもそのあたりには頭を悩ませているようだ。というのも、巷間よくある水素水ボトルは、その多くが「バブリング」と呼ばれる、高圧化で水素ガスを入れたもの。要は水の中に水素を混ぜる方法である。しかし、元素の周期表では一番目、そして最も軽い水素のこと、充てんした時点から抜けていくという。実際に開封して飲むときにどれほど「水素」が残っているのか、正直少々心許ない……。

一方で、整水器による電解方式は、水の中から水素を発生させるので、より新鮮であることは間違いない。しかしこちらも「できれば作り立てを飲んでいただきたい。電解水素水も時間の経過とともに水素の効果は薄れます」とのこと。


水素水は体にイイのか、それともただのインチキなの?の前に、そもそも「それって本当に水素水なの?」問題が横たわっているもよう……。ただ、日本トリムの整水器が「胃腸症状の改善に効果がある家庭用医療機器」であることは事実であり、当イベントのようなコツコツした取り組みによって、水素水のホントのところを啓蒙していこうという姿勢には共感できる。

そして、「電解水素水」と「普通の水」の明らかな違いを実験で見せてもらった。2つのコップを用意し、ひとつにはミネラルウォーター、もうひとつには電解水素水を注ぐ。そしておもむろにお茶の葉を投入……すると!ミネラルウォーターに入れた茶葉にはあまり変化が見られないが、電解水素水に入れた茶葉からは明らかにグングンと色素が放出されている!


「これは今朝作ってきた電解水素水です。電解水素水は抽出力が高いので、こうして茶葉の細かいところに入り込むんですよ」。なるほど、これは体内への吸収も早そうだ。

「出汁がしっかり取れたり、煮物にも早く味が染みたり、お米の汚れが取れやすくなったり、お料理には最適なお水であることは間違いないのですが、まだ『そういう傾向がある』という段階。当社では研究によって、物性の解明を続けているところです」。

真面目だ! 通販番組なら、飲んだ瞬間に奈美悦子が「なんか体調良くなった」とか言い出しかねないアレなのに! 「当社はつねにエビデンス重視です。みなさんに堂々と電解水素水の良さを伝えるために、国内外の大学や研究機関と共同研究を進めています」。

電解水素水の真実に触れ、ムクムク湧き上がる物欲。そして最後に思い切ってきいてみた。

「胃腸症状への改善が認められた唯一の家庭用医療機器。今後さらに農業や医療の分野への応用も期待されている。何より日本トリム社長さんのアンチエイジングっぷり! でもこれ……お高いんでしょ?」
「『電解水素水整水器 トリムイオンHYPER』は、本体標準価格が164,000円(税別・取り付け工事費別)となっております。しかし、1日21リットルずつ5年間使用したとすると、1リットルあたりのランニングコストはわずか約6円。市販のお水やウォーターサーバーより断然オトクかと」


ああ、北社長(cf.トーカ堂テレビショッピング)……やっぱり値段には意味があるんですね……。水素水の真実に触れてしまったがために、あらたな物欲地獄に陥るナンボー西澤であった。

【関連リンク】
株式会社日本トリム
http://www.nihon-trim.co.jp/
日本トリム 水の情報サイト「トリムタウン」
http://www.trimtown.jp/

西澤 千央(にしざわ ちひろ)
フリーランスライター。二児(男児)の母であるが、実家が近いのをいいことに母親仕事は手抜き気味。「散歩の達人」(交通新聞社) 「QuickJapan」(太田出版)「サイゾーウーマン」などで執筆中。