2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:最終版)

 3歳牝馬クラシック第2弾となるオークス(東京・芝2400m)が5月22日に開催される。

 桜花賞のあとには、その本番へ向けてのトライアル戦も行なわれ、フローラS(4月24日/東京・芝2000m)ではチェッキーノ、スイートピーS(5月1日/東京・芝1800m)ではジェラシーが勝利を飾った。

 そして、衝撃的なニュースが飛び込んできたのは、その直後だった。桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)を制したジュエラーが左前脚を骨折。オークスの"本命馬"がレースを目前にして戦列を離れてしまったのだ。

 桜花賞で1番人気に推されていた2歳女王メジャーエンブレムも、マイル路線に矛先を変えてオークスには不参加。大詰めを迎えて、3歳牝馬戦線の様相は桜花賞前とはガラリと一変した。

 今回は、こうした経過を踏まえて、オークスに向けての『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今回はオークスを目指す3歳牝馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、桜花賞2着のシンハライト。ジュエラーの離脱によって、一躍"主役"へと押し出される形となった。そうした経緯もあって、識者たちも全幅の信頼を寄せているわけではないようだが、本番でどんな走りを見せるのか、必見である。

○吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「血統的に無理使いができないタイプ。チューリップ賞(1着。3月5日/阪神・芝1600m)から桜花賞の間に接着装蹄(エクイロックス)に変わったのは、爪に不安が出てきた証拠です。それでも、桜花賞で僅差の2着と結果を出せたことは収穫と言えるでしょう。

 今回は、その桜花賞から中5週。初めての長距離輸送を考慮すると、次走への大きな上積みがあるかどうかは疑問ですが、レース後の反動は少なかったようで、この中間には坂路で順調に時計を出しています。前走同様、本番までにどれだけ攻めの調教ができるかがポイントになるでしょうね。

 また、体形や走法から距離延長がプラスになるとは言えませんが、折り合いがついて、自在性があるのは強み。出走予定のすべての馬が初めて経験する距離ですから、能力の差で難なくこなしてもおかしくありません。桜花賞前に『3強』と称された馬の中で、オークスに駒を進めるのは同馬だけ。無事、主役としての仕事を全うしてほしいと思います」

○市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「桜花賞馬がリタイアしても、桜花賞組の牙城は崩れないでしょう。メジャーエンブレム(桜花賞4着)が快勝したNHKマイルCの結果を見ても、それは明らかです。シンハライトにとっては、距離適性だけが"壁"になりますが、メジャーエンブレム不在でペースは落ち着くはず。正味、最後の600〜800mの瞬発力勝負になるなら、まったく問題ありません。シンハライトが、最もオークス馬に近い存在だと思います」

 2位は、フローラSの勝ち馬チェッキーノ。叔母に名牝シンコウラブリイ、全兄に重賞2勝のコディーノがいる良血馬が、一気に票を集めてランクインを果たした。母ハッピーパスはオークス7着。一族悲願のクラシック制覇なるか、注目を集めている。

○木南友輔氏(日刊スポーツ)
「この時期の牝馬は、距離適性うんぬんよりもモノを言うのは完成度。そういう意味では、血統的にスピード色、短距離色が濃くても、フローラSの勝ちっぷり、走破時計の優秀さからして、チェッキーノは上位に評価されるべき馬です。フローラSを大外枠から勝ったレースぶりからイメージしたのは、その後のオークスでもアパパネと同着Vを飾った2010年のサンテミリオン。アネモネS(1着。3月12日/中山・芝1600m)のあとは、『桜花賞に出てくれば面白いかな』と思う程度の存在でしたが、前走の内容で大きく評価を上げさせてもらいました」

○土屋真光氏(フリーライター)
「中山の芝1600m戦と東京の芝2000m戦では、求められるものがまったく異なりますが、それぞれを舞台としたアネモネSとフローラSを連勝。主役級が相次いで離脱する中で、そのレースセンスのよさから、チェッキーノが頂点まで駆け抜けていきそうなイメージが膨らみました。正直、フローラSではパールコード(2着)が頭ひとつ抜けていると見ていましたが、それを楽々と突き放した走りから、一気に勢力図を塗り替える存在になりうると思いました」

 3位は、ロッテンマイヤー。新星チェッキーノには抜かれたものの、前回よりもポイントを加算して順位をキープした。

○吉田氏
「久々の忘れな草賞(1着。4月10日/阪神・芝2000m)は、8〜9割程度の状態。楽な競馬だったとはいえ、それでいてしっかりと結果を残せたことが、オークスにつながると思いました。長いつなぎで、適度なクッション性があって、優れたスピード持続力が武器。胴長+脚長で、気性も素直と、クロフネ産駒らしくないのが特徴です。母父アグネスタキオンのよさがよく出ています。この中間には、坂路で好時計をマーク。オークスの舞台、さらに状態面の伸びしろを踏まえれば、楽しみな1頭です」

○本誌競馬班
「ビワハイジの一族で、叔母がブエナビスタという血統背景が魅力。大舞台での一発が期待できます」

 4位は、フラワーC(3月21日/中山・芝1800m)の覇者エンジェルフェイス。桜花賞をパスしてオークスへと向かうが、そのゆったりとしたローテンションは、吉と出るか、凶と出るか。

○木南氏
「フラワーCを勝ったあと、オークスに的を絞ったのはいいと思ったのですが、オークスへ直行というのは意外でした。それでも、ここ一番に向けてきっちり仕上げてくる藤原英昭厩舎。鞍上もルメール騎手で、非常に怖い1頭です。血統的に2400mは未知数ですが、桜花賞馬のジュエラー同様、500kg前後ある馬体からスケールの大きさを感じます。関東への輸送を経験している点も強みになるでしょう」

 5位は、桜花賞3着のアットザシーサイド。ただ、ポイントアップはジュエラー回避によるもので、識者たちの見解はいずれも辛めだった。

○市丸氏
「タイムフィルター指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では、シンハライトに次ぐ2位。しかし、能力差があって、1位逆転は難しいでしょう。この母系からは、マイラー、短距離馬、ダート馬が数多く出ている点も、オークスでは不安視されるところ。2着争いに加わるのも、やや厳しいかもしれません」

 その他、総合ランキングには入らなかったものの、有力馬がことごとく戦列を離れていく中で、何頭かの穴馬候補の名が識者たちから挙がってきた。

○木南氏
「完成度という点においては、桜花賞組にまったく及ばないのですが、血統面から断然の魅力を感じるのが、スイートピーSを勝ったジェラシー。近親にフサイチコンコルド、アンライバルド、ヴィクトリーらがいる血統で、芝2400mという舞台で大駆けが期待できます」

○土屋氏
「フロンテアクイーンは、クイーンC(2月13日/東京・芝1600m)ではメジャーエンブレムに突き放されたものの、最後までしっかり伸びて2着。久々のフローラSでも、2着馬とは差のない4着と健闘しました。出遅れ癖も解消されて、タフな流れになるようであれば、上位争いを演じる可能性は十分にあります」

 メジャーエンブレム、ジュエラーが不在のオークス。確かに"飛車角落ち"という感は否めない。それでも、3歳牝馬の世代トップを決める大一番である。見応えのある勝負が繰り広げられることを期待したい。

text by Sportiva