アーティストとしてはもちろん、役者としての活動も目覚ましい吉川晃司

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週刊プレイボーイ本誌で“飾らない裸のメッセージ”を語ってもらうフォト&インタビュー「裸の伝言」シリーズ。

発売中の最新22号でSeason2の1回目に登場するのは、アーティストとしてはもちろん、近年は役者としての活動も目覚ましい吉川晃司。

フォトグラファー・大村克巳とは旧知の仲だという、このふたりによるフォトセッションと、テーマを決めず、まるで夜の酒場で語り合っているかのような究極の雑談が始まるーー。

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大村 アーティストとして音楽業界に飛び込んで33年(1984年デビュー)、これだけ長く生き残っている中で、今の時代のエンターテイメントについてどうとらえてる?

吉川 今は精神性よりも物質的価値観が先行しちゃって、日本においてはすごく幼稚に、稚拙になってきたというか。いい大人がなんでこんなに子供対象なものばかり作っちゃってるんだろうな?と思うよね。先日、ドラマに出してもらったけど(『下町ロケット』)、おじいちゃんおばあちゃんに声かけられるわけよ。「見てましたよ、やっと見られるものがあった」って。テレビ見たくても、自分たちが見られるものが昨今なかったって言うんだよね。

そういう中で『プレイボーイ』はちゃんと頑張ってると思うね。最近なんて文春なんかのほうがよっぽど心変わりというかさ。そういうこと言うと狙われるかな? じゃあ、“センテンススプリング”に変えといて(笑)。

大村 まさに文春なんかそうだけど、世の中の興味がワイドショー的なものに寄ってるというのはあるよね。わかりやすくするために、とにかく叩いてみたり。

吉川 俺は「夢ののりしろ」という表現を使うんだけど、世の中息苦しくなって一回失敗したらもう、先はないぞみたいな世の中に変わっちゃったから、子供たちにとってみれば自由に遊べる空き地がなくなっちゃったんだよね。

例えば乙武さんなんかね、いい意味でマイノリティとして社会批判してくれてるなと思ってたわけ。あれだけハンデ背負っててさ、世の中の女性たちをたくさん幸せにしたんだから、ああまで集中攻撃されなくてもいいじゃねえかよっていうね。ハンデ克服してるじゃないですかと。

もちろん奥さんの立場になれば別次元だけど、俯瞰(ふかん)から大きい問題で考えると、他人が大騒ぎして叩く話でもないよね。ただ、俺は現政権がでえっ嫌いなもんだから、疑問と残念感は残るんだけど。今、自民党から出るのはやめましょうよって思うだけで。

大村 もっと大きな範囲の質問になるけど、吉川晃司として感じる、今の日本はどんな感じ?

吉川 閉塞(へいそく)感とか未来に陰りが見えるというか。このままいくと大して素敵な未来は待ってない感は満載だよね。俺らよりも、もっと若い世代のほうが強く感じてるだろうし。

でも、だからこそ頑張んないとさ。弱肉強食というのはどうしてもあるからね。生まれや育ちで人を差別することは絶対イカンし、カッコ悪いことだと思うんで俺は一切しないけど、生きざま、生き方によってどうしても個人に差ができるのは仕方がないんだよね。

あとはね、今の日本の人間社会に存在する、一部の既得権益層を太らせるために俺らが汗水垂らして働かされている構図というのが、大人になればなるほど見えてきた。そういう現実をちゃんと考えたほうがいいと思うね。

若い連中は政治家は誰がなっても一緒だと思ってるかもしれないけど、「キミたちの将来は今決められちゃうんだよ、もっと危機感を持とうよ」ってことを言いたいね。

大村 それを強く感じ始めたのは、いつ頃から?

吉川 ちゃんと声を大にしはじめたのは東北の大震災がきっかけでね。あの時の支援復旧の仕方とか、原発うんぬんの情報でも、一部のマスコミや既得権益層にだまされてたなっていうのを痛感させられたわけ。俺は愚かだったなと。その後悔と反省は大きかったし。

そもそもね、ロックをやりたいなんて思考する人間ってのはさ、マイノリティな立ち位置から体制の不純や、その建前の裏の噓に嚙(か)みつくってのが本望であるわけで。それはやっぱり見得(みえ)を切って生きていきたい類(たぐ)いの人種なわけだよね?

だったら、己の国が一番大変な時に圧力とか損得勘定で黙っちまったんじゃあ、本末転倒だろってなもんで。安全地帯ならポーズ決めて見得切ってるのに、それが戦場じゃ穴にこもってダンマリ決めてました、じゃあね。一度見得を切ったからにはまっとうしないとさ、ロックな人生もとんだお笑い草ということでさ。

◆この続きとPHOTOは『週刊プレイボーイ』22号(5月16日発売)「裸の伝言Season2 吉川晃司」にてご覧いただけます!

(撮影&インタビュー/大村克巳 スタイリング/黒田 領 ヘア&メイク/MAKOTO 衣装協力/トラフィック、ザ ヴィリディアン、S.O.S fp 恵比寿本店、シェラック プレス ルーム)

吉川晃司(KIKKAWA KOJI)

1965年広島県出身。1984年に映画『すかんぴんウォーク』と、その主題歌『モニカ』でデビュー。近年は音楽活動にとどまらず、俳優としても高い評価を得る。5月18日(水)にニューアルバム『WILD LIPS』がリリースされる。『KIKKAWA KOJI Live 2016』全国ツアーが6月よりスタート。8月27日(土)、28日(日)には東京体育館で公演予定。詳細はワーナーミュージック・ジャパンホームページでチェック。【http://wmg.jp/artist/kikkawa/】

大村克巳(OHMURA KATSUMI)

1965年静岡県出身。ニューヨーク・ソーホーのギャラリーデビューをきっかけに渡米。2007年には、草間彌生、杉本博らと作品展を開催。代表作は福山雅治15周年プロジェクト作品集『伝言』(集英社)など。ここ数年『NEWSZERO写真展』を開催している