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●Microsoft Edgeの拡張機能がWindowsストアから入手可能に
2016年5月10日(現地時間、日本は11日昼頃)、MicrosoftはWindows 10 Insider Preview ビルド14342を、ファーストリングを選択したPC向けにリリースした。本ビルドでは、Microsoft EdgeのリアルタイムWeb通知サポートや、拡張機能に関する仕様変更、一部のデザインやBash on Ubuntu on Windowsなどに改善が加わっている。

○Microsoft Edgeの拡張機能がWindowsストアから入手可能に

ビルド14342における大きな特徴はMicrosoft Edgeの更新だ。以前のビルドでは拡張機能をサポートしていたものの、ローカルストレージに展開し、Microsoft Edgeにインストールする仕組みだったが、本ビルドからはWindowsストアから導入するスタイルに変更している。それに伴い、先日からWindowsストアで公開していたものの、ビルド14332では動作しなかった「AdBlock」「AdBlock Plus」の正常動作を確認した。

ただし、拡張機能の管理についてはバグが残っており、任意の拡張機能をオフにするとMicrosoft Edgeが正常に動作しないという。その際はMicrosoft Edgeのプロセスを終了させてほしい、とMicrosoft Engineering Systems Team CVP Gabriel Aul氏は、公式ブログで注意をうながしている。

拡張機能以外では2つの更新がMicrosoft Edgeに含まれている。1つめはリアルタイムWeb通知。Aul氏はアクションセンターからメッセージを送信し、Microsoft Edgeで受け取れると説明しているが、こちらの動作は確認できなかった。もう1つはスワイプ操作の復活。Windows 8.1のWindowsストアアプリ版Internet Explorerは画面全体を左右にスワイプすることで、<戻る><進む>の操作を実現していたが、それをMicrosoft Edgeで復活させた形だ。本件については多くのフィードバックを受けたとAul氏は説明し、今回は見送られたWindows 10 Mobile Insider Preview上のMicrosoft Edgeにも組み込まれるという。

Bash on Ubuntu on Windowsも多くの改善が加わった。1つめはWSL(Windows Subsystem for Linux)がシンボリックリンクをサポート。筆者の環境でもマウントしたWindows 10のディレクトリ経由でシンボリックリンクを張れることを確認した。Aul氏はパッケージ管理ツールのnpmをサポートするシナリオのため加えた変更だと説明している。また、ユーザー名に日本語などの非ラテン系文字を使っている場合でも、Bashが使用可能になったという。執筆時点では未更新だったが、WSLに対する他の変更点はMSDNのリリースノートで確認できるそうだ。

Skype UWPプレビューには、黒色系テーマの追加とSkypeアカウントの切り替えが加わるという。前者は既に対応済みだったが、後者に関しては今後数週間内にリリースするバージョンで対応するようだ。なお、設定ページを開くと、詳細ログの表示機能や連絡先に関する設定などが新たに加わっている。また、WindowsInk WorkSpaceを開くためのアイコンや、Windows Defenderのアイコンが刷新された。

UAC(ユーザーアカウント制御)ダイアログの配色も変更しているが、それよりも[Win]+[Y]キーがようやく使用可能になっているのが大きなポイントだろう。昨今のPCを取り巻くサイバー攻撃を鑑みると、UACの無効化はリスクを抱えるため、最近のビルドでは[Tab]キーを3回押して<Yes>ボタンを選択していたが、これで簡単にレジストリエディターが起動できるようになった。また、Build 2016で発表したProject Romeのサポートも始まった。現時点では対応するWebサイトやアプリケーションが存在しないものの、Aul氏は今後提供すると説明している。本ビルドではこの他にも、Feedback Hubの使い勝手などを改善した。

●PC向け修正内容と既知の問題
○PC向け修正内容と既知の問題

さて、ここからはPC版およびスマートフォン版の主な改善点を紹介する。まずはPC版から。

・Windows 10 ProおよびEnterpriseエディションで、Desktop App Converter Preview(Project Centennial)が使用可能。
・Tencent製ゲームはプレイ可能に。
・GrooveミュージックやNetflixなどのDRM保護コンテンツ再生時に発生していた「DRM_E_INVALID_SECURESTORE_PASSWORD(0x8004C029)」「DRM_E_DOMAIN_STORE_GET_DATA(0x8004C503)」などのエラーを修正。
・S/PDIFやHDMI経由でオーディオ再生時にクラッシュする問題を修正。
・ロック画面からCortanaを呼び出す際のアニメーションやマイクに起因する問題を修正。
・高DPI環境でネットワークフライアウトのボタンが正しく描画されなかった問題を修正。
・指紋認証でWindows Helloを利用する際のメッセージが正しく表示されない問題を修正。
・260文字以上の長いURLを正しく開くように修正。
・「フォト」でズームなどの操作をマウスで正しく実行できない問題を修正。
・UACダイアログの<Yes>ボタンを[Alt]+[Y]キーで選択できるように修正。
・認証UIを更新し、ユーザー名およびパスワードのペースト入力を可能に。
・「設定」のバッテリーなどのアイコンデザインをさらに向上。
・アクションセンターのデザイン向上と175% DPI環境でタスクバーのアイコンが乱れてしまう問題を修正。
・デバイスの画面を90度回転させた場合、Windows InkのScreen Sketchが正しく動作しない問題を修正。
・通知領域の「時計」に加わったフライアウトのスケジュール機能が正しい時間で表示されなかった問題や、クリックしても上手く動作しない問題を修正。
・「位置設定」の通知で正しく設定できなかった問題を修正。
・UWPアプリケーションで[Ctrl]+[C]キーや[Ctrl]+[V]キーおよび[Alt]+[スペース]キーなどのショートカットキーが動作しない問題を修正。
・タブレットモードでバッテリーアイコンをタップしても、バッテリーフライアウトが開かない問題を修正。
・「Windowsストア」でナビゲーションパネルなどをクリックしても動作しない問題を修正。
・バックグラウンドオーディオタスクがボリュームコントロールに現れる問題を修正。
・エクスプローラーのクイックアクセスが正しく動作しない問題を修正。
・XboxアバターをCortanaで共有している場合にクラッシュする問題を修正。
・言語設定ページで検索ボックスが動作しない問題を修正。

次にPC版の主な既知の問題を紹介する。

・「Feedback Hub」は言語パックがインストールされていない場合、UIが英語になる。ただし、日本語環境では問題なかった。
・「Symantec Norton Antivirus」および「Symantec Norton Internet Security are」がインストールされているとBSoD(BlueScree of Death)が発生する。
・Tencentの「QQ」というアプリケーションがクラッシュする。
・Bashプロンプト(Bash on Ubuntu on Windows)は英語以外のキー入力を受け付けない(日本語入力が不可能)。
・<すべてのアプリ>の名前空間が正しく動作しない。検索ボックスの使用を推奨する。
・特定のアプリケーションで絵文字が四角い箱に変化する問題。

なお、Wi-Fiセンターによる連絡先ベースのネットワーク共有機能は削除された。その理由としてAul氏は、機能を維持するためのコード更新コストは使用率の低さを考えると価値がないと判断したと説明している。

阿久津良和(Cactus)

(阿久津良和)