心身を壊す原因に!「悪いストレス」への対処法

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理不尽な上司
夜泣きをして寝かせてくれない子ども
将来への漠然とした不安
などなど、私たちがストレスを感じる要因は様々だ。
しかし、ただ一つはっきりしているのは、そのストレスを溜めこみすぎると、いつかは心や体を壊す時が来るということ。

ストレスを溜めないこと、あるいはストレスを感じた時にどう対処するか、現代人にはもはや必須といえる「ストレス対策」について、『心を整えるマインドフルネスCDブック』(あさ出版刊)の著者、人見ルミさんにお話を聞いた。

――ストレスには「いいストレス」と「悪いストレス」があるという考えは新鮮でした。特に「悪いストレス」は自分では気づきにくいとのことでしたが、これに早期に気がつく方法はありますか?

人見:日々の生活の中で、自分の体の変化に気づくことです。いつもと比べてちょっと胃が痛い……となれば、おそらく悪いストレスがかかっていますし、肩がこっている、腰が痛いなど、無理をしたり、自分の心とそぐわないことをすれば、体がきちんと反応してくれています。

眠れない、頭が痛いなど、体調が悪い時には、自分のライフスタイルや残業が多すぎないか、食べ過ぎ、飲みすぎていないか?などに気づきやすいのです。

常に自分自身の体の内部に気づいてあげて、ストレッチなどをしてみると、「今日は硬いなあ」「今日は肩が楽だ」などわかってきます。体に対して無視をしないで優しく見守ってあげていただければ早期にわかるようになります。

――「将来の不安」は「悪いストレス」として書かれていました。これはなかなか自分の中で整理をつけるのが難しい類の不安だといえますが、どのように対処していけばいいのでしょうか。

人見:やみくもに将来を不安がっていても、何の解決にはならないとまず認識することです。

今回の熊本の地震のように、災害はいつ起こるかわかりませんし、日本だけではない世界の情勢によっても、私たちの未来は変わってきます。
毎日の生活の中で、「今日、対処できること」「今日、この日に精一杯できること」を最大限に行ってゆくことでしか、未来は作れません。とはいっても人間ですから、今日を点数づけしても80点の日もあれば、65点の日もあるでしょう。
だとしたら、翌日は自分自身に1点でも多く褒めてあげられるかを考え実行することだけしかできることはありません。
明日の不安を考えるちょっと前に、今日一日を笑顔で最高のマインドで全うする。これしかないのではないでしょうか?

――「今、ここ」を意識する、ということは頭では理解できますがなかなあ実践するのは難しそうです。これを実践するためのコツのようなものがあれば教えていただきたいです。

人見:呼吸の出入りにしっかりと集中すること。これだけです。
呼吸をしない人はいません。今、呼吸を鼻から吸って、ゆっくりと長く吐いていく。
その行為そのものと一つになっている時、「今、ここ」にしかいられません。

――本にも書かれていましたが、有名人、著名人の中には瞑想を取り入れている人が多くいますし、生活の中に瞑想を取り入れているという人もよく耳にします。
今後、習慣として瞑想を取り入れようとしている人に対してアドバイスなどがありましたらお願いいたします。


人見:忙しいビジネスパーソンや経営者など、多くの時間を割くことはできません。
無理に毎日継続しようと思わないことです。

どこでも、いつでもできると気楽に考え、電車の中で目を閉じて、3〜5分。リラックスをすること。その時に、スマホなどはカバンにしまってみないこと。
呼吸の出入りに集中すること。
お風呂に入っているとき、3分だけ、半眼か目を閉じて、リラックスすること。

湧き上がる雑念に対して、追いやったりせずに、「こんなことを考えている」「こういう感情がある」と事実を観察するだけです。

座禅を組むなら、お風呂上りのさっぱりしたとき。
土日の朝、よく眠れた後など、朝日が昇ってくるころもいいでしょう。
自然の中で、風に吹かれながらでもいいです。近くに神社があるなら、その境内など。
超多忙を極める経営者たちほど、上手にすきま時間を使っているので、あまりこだわらずいつでも、どこでもと考えていいでしょう。

――また、呼吸と精神状態との関係についても詳しく書かれていました。「深呼吸をすると落ち着く」というのは確かにその通りなのですが、考えてみると不思議な気もします。なぜ呼吸を深くすると心のざわつきが取れてくるのでしょうか。

人見:深呼吸を3〜5分続けていると、脳波測定をするとあきらかに脳波がβ波からα波に変わるのです。目を閉じて行えばさらに集中するので、α波が出やすくなります。特にミッドα波(7、8Hz)は、リラックスしていて穏やかな気分でいながら、集中しているときに出る脳波です。
Β波は、イライラしていたり、忙しかったり雑念だらけのときに出るのですが、こういう脳波のときに、人は精神状態が不安定になります。

脳波がリラックスすれば、感情的にも自然と穏やかになるわけです。つまり呼吸をゆったりさせることは感情に結びついているといえるのです。

――最後になりますが、自分の感情のコントロールがうまくできずに悩んでいる人にメッセージやアドバイスをお願いできればと思います。

脳波:一番簡単で、誰でもできることは、息を長くゆっくり吐く癖をつけることです。
そのときに、「自分は今、こういう感情でいるなあ」「今、私、イライラしているなあ」と観察します。

腹のたったときに、いきなりメールを返したり、言葉を返したり、反応をしないことです。
90秒だけ、その現場から離れて深呼吸をしてください。

奇跡の90秒ルールといわれるくらい、90秒たては、感情はほぼ収まると言われています。
毎日、通勤時にゆったり呼吸。仕事の合間、イライラしたときにゆったり呼吸を取り入れて自分の心がどう変化しているかを感じてみてください。
必ず大きな変化に気づくはずです。そして、自分自身の笑顔が増えたような気がするはずです。
(新刊JP編集部)