2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第5弾)

 牡馬クラシック三冠の第1弾となるGI皐月賞(中山・芝2000m)が4月17日に行なわれた。

 3戦無敗の高額馬サトノダイヤモンドに、同じく無傷の3連勝で前哨戦のGII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)を制したマカヒキ、そして2歳王者のリオンディーズと、戦前はこの「3強」の争いと目されていた。だが、強烈な決め手を繰り出して頂点に立ったのは、単勝8番人気のディーマジェスティ。"春の嵐"が吹き荒れた当日の天候同様、波乱の決着となった。

 前半1000mが58秒4というハイペースの中、先行したリオンディーズに最後まで押し切る余力は残っていなかった。おまけに、同馬は直線で斜行。その影響を受けたサトノダイヤモンドは3着にとどまり、リオンディーズ自身も4着に入線しながら、エアスピネルの進路を妨害したとして5着に降着した。「3強」の中では、後方待機から直線大外を強襲してきたマカヒキが2着と最先着を果たした。

 桜花賞に続いて、人気馬が沈んだ皐月賞。この結果を踏まえて、3歳の頂上決戦となるGI日本ダービー(5月29日/東京・芝2400m)に向けての『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、皐月賞を勝ったディーマジェスティと、2着マカヒキの2頭が同ポイントで分け合う形となった。共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)から直行で皐月賞を制したディーマジェスティ。これで、一昨年のイスラボニータ、昨年のドゥラメンテと、同じローテーションから3年連続で皐月賞馬が誕生したことになる。

○市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「超ハイペースとなった皐月賞。その展開を利して、後方で脚をためて直線大外から差してきたディーマジェスティとマカヒキが1、2着馬となりました。とはいえ、このペースの中、34秒0、33秒9という脚を使った1、2着馬は、まさに異次元の競馬をしたと言えるのではないでしょうか。これだけハイペースになると、タイムが出るのは当然ですが、皐月賞レコードとなる1分57秒9という時計には驚かされました。当然、TF指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)は過去最高です。

 ディーマジェスティは、マカヒキより少し前に位置して、3角から大外を回って徐々に進出。直線に入って、一旦は『ここまでかな......』と思わせるところもありましたが、そこからもう一度伸びて完勝。いやはや、恐れ入りました、と言うしかありません。これで3連勝。当然、ダービーの有力候補に名乗りをあげたと言えます」

○吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「マカヒキやサトノダイヤモンドと同じく、デビュー以来すべてのレースで最速の上がりをマークしながら、8番人気にとどまったディーマジェスティ。デビュー3戦目にやっと未勝利戦を勝ち上がったこと、共同通信杯の勝ち馬とはいえ、人気馬が凡走しての結果だったことなどが、高い評価につながらなかったのでしょう。レースではその低評価に反発するかのように、ディープ産駒らしい爆発力を発揮。3角過ぎからの手応えを見ても、一度噴かして伸びるタイプですが、直線を迎えてマカヒキを一気に突き放し、前を捕まえたときの脚は迫力十分でした」

 一方のマカヒキも、直線では大外を矢のように伸びてきて猛追。戦前は乗り替わりなどが不安視されたものの、能力の高さを改めて示した。

○木南友輔氏(日刊スポーツ)
「皐月賞前日の中山競馬場厩舎地区において、間近に見たマカヒキの、馬体から尻尾までの美しさが強烈な印象として残っています。そして、皐月賞で一番いい脚を使った馬を狙うのが、ダービーにおける常套手段。現状、ダービーの主役を張るのは、この馬が一番ふさわしいと思います」

○吉田氏
「弥生賞後の乗り出しが早く、皐月賞に向けて攻めの調教を貫いたマカヒキ。その分、トモが凝縮されたというか、少しこぢんまりした造りになっていましたが、それはおそらく、前腕のボリュームが増したことも影響しているのかもしれません。ともあれ、意欲的な攻め過程を経て、再度の長距離輸送をこなして馬体重2kg増は立派です。

 レースでは、勝ったディーマジェスティに4角から直線前半で離されてしまったのが誤算。左手前に変えるのが、若干遅れてしまったのでしょう。坂の途中からグイグイと盛り返しているだけに、やや悔やまれるところです。それでもこれで、4戦連続で最速上がりをマーク。もう少しペースが落ち着きそうなダービーでは、間違いなく緩急が生まれます。その流れは、スッと動けないディーマジェスティよりも、瞬時に反応できるマカヒキのほうが向いているのではないでしょうか」

 3位は、リオンディーズ。皐月賞では「3強」で唯一馬券圏外からも外れてランクを落としたが、見方によっては依然上位の3位をキープしたとも言える。敗れてもなお、高い評価を保っているということか。

○土屋真光氏(フリーライター)
「前哨戦の弥生賞で早めに抜け出す競馬をして脚を計ったにもかかわらず、皐月賞では思わぬ展開となって、それを生かし切れませんでした。しかも、直線で斜行して降着。後味の悪い結果を残してしまいました。それでも、大外枠からハイペースで飛ばして、最後までズルズルと下がることなく、踏ん張っていました。普通のペースだったら......と、思わせる内容でした。折り合い面に課題は残るものの、持てる力をすべて発揮できれば、この馬が一番ダービー馬に近い存在だと思います」

○木南氏
「皐月賞では、鞍上が自信を持って乗りすぎたかもしれません。鼻を切ったリスペクトアース陣営の作戦は、速いペースでの大逃げだったと思うのですが、それをさせずにずっとついていきましたからね。しかしそれでいて、最後まで粘ったのはさすが。この馬の底知れぬポテンシャルを感じました。距離に関しては、まったく不安がない馬。ダービーでは巻き返してくれるでしょう」

 4位は、皐月賞3着に終わったサトノダイヤモンド。GIIIきさらぎ賞(2月7日/京都・芝1800m)からの直行組は勝てない、というジンクスを破ることはできなかった。

○市丸氏
「サトノダイヤモンドは、勝ちにいく競馬をして、勝負どころで不利を受けての結果。『負けて強し』と言えるでしょう。内の馬はきっちり差していますから、ハイペースに乗じて外から伸びてきた馬にかわされたのは、仕方がないと思います。調教でもダービーが大目標という印象でしたし、皐月賞3着でも、ダービー制覇の可能性が最も高いのはこの馬なのではないでしょうか」

 5位は、スマートオーディンが再度ランクイン。共同通信杯では凡走(6着)したものの、続くGIII毎日杯(1着。3月26日/阪神・芝1800m)ではしっかりと立て直して楽勝。力のあるところを再度明示した。

○木南氏
「皐月賞には目もくれず、厩舎定番の変則2冠ローテ(NHKマイルC→ダービー)でもなく、GII京都新聞杯(5月7日/京都・芝2200m)からダービーへ、という道筋を選択したことに勝負気配を感じます。毎日杯で改めて非凡な瞬発力を見せてくれましたし、今年の共同通信杯のレベルが低くなかったことはディーマジェスティが皐月賞で証明してくれました。松田国英師のダービー3勝目があってもおかしくありません」

 ダービーに向けてはこれから、前述の京都新聞杯のほか、GII青葉賞(4月30日/東京・芝2400m)、オープン特別のプリンシパルステークス(5月7日/東京・芝2000m)と、3つのステップレースがある。それぞれのレースにも、力のある馬たちがこぞって出走予定。混戦の様相を呈してきた"ハイレベルな3歳牡馬"戦線は、大一番を前にしてますます熾烈さを増していきそうだ。

text by Sportiva