2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第5弾)

 牝馬クラシック第1弾の桜花賞(阪神・芝1600m)が4月10日に行なわれた。断然人気の2歳女王メジャーエンブレムがまさかの4着。代わって、桜の女王の座に就いたのは、新種牡馬ヴィクトワールピサ産駒のジュエラーだった。

 トライアル戦のGIIIチューリップ賞(3月5日/阪神・芝1600m)に続いて、ジュエラーと再び激闘を演じたシンハライトがハナ差の2着。その上位2頭から1馬身4分の3差の3着には、GIIフィリーズレビュー(3月13日/阪神・芝1400m)2着で出走権を得たアットザシーサイドが入った。

 波乱の決着となった桜花賞。人気で敗れたメジャーエンブレムはオークス(5月22日/東京・芝2400m)ではなく、GINHKマイルカップ(5月8日/東京・芝1600m)へと矛先を変えた。今回はこれらの結果や経過を踏まえて、牝馬クラシック第2弾となるオークスに向けての『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、桜花賞を制したジュエラー。前哨戦のチューリップ賞惜敗の雪辱を果たして、世代のトップに躍り出た。

○吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「自分の形で運べずに最悪の競馬となったメジャーエンブレム。そのメジャーエンブレムをマークして勝ちに動いたシンハイライト。これらに対して、ジュエラーは最後まで自分のスタイルを貫きました。それが、桜花賞の勝利につながったと言えるでしょう。

 また、ジュエラーは、パドックではチャカついて暴れるような性格のため、スタートが今ひとつ。跳びが大きい走法は非常に個性的で、のびのびと走らせたほうがパフォーマンスが上がるタイプ。緩んだペースの桜花賞では4角で団子状態となり、最後は瞬発力勝負になったことも大きかったと思います。

 500kgに迫る雄大な馬体ながら、緩みもなく、スラッとしています。胴長でストライドを稼げる走法はオークスでも魅力。広いコースは歓迎のクチで、気性的な不安を差し引いても、他馬を若干リードしていると思います」

○市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「桜花賞ではシンハライトがいい目標になったと言えますが、上がり3ハロン33秒0という破壊力は抜群。追い出しをギリギリまで我慢して、素晴らしい瞬発力を見せてくれました。ただ、全体の時計的には想定の範囲内。史上空前の強烈なレースになることを期待していたため、結果としてはやや物足りなさを感じています。

 次のオークスですが、桜花賞上位組の中では、勝ったジュエラーが最も距離の融通が利かないように見えます。スタミナ勝負になったらきついかもしれません。とはいえ、近年のオークスではスローの上がり勝負となって距離適性が問われないことが多いので、そうなると十分に出番はあります」

○土屋真光氏(フリーライター)
「大一番でしっかりと結果を出せたのは、2戦目から騎乗してきた鞍上(ミルコ・デムーロ騎手)によるものも大きいと思います。また、高松宮記念のビッグアーサーでGI初勝利を飾った厩舎(藤岡健一厩舎)の勢いも感じられました。

 オークスに向けては、半姉ワンカラット(父ファルブラヴ)のイメージから距離延長はマイナスに見えますが、ハーツクライを父に持つ半姉サンシャインは2000m前後の重賞で好走しています。加えて、ナムラシングン(牡3歳)やジョルジュサンク(牡3歳)など、ヴィクトワールピサ産駒は中距離戦で結果を出しているので、それほど心配しなくてもいいでしょう」

 2位は、桜花賞でわずかハナ差に泣いたシンハライト。ポイント数は前回よりも4ポイントアップした。

○吉田氏
「血統的には無理使いができないタイプですが、チューリップ賞から中4週とデビュー以来最も短い間隔で挑んだ桜花賞で見事2着。攻めの調整に徹して、「負けて強し」という内容の濃い競馬を見せてくれました。およそ2cmという勝ち馬との差は、単なる展開のアヤ。ジュエラーとはまだ勝負づけは済んでいないと思います。

 オークスまでは中5週と、若干ゆとりがあるのはプラス材料。ただし、桜花賞の反動がないか、中間の気配はきちんとチェックすべきでしょう。体型や走法から距離延長はベストとは言えませんが、折り合いがついて自在性があることを考えれば、2400m戦でも同世代相手なら勝ち負けできるのではないでしょうか」

○木南友輔氏(日刊スポーツ)
「母シンハリーズの子は、牡馬も、牝馬もクラシックに出走していますが、これまでの産駒は『トライアルホース』と呼ばれてしまうような戦績にとどまっていました。それが今回、陣営にとっては悔しいハナ差(2着)だったと思いますが、ようやくクラシック本番でも結果を出しました。その点は高く評価されるべきでしょう。ジュエラーよりも自在性があり、オークスでも好勝負が期待できます」

○市丸氏
「タイムフィルター指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では、シンハライトもジュエラーと同点で1位。桜花賞では出負けせずに中団を追走し、4角を回ってから仕掛けて、内のメジャーエンブレムを抜き去ったときにはほぼ"勝った"という態勢を作りました。最後にジュエラーに差されたのは、目標にされた分で仕方ないでしょう。ジュエラーとは能力的には互角。距離適性では、上回っていると思います」

 3位は、桜花賞当日に行なわれたオープン特別の忘れな草賞(芝2000m)を快勝したロッテンマイヤー。上位2頭と差は開いたものの、近親にブエナビスタらがいる良血が、オークスを前にして急浮上してきた。

○吉田氏
「新馬勝ちのあと、メジャーエンブレムが圧勝したクイーンCで2着争いを演じました(結果は3着)。中団で折り合って、鋭い反応を見せた内容には光るものがありました。間隔を空けて挑んだ忘れな草賞では、メンバーに恵まれたとはいえ、あっさりと逃げ切り勝ち。まだ8〜9割程度の状態と考えれば、十分に評価できます。

 長いつなぎに、適度なクッション性があって、優れたスピード持続力が持ち味。胴長+脚長の体型、気性が素直と、クロフネ産駒らしくないのも特徴で、母父のアグネスタキオンのよさが強く出ている印象があります。そうした要素から、オークスが楽しみな存在と言えます」

 4位に入ったのも"新顔"のエンジェルフェイス。GIIIフラワーC(3月21日/中山・芝1800m)を逃げ切って、2連勝を飾った上がり馬だ。

○木南氏
「フラワーCから桜花賞を見送ってオークスへ、というのはオークスでの好走パターンのひとつ。さらに鞍上は、オークスを得意とする福永祐一騎手。全姉レディアルバローザもGIで好走歴があり、絶対に軽視できない1頭です」

 5位は3頭。桜花賞で3着となったアットザシーサイド、フラワーC2着のゲッカコウ、そして桜花賞以前に、唯一メジャーエンブレムに土をつけている(※)デンコウアンジュがランクインした。
※2歳時の重賞アルテミスS。2015年10月31日/東京・芝1600m。

○市丸氏
「アットザシーサイドは、桜花賞上位2頭とは少し力の差があり、血統的にもマイラー。オークスを迎えるにあたって、ドンとこいとは言えません。それでも、スローの瞬発力勝負なら、桜花賞の再現もあるでしょう」

○木南氏
「桜花賞を見送ってオークスに的を絞ってきたゲッカコウは、2勝目を挙げるまでに時間を要しましたが、牡馬相手に戦ってきた戦歴が評価できます。さらに、新馬戦から続けてきた向正面から早めにまくる戦法が、スタミナの高さを証明しています。メジャーエンブレムが不在となれば、自在性を持つ面白い1頭だと思います」

○土屋氏
「デンコウアンジュは、昨年のアルテミスSで息の長い末脚を繰り出してメジャーエンブレムを撃破。レース後、引き上げてきてからの息の入りの早さに、オークスでの好走を予感させました。桜花賞までの成績は度外視して、狙いたい1頭です」

 3歳牝馬クラシック路線は、桜花賞を終えて「1強」メジャーエンブレムといった様相から一転、混戦ムードが漂い始めている。オークスに向けては、桜花賞上位勢にも距離不安がささやかれているからだ。今後のトライアル戦の動向も、入念にチェックする必要がありそうだ。

スポルティーバ●文 text by Sportiva