ゲートインが間近に迫ってきたGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)。牡馬クラシックの開幕戦となるこのレースは「近年まれに見るハイレベルな戦い」と言われている。その中心にいるのが、「3強」と目される大物3歳馬たちだ。

 まずは、3戦3勝で本番に挑む2頭。サトノダイヤモンド(父ディープインパクト)と、マカヒキ(父ディープインパクト)である。サトノダイヤモンドはGIIIきさらぎ賞(2月7日/京都・芝1800m)を圧勝し、マカヒキはGII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)で強敵を下してきた。それぞれ、底を見せていないディープ産駒だ。

 もう1頭は、昨年のGI朝日杯フューチュリティS(2015年12月20日/阪神・芝1600m)の覇者リオンディーズ(父キングカメハメハ)。前走の弥生賞ではマカヒキの2着に敗れたものの、その差はわずかクビ。史上初めてキャリア2戦目で朝日杯を制した馬であり、ポテンシャルの高さは相当なものだ。

 はたして、この3頭がどの順番でゴール板を通過するのか――それが今年の焦点となっている。が、実際にこの「3強」で決まりなのか。「3強」に割って入る馬は本当にいないのだろうか。

 そこで、皐月賞の歴史を振り返って"3強崩し"の可能性を探ってみたい。

 過去10年において、戦前に「3強」と評された年が3度ある。その際の結果は次のとおり。


◆2009年皐月賞
1着=アンライバルド(3番人気)
2着=トライアンフマーチ(8番人気)
3着=セイウンワンダー(4番人気)
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13着=リーチザクラウン(2番人気)
14着=ロジユニヴァース(1番人気)


◆2013年皐月賞
1着=ロゴタイプ(1番人気)
2着=エピファネイア(2番人気)
3着=コディーノ(3番人気)


◆2015年皐月賞
1着=ドゥラメンテ(3番人気)
2着=リアルスティール(2番人気)
3着=キタサンブラック(4番人気)
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6着=サトノクラウン(1番人気)

 以上のように、「3強」の牙城が崩れたのは2回。その立役者のうち、2頭は4番人気という「3強に次ぐ存在」だった。しかもその2頭を見ると、例年なら十分に主役を張れる実績の持ち主だったことがわかる。

 例えば、2009年に3着に入ったセイウンワンダーは、朝日杯FSを3連勝で制した"2歳王者"。前哨戦の弥生賞で8着に敗れたことで評価を下げたが、巻き返すだけの地力は十分に備えていたのだ。

 また、昨年3着のキタサンブラックは、デビューから無傷の3連勝で皐月賞トライアルのGIIスプリングS(中山・芝1800m)を制覇。有力3頭に比べてやや地味な血統背景もあって人気にならなかったが、3連勝という実績を考えれば、本来"主役"扱いでもいい存在だった。

 今年も「3強」崩しの望みを託すなら、まずは上記2頭のようなキャリアを持った馬だろう。

 キタサンブラックに似たタイプで言えば、アドマイヤダイオウ(父ディープインパクト)と、マウントロブソン(父ディープインパクト)といったところか。

 ともに無敗ではないが、未勝利からトライアル戦まで目下3連勝と、本番へ向けての勢いがある。アドマイヤダイオウは若葉S(3月19日/阪神・芝2000m)を、マウントロブソンはスプリングS(3月20日)を勝利して、例年ならもっと注目されてもいい存在。4番人気の評価を上回って3着入線を果たしたキタサンブラック同様、「3強」崩しがあってもおかしくない。

 一方、セイウンワンダーのような馬は、今年の出走馬の中にはいないのだろうか。朝日杯FSの覇者は「3強」の一角であるリオンディーズだが、そのリオンディーズと激戦を演じて、勝ちに等しい内容で2着となった馬がいる。エアスピネル(父キングカメハメハ)だ。

 同馬も朝日杯FS後、復帰戦で臨んだ弥生賞でマカヒキ、リオンディーズに離されての3着と敗戦。セイウンワンダーと同じく、本番を前にしてさらに人気を落とした感がある。

 とはいえ、弥生賞敗戦後、鞍上の武豊騎手は「普通なら勝てるレベルの内容で3着だった。不思議な感覚」とコメント。名手お墨付きの能力の持ち主である。展開次第では「3強」の一角を崩して、3着までに食い込むことは可能だろう。

 なお"3強崩し"を遂げた馬にはあと、2009年に2着と好走したトライアンフマーチがいる。同馬は、展開が味方しての大駆けだった。先行したリーチザクラウンやロジユニヴァースがハイペースに飲まれて沈む中、最後方から追い込んできたのである。

 ただ今年の場合、「3強」はいずれも中団から後方待機の差し馬。もしトライアンフマーチのように展開を利して上位に食い込むとすれば、「3強」が後方でけん制し合っている間に逃げ込むか、先行して早めに抜け出せる馬だろう。

 その観点から候補馬をピックアップすると、先手が取れる前述のエアスピネル。さらに人気薄で考えれば、新馬戦で逃げ切り勝ちを収め、GIII京成杯(1月17日/中山・芝2000m)でも先行して快勝したプロフェット(父ハービンジャー)あたりか。

「3強」の争いに沸く皐月賞だが、何が起こるかわからないのがクラシック。先週の桜花賞でも、断然人気のメジャーエンブレムが4着に沈んだ。皐月賞でも同じことが起こらないとは限らない。

河合力●文 text by Kawai Chikara