総合格闘技デビューする村田夏南子。フィジカルの強さはこの肉体が証明している

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昨年末のMMA(総合格闘技)イベント『RIZIN』では“シュートボクシングの女神”RENAが脚光を浴びたが、また新たなニューヒロインが誕生しそうだ。

『トップ Presents RIZIN.1』(4月17日、名古屋・日本ガイシホール)でMMAデビューする村田夏南子(かなこ)だ。

村田は中学時代に柔道で日本一となり、その後、レスリングに転向して“女王”吉田沙保里を二度にわたって、あと一歩まで追い込んだこともある強豪。練習を見学させてもらうと、当たり前のように自分より何十kgも重いプロの男性ファイターにスピーディなタックルを決め、テイクダウンに持ち込んでいた。

その素顔とともに、彼女がこれからめざすものとは…。

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─MMAに挑戦するきっかけは?

村田 UFCで活躍するロンダ・ラウジーに憧れたのがきっかけですね。MMAに転向する前、ロンダは柔道家として日本のコマツに留学したことがあって、当時の話をコマツの選手から聞いたこともあります。

─ロンダといえば、女子MMAの人気を世界に広めた立役者。村田選手はロンダの写真をスマホの待ち受け画面にしているとか…。

村田 RIZINの榊原信行代表に初めて会った時、「あっ、それロンダ・ラウジーじゃない?」と突っ込まれました。結構いろいろな人に同じような指摘を受けたので、今は違う待ち受け画面にしてますけど(苦笑)。

─これまでにMMAを見た経験は?

村田 5歳上のお姉ちゃんが結構好きで、さいたまスーパーアリーナとかに一緒に行っていたんですよ。自分はファンとかではなかったけど、見ているのは好きでしたね。

─では今回、RIZINに参戦することになった経緯は?

村田 今春、日大を卒業したんですけど、進路指導の際、レスリング部の富山英明監督に「MMAをやりたい」と相談したら、日本レスリング協会の福田富昭会長にすぐ電話してくれたんですよ。福田会長からは「根性をつけろ」というアドバイスをいただきました。それで、昨年9月からMMAの練習を始めています。

─これからはMMAに専念? それとも、レスリングとの二刀流?

村田 レスリングに関しての今後は何も決まっていません。(オリンピックイヤーである)今年は世界選手権がないと聞いているので、とりあえずMMAに専念したいと思っています。

─レスリングの動きを応用できる部分もあるけど、MMAにフォールはありません。

村田 そうなんですよね。相手をキープ(制する)だけでは全然意味がない。相手の動きに対して自分がバランスをとりながら攻めるという流れは難しいけど、徐々に身体でわかってきた感じがします。

─初体験となる打撃のほうは?

村田 ミットを打っていても最初はパスッという鈍い音しか鳴らなかったけど、最近はパーンという響きのいい音が出るようになりました。

─初めて打撃をやると、相手のパンチに対して思わず目を瞑(つむ)ってしまったりしがちですが…。

村田 じいちゃん(愛媛県で柔道の指導者でもあった村田清人さん)とかに普通にビンタされたり、竹刀で叩かれたりしていたので打撃の痛みには慣れています(笑)。

─村田家には昭和のスポ根伝説が息づいていたんですね(笑)。練習中の失敗談なんかは?

村田 タックルにヒザを合わされてKOされたことがありましたね。最近ではミドルキックを思い切りレバーにもらって悶絶しました。

─それでも、立ち上がって再び向かっていける?

村田 やっぱり倒されたら悔しいじゃないですか。

─泣いたことは?

村田 やられたら、いつもクソッと思いますよ。

─昔から負けず嫌いだった?

村田 ハイ、昔も今もずっとそうです。中学に進学するまでは結構、実家に警察が来ていたんですよ。

─な、何をしたの!?

村田 お姉ちゃんとの兄弟喧嘩が原因です。途中から警察も「また村田さんですか」と呆れていました。当時はお姉ちゃんのほうが強かったので、私は噛みついたり、後ろから殴りかかったりとか卑怯なことばかりしていました。もう私は覚えていないけど、お姉ちゃんの足には私に噛みつかれた痕(あと)が残っているみたい(笑)。

─度を超えた負けず嫌いですね。

村田 学生時代、練習場まで自転車で移動していたけど、疲れていたらペダルを漕ぐのが億劫(おっくう)になるじゃないですか。でも、誰かに抜かれたら絶対に抜き返してやると思っていましたね。

─かつてレスリングでは吉田沙保里選手を二度も追い込んで脚光を浴びましたが、追い込んだだけでは満足していない?

村田 吉田さんとの試合は映像を見返すこともないですね。負けは負け。自分が途中までリードしたくらいで、なんなのかなと思います。試合が終わった直後は「こうすれば」「ああすれば」と考えましたけどね。

─今回のMMA挑戦について吉田選手はツイッターで「頑張ってね」と呟いていましたね。

村田 今年3月には練習場で吉田さんから「頑張ってね」「ケガだけは気をつけて」と直接声をかけていただきました。

─ところで、現在の練習スケジュールは?

村田 週6回、(日本のMMA団体DEEPのフェザー級王者でもある)横田一則さんに教えてもらいながら、一般向けの打撃クラスやMMAクラスでも練習しています。

─その横田さんは「村田はプロテインを混ぜてパンケーキを作っている」というエピソードを打ち明けてくれました。そこまでして強くなりたい?

村田 友達と一緒にパンケーキを作ろうという時にたまたまアミノ酸のプロテインを持っていたので、「これも入れてみる?」という話になったんですよ。入れた量が多すぎたのか、パンケーキはアミノ酸の味がしました。とりあえずもういいかなと思っています(笑)。

─デビュー戦で激突するナタリア・デニソヴァ(ロシア)は男子にも勝ったことがあるという選手です。

村田 試合映像は1試合だけ見たけど、そんなに強いという印象はなかったです。

─過去にレスリングや柔道でロシア代表と対戦した経験もあると思いますが、トータルで見たらロシアンファイターの傾向は?

村田 結構、手足が長くて、細いけど力があるというイメージがありますね。デニソヴァもそんな筋(すじ)力を持っていると思います。

─現状ではどんな試合展開を予想します?

村田 自分からテイクダウンをとりにいって、パウンドや関節技を狙いたいです。

─では最後に、デビュー戦以降の活動の青写真は…。

村田 まだMMAでは実戦経験がないので、実際にやってみなければわからないことも多々あると思うんですよ。もっともっと経験を積んで、UFCに一歩でも近づきたいと思います。

●村田夏南子(むらた・かなこ)

1993年生まれ、愛媛県出身。幼少期より柔道を学び小学校で全国3位になる。高校時代に吉田沙保里に憧れレスリングへ転向。日本大学に進学した2012年には全日本選手権で初優勝した

●『トップ Presents RIZIN.1』 

4月17日(日)/日本ガイシホール/14:00開場 15:00開始 ※対戦カードなど最新情報はRIZINオフィシャルHPにて

(取材・文/布施鋼治 撮影/保高幸子)