2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第4弾)

 牡馬クラシック第1弾の皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)が近づいてきた。

 その本番を前にして、3月には注目のトライアル戦が東西で開催された。関東では、3月6日にGII弥生賞(中山・芝2000m)が、3月20日にGIIスプリングS(中山・芝1800m)が行なわれ、関西では3月19日にオープン特別の若葉S(阪神・芝2000m)が行なわれた。

 2歳王者のリオンディーズが出走した弥生賞は、そのリオンディーズをゴール前で差し切ったマカヒキが快勝。デビュー3戦3勝で本番に挑む。

 スプリングSでは、ディープインパクト産駒のマウントロブソンが勝利。未勝利勝ちから3連勝を飾って、皐月賞の出走権を獲得した。

 また、若葉Sはナムラシングンとの叩き合いを制したアドマイヤダイオウが勝利。こちらも未勝利、500万条件、オープン特別と3連勝を決めて、東上切符を手にした。

 今回は、これらの結果と経過を踏まえて、牡馬クラシック戦線を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、リオンディーズ。前回2位から1位に返り咲いた。復帰戦となる弥生賞では2着に敗れたものの、後方一気を決めたGI朝日杯フューチュリティS(2015年12月20日/阪神・芝1600m)とは一転、積極的な競馬を披露。負けたのは、勝ったマカヒキのいい目標になってしまったもので、改めて地力の高さを証明した。

○土屋真光(フリーライター)
「雄大なフットワークが売りのリオンディーズ。中山の皐月賞では、むしろその特長が仇(あだ)になるのではないかと思っていましたが、好位につけて最後まで粘った弥生賞の走りを見て、考えを改めました。かかった面があるものの、弥生賞は完全に本番を見据えての試走。その前週、中山記念でドゥラメンテに騎乗したミルコ・デムーロ騎手が、同馬が自ら動いたらどこまで脚を使えるのか確認したのと、まるで同じでした。また、同騎手の重賞連続勝利記録が前日のチューリップ賞で途絶え、弥生賞で遮二無二勝ちにいかなかったことも、本番に向けてプラスになると思います」

○木南友輔氏(日刊スポーツ)
「新馬戦はかかり気味ながら快勝。朝日杯FSでは最後方待機から直線一気を決めました。そして、3戦目の弥生賞では好位から抜け出す競馬で僅差の2着。ゴール前で差されはしましたが、中身の濃いレースでした。鞍上は、皐月賞男のミルコ・デムーロ騎手。一冠目に一番近い存在だと思います」

○市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「サトノダイヤモンドがきさらぎ賞で出したタイムフィルター指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)を抜く馬はもはや現れないと思っていましたが、非常にハイレベルなレースとなった弥生賞。結果、上位2頭が高い指数をマーク。2着に敗れたとはいえ、リオンディーズの強さは相当なものです。

 前回マイル戦を使ったせいもあるのでしょう、弥生賞ではスタートからかかってしまって4番手。さらにペースが落ちた向こう正面でもかかって、4角では早め先頭にならざるを得ませんでした。最後差されたのは、その分の差と言えます。ここで叩いて落ち着いてくれば、皐月賞はかなり有望です」

 2位は、弥生賞でリオンディーズを破ったマカヒキ。前回より順位は1ランクだけのアップながら、ポイント数は9ポイントから21ポイントと大幅に伸ばした。

○吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「2走目の若駒S(1月23日)では、京都の内回り芝2000mのレースで上がり32秒6を記録。そして3戦目の前走・弥生賞では、2歳王者をねじ伏せる完勝劇を披露。かなりの"器"ではあることは間違いありません。初戦で鼻出血を発症したとはいえ、全姉ウリウリに比べて落ち着きがある分、好結果につながっていると思います。パドックでは堂々と周回し、レースでは折り合いの不安がないのが心強い限りです。

 上がり3ハロンの秀逸さからもわかるとおり、勝負どころのうなり脚と、直線の決め脚は世代屈指。均整の取れた馬体にプラスして、良質なバネとクッション性を持ち合わせ、"3強"の中では最もきれいなフォームで走る点も強調材料です。これまでうまくエスコートしてきたルメール騎手が、先約の問題で騎乗できないのは痛手だと思いますが、後任はテン乗りで結果を出せる川田将雅騎手。大きな問題にはならないでしょう」

○本誌競馬班
「弥生賞の勝ちっぷりを素直に評価。3連勝の内容が圧巻のサトノダイヤモンドよりも、皐月賞ではコース経験がある分、上位と見ます」

 3位は、前回トップだったサトノダイヤモンド。きさらぎ賞以降出走はなく、減点要素はなかったものの、高いパフォーマンスを見せた弥生賞組の上位2頭に食われた印象だ。

○市丸氏
「TF指数の数字上では、弥生賞の1、2着馬がサトノダイヤモンドより上、という形になっていますが、この時期の3歳馬は1カ月もあればかなりの成長を見せます。弥生賞の1カ月前に行なわれたきさらぎ賞で高い指数をマークしたサトノダイヤモンドが、それからも順調に成長していれば、現実的には弥生賞組より上、と判断すべきかもしれません」

○木南氏
「2戦目で破ったのが、チューリップ賞4着のクィーンズベスト(牝3歳)、若葉S2着のナムラシングン、スプリングS2着のマイネルハニーと、今振り返ってみれば、かなりの好メンバー。ルメール騎手が自信を持っていますし、その潜在能力は計り知れません。懸念材料は、きさらぎ賞から直行、というローテーションぐらいです」

 4位は、エアスピネル。ハイレベルだった弥生賞で3着と好走し、再びランクインを果たした。

○土屋氏
「弥生賞では、上位2頭に完全に水をあけられての3着。懸念されていたように、距離の壁がありそうです。それでも、立ち回りの巧みさは"3強"相手にも引けをとらないでしょう。"3強"が後方でけん制し合う中、うまく好位から抜け出すことができれば、皐月賞でもチャンスが巡ってくるかもしれません」

 5位は、ハートレー、ディーマジェスティ、マウントロブソンの3頭。ぞれぞれ、「3強」の一角崩しが期待される伏兵候補だ。

○木南氏
「共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)こそ、1番人気9着と凡走しましたが、ハートレーは怖い一頭。年末のホープフルS(2015年12月27日/中山・芝2000m)では、新潟2歳Sを圧勝したロードクエストを弾き飛ばして快勝しました。そのレース後、オーストラリアでも、香港でも、今絶好調のヒュー・ボウマン騎手が『飛んだ』と絶賛。それは、通訳が誇張したのではなく、本人の言葉です。まだまだ一発を秘めていると思います」

○吉田氏
「6番人気の低評価ながら、共同通信杯を制したディーマジェスティ。当時は、ベタ爪気味で渋った馬場は合わないタイプと判断しましたが、ノメりつつも鞍上の叱咤激励で勝負どころでも置かれることがありませんでした。そこは、精神面の強さでしょう。最後は、内から馬場のいい外目に出していくと、坂上ではディープインパクト産駒らしい切れ味を見せて完勝。不得手な馬場で結果を出したことは大きく、まだまだ伸びしろがある点も好感が持てます」

○土屋氏
「スプリングSを制したマウントロブソン。勝ち上がるまでに3戦を要しましたが、2着に敗れた最初の2戦は、のちに重賞で勝ち負けを演じる馬たちとの仕上がりの差によるもの。3戦目で未勝利戦を快勝すると、4戦目のあすなろ賞(2月13日/小倉・芝2000m)では、全体のペースが上がる中、後方から一気にまくっていって、直線に入ってからも脚色は最後まで鈍ることはありませんでした。それは、能力があるからこそできる芸当。堀宣行厩舎の管理馬ですし、まだまだ奥がありそうです」

 いよいよ3週間後に迫った皐月賞。「3強」が本番でも強さを示すのか、はたまた伏兵陣の一発があるのか。近年では、「屈指のハイレベル」と言われる戦いを存分に堪能したい。

text by Sportiva