ヤンキース・加藤豪将【写真:編集部】

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もう1人の「大谷世代」、マイナーで奮闘続ける米国育ち21歳の挑戦

 ヤンキースから2013年のドラフト2巡目で指名された加藤豪将内野手が、キャンプ地のフロリダ州タンパで独占インタビューに応じた。

 現在、マイナーキャンプでシーズン開幕へ向けて練習に励む有望株は、メジャー昇格を目指して奮闘を続けている。今年でヤンキース入団4年目。シーズンの目標については「1年目から絶対にメジャーで終わるというのを頭に入れている」と言い切る。

 1年目はルーキーリーグで50試合に出場し、打率3割1分、6本塁打、25打点と好成績を残したが、2年目は1Aチャールストンで121試合出場、打率2割2分2厘、3本塁打、37打点と苦戦。昨年も1Aチャールストンで打率1割6分1厘と苦しみ、シーズン後半にはルーキーリーグのプラスキでもプレーした。

 大谷翔平(日本ハム)らと同じ1994年生まれ。「大谷世代」の21歳はアメリカで育ち、これまでの日本人選手とは全く違う形でのメジャーデビューを目指している。二刀流右腕との対戦を望む気持ちは「もちろんある」と話す加藤の現在地とは――。その胸中に迫った。

――今シーズンはどのカテゴリーからスタートになりそうですか?

「まだ分からないんです。でも、ワークグループといって、違うチームに分かれたところでは、1A+のタンパヤンキースでした。まぁ、それはあまり意味はないんですけど、キャンプが終わる時に分かります」

――今年、キャンプで取り組んでいることは?

「メンタルの部分だけですね。2年前とか、去年とか、スプリングトレーニングにどういうメンタルで来て、シーズンの1週目をどうプレーするかというのをまだ分かっていなかったんですけど、今年は1週目から成績を出したいので、そういうところをやってます」

――バッティングのメカニックの部分などは?

「オフシーズンの時にフォームをシンプルに変えて、以前のような形にしました。スイングにはけっこう自信を持っています」

――フォームはいつ頃の形に戻したのですか?

「高校くらいですね。(このオフに)ランチョ・バーナード高のコーチと会って、また最初からスタートした感じなので。スイングはすごくいいところにあります」

――シンプルというのは具体的には?

「あまり考えず、ただボールをバットに当てるという感じで。1つ大きいことを言うと、前で捉えてしまっていたのを後ろに引きつけて、レフトセンターに打つという感覚ですね。そういう感じでいけていれば、今年は多分いいシーズンになると思います」

――ここまでの手応えは?

「かなりいいです。去年のスプリングトレーニングと比べたら今年の方が成績もいいので。あと、スイングもいい。あとはタイミングとオフスピード(のボール)をどうやって待てるかというだけですね。ちゃんと引きつけないといけないので」

高校が原点、マイナーでの苦労は…

――ランチョ・バーナード高校に戻るというのは、毎年やっていることですか?

「去年のオフシーズンは1か月に2回とかだったんですけど、今回は1週間に2日くらい(高校に)行って、フィールドで打って、5日は自分で打っていた。(これまでは)フィールドで打つ機会があまりなかったので、それはよかったです」

――高校で動いて、基本に戻る?

「その通りです。初めてのバッティングコーチだったので、僕はそういうバッティングの方法しか知らない。ヤンキースに来てちょっと頭がごちゃごちゃになったのを、また『Back to basics』ということですね」

――入団1年目の2013年と比べると、かなり体が大きくなりました。

「3年間で多分、30ポンド(約14キロ)くらいは体重が増えました。今、195ポンド(約88キロ)くらいで、2013年の時は高校のシーズン後、ルーキーリーグのシーズンが終わって165ポンド(約74キロ)とかだったので。オフシーズンにはいっぱい食べて、そして筋トレをしました。シーズン中は絶対にどうしても体重が下がってしまうので、出来るだけ食べるということですね」

――去年のシーズンの成績は、自分で満足できないものでしたか?

「去年と一昨年は同じようなシーズンだった。シーズンの1日目から準備ができなかった感じなので、それを今年は変えて、オフシーズンもバッティングを早めから始めたので、いい感じでいっています」

――マイナーでは大変なことも多いと思います。苦労を感じる部分は?

「時々ありますけど、苦労というのはNPBの選手が日本から来て、マイナーに入ると最悪かもしれませんけど、僕はメジャーというものを知らない。高校の野球しか知らないので、毎日野球ができるというのはすごく幸せなことです。14時間のバス移動とかも友達とお泊りみたいな、そういうマインドセットなので」

――ヤンキースに入ってからの3年間は、大変というよりも楽しさの方が大きいですか?

「もちろん楽しいです。別にヤンキースじゃなくても、どの球団でも、毎日野球をプレー出来て、そしてお金もくれるなんて、そんなこと想像もできないので、すごくありがたいです」

――打てない時もあると思いますが、落ち込んだりすることは?

「試合の後はけっこう落ち込みますけど、でも、家に帰る時に『また野球の試合がある』と考えるのは、すごく嬉しいことですね」

内に秘める覚悟、「絶対にメジャーで終わる」――

――オフの日はどう過ごしていますか?

「部屋を掃除して、服を洗って、ごはんを食べて、テレビを見て、寝るだけですね(笑)」

――本当に野球に全てを注ぎ込んでいる。

「そうですね。それが楽しいので。家に帰ってもバッティングのことを考えてる。それぐらい夢中になってしまうので、楽しいです」

――すごく前向きですね。

「そうですか。けっこう落ち込むタイプなんですよ(笑)」

――今、日本では同い年の大谷選手が活躍しています。気になりますか?

「すごく気になります。大谷選手のバッティングとかも、いつも動画で見ているので、目に焼き付けて、そういう感じで打ちたいと思ってます」

――大谷選手はピッチャーとして活躍していますが、バッティングが気になる?

「そうですね。僕はピッチャーのことはあまり分からないので。すごく肩が強いというのは知ってるんですけど、それだけですね。あとはバッティングをいつも見ています。バッティングを見るのが大好きなので。どの選手でも、ビデオを見るのが大好きなので、いつも見ています。いいバッターだとすごく思います」

――ピッチャーの大谷と対戦したいという気持ちは?

「そういうのは、もちろんあります。例えば田中選手と対戦してみたいとか、メジャーの選手と対戦したいので、どこまでできるのかっていうことだけですね」

――今年の目標は?

「(入団)1年目から毎年、絶対にメジャーで終わるというのを頭に入れています。それが叶わなくても、出来るだけ上を目指す。そして、メンタルをしっかりして、弱くならない。それだけです。全てをしっかり磨いて、いつかはメジャーにいきたいですね」

――キャンプが終わる時に、1つでも上のカテゴリーに入りたいですか?

「そうやって考えちゃうと、自分のスキルのことを考えられない。(キャンプでは)レベルのことじゃなくて、自分のスキルがちゃんとうまくなってるかというのをチェックしたい。それだけですね」

――決まったら、そのチームでやるだけ?

「この3年間で分かったのは『このチームでスタートしたから、お前はすごい。うまい』という意味じゃない。チームに行ってからどうやってパフォーマンスをして、そして、この2016年のシーズンが終わった時にどのチームにいるかというのがすごく重要なので。1A+で始まったら、2A、3Aと行って、メジャーで終わりたいです」

――ヤンキースはここ数年、二塁手が固まらない状況です。出来るだけ早く上がりたいですか?

「1日1日、自分で学べて、昨日より今日の僕がうまくなっていればいいと思います。でも、例えばバードとかセベリーノとか若手がメジャーに行っているので、自分もやる気が出ますね」