来日した5監督

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 東南アジアの今を捉えた短編ドキュメンタリーを上映する「Visual Documentary Project 2015」がこのほど、映像作家を招き京都と東京で開催された。国際交流基金アジアセンターと京都大学東南アジア研究所が共催し、東南アジアと日本の映像作家が制作した短編ドキュメンタリーを募集。約50本の応募作から選ばれた作品5本の上映と、来日した各監督らを交えたディスカッションが行われた。

 「越境する東南アジア」というテーマで募集され入賞した作品は、タイ、ベトナム、マレーシアが各1本とミャンマーが2本となり、バラエティに富んだ東南アジアの現状を反映した結果となった。上映作品の選定委員で、東京国際映画祭「アジアの未来」部門プログラミング・ディレクターを務める石坂健治氏は入賞作品を大きく2つのテーマに分け、人の移動と、祭りの後を描いた作品だったと総括した。

 ミャンマーからの移動を余儀なくされたタイ国内のロヒンギャ難民に迫った「2人のマイケル」、マレーシアのインドネシア移民をテーマにした「儚さ」の2作品は、東南アジア内での人の移動を浮き彫りにする。また、内戦で敵として戦った兵士が共に義足を作る作業場を取材した「私の足」や、1960年代に活躍し今は隠居生活をおくる祖父を撮った「ジウおじいちゃんへ捧ぐ」、青春時代にアウンサンスーチー氏のボディーガードを務め家族と政治活動の間を揺れ動く人生を追った「我が政治人生」の3本は、祭りの後の人生を描くことで社会背景を浮き上がらせるドキュメンタリー作品だ。

 来日した5人の監督は、20代中心。同時に行われたディスカッションでは、政治の変化が続き製作環境が好転してきたミャンマー、現軍事政権下のタイでの検閲、民族グループ別での映画製作となりがちなマレーシアなど各国のドキュメンタリー製作事情が語られながらも、今後の制作活動に意欲をのぞかせた。なお、同企画は12年から毎年実施されており、過去のアーカイブが公式サイト(http://sea-sh.cseas.kyoto-u.ac.jp/vdp2015/)でも公開されている。