村川絵梨が主人公を熱演した「花芯」 (C)2016「花芯」製作委員会

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 小説家で尼僧の瀬戸内寂聴氏が、新進作家の瀬戸内晴美(当時)として1957年に雑誌「新潮」で発表した「花芯(かしん)」が、村川絵梨の主演で映画化されることがわかった。原作は、58年の新潮同人雑誌賞を受賞するも、寂聴氏が批評家から「子宮作家」と批判され、しばらくの間、文壇的沈黙を余儀なくされるきっかけとなった伝説的な作品として知られる。

 原作発表当時の世相に反逆するかのようなヒロインの生き様は、現在にも通ずる女性の「愛欲」や「性愛」の真実を描いているが、それゆえに批判も少なくなかった。タイトルの「花芯」は中国語で「子宮」を意味し、文中にも「子宮」という言葉が多く出てくることから、寂聴氏は「子宮作家」とも揶揄(やゆ)された。

 そんな同作を、市川由衣の体当たりの演技が話題を呼んだ「海を感じる時」の安藤尋監督がメガホンをとり映画化。村川が園子役に扮するほか、夫・雨宮役で林遣都、越智役で安藤政信が共演する。

 村川は「園子という一人の女性の人生を演じきったことは、ひとつ大きな恋を経験したような感覚でした。私自身も、彼女の人生観に触れて強くなった気がしています」と充実感をにじませており、そんな村川が演じた園子を、林は「手を上げてしまいそうな程憎たらしいけれど、抱き締めずにはいられない」と絶賛する。

 また、越智役の安藤は「村川絵梨の剥き出しの表現に未来を感じた」と話し、安藤監督も「肉体的にも精神的にもとても困難を伴うこの役に、臆する事なく挑戦してくれました。村川さんが演じることによって、園子の『恋』が単なる狂気ではなく、人が人を恋する上でそれは深い悲しみでもあるということが表現出来たのではないかと思います」と称えている。

 映画化に際し、寂聴氏からは「私にとっては、この一作の不幸な運命の為、かえって60年にわたる小説家の生活がつづいたという大切な作品である。今度はじめて映画化された。それに関ってくれたすべての人に感謝する」とコメントが寄せられている。

 8月6日からテアトル新宿ほかにて全国公開。