いよいよ今週土曜3月26日、アラブ首長国連邦のドバイ・メイダン競馬場で2016年国際競馬の幕開けを告げるドバイワールドカップデーが開催される。1着賞金600万USドル(約6億7000万円)のGIドバイワールドカップ(ダート2000m)をメインに、6つのGI を含む9つの国際招待競走に、今年も世界中から強豪が集結。そして、日本からも6つの競走に合計10頭が挑戦する。

 日本の競馬ファンとしては、なんといっても、昨年の二冠馬ドゥラメンテのGIドバイシーマクラシック(芝2410m)での走りが最大の関心となる。ドゥラメンテは休み明け初戦のGII中山記念(2月28日/中山・芝1800m)を快勝した内容に、3月6日終了時点で発表された競走馬の世界ランキングである、「ロンジンワールドベストレースホースランキング」の最新版で、121ポイントの暫定首位タイの評価を与えられた。

 今回のドバイ挑戦については関係者の中で慎重に協議がされた。出走するからにはぶざまな競馬はできない。秋にはフランスのGI 凱旋門賞挑戦が計画されており、遠征によるダメージが残ることも避けなければならない。かといって、国内に残っても適したレースが少なく、それはそれで調整が難しくなる。すべてを踏まえたうえでの参戦だけに、勝負気配も高いといえる。昨年、オーストラリアと香港でGI を勝っている堀宣之厩舎の手腕も心強い。

 このレースには日本から他に、一昨年のGI日本ダービー馬ワンアンドオンリーと昨年のGIジャパンカップ2着馬のラストインパクトも参戦する。これらに立ちはだかる最大のライバルが、昨夏のGIキングジョージVI世&クイーンエリザベスSを制した英国のポストポンドだ。昨年の凱旋門賞は結局回避したが、一時は有力馬の1頭に数えられていた。今年初戦、今回と同じコースの前哨戦をほぼ持ったままで快勝。ジェンティルドンナの持つレコードタイムに0秒65差のレース内容は、前述のワールドランキングでドゥラメンテと同じ121ポイントの評価を受けた。ドゥラメンテにとっても、今後を見据える上で「世界標準」との対戦は、いい指標になるはず。

 メインとなるドバイワールドカップには、3年連続の挑戦となるホッコータルマエが出走する。1年目の一昨年はオールウェザー馬場にフィットせず、しんがり負け。走路がダートに改修された昨年は軽快に先行するもコースの内側で先導する中継車に集中力を欠き、5着に敗れた。今回はそれらの経験を踏まえての参戦となる。今年1月の川崎記念を勝利し、前人未到の国内GI競走10勝目を果たした。その勢いを"三度目の正直"につなげられるか。

 しかし、ここもライバルは強力。本命視されているのは昨年の2着馬で、早々にドバイ入りして臨んだ今季初戦のハンデ戦をトップハンデで圧勝したアメリカのカリフォルニアクロームだ。ドゥラメンテ、ポストポンドと並ぶ121ポイントの評価で、もちろん現時点の世界ランク1位。これに次ぐ120ポイントのアメリカのフロステッドも評価が高い。

 追い風が吹いているのがGIドバイターフ(芝1800m)に出走するリアルスティールだろう。昨年の同レースを圧勝し、最大の強敵と目されていたソロウ、同2着のザグレーギャツビーが相次いで回避を決定。このレースで相性のいい、コテコテの欧州GI級が不在となれば、昨年の皐月賞と菊花賞で2着だったリアルスティールでも十分に計算が立つ。不完全燃焼だった昨秋からこの遠征を目標に十分にオーバーホールされ、中山記念(3着)をひと叩き。昨年のGIII共同通信杯(東京・芝1800m)でドゥラメンテを下した距離で戴冠を狙う。

 下馬評では地元の前哨戦のGIジェベルハッタ(芝1800m)を鋭い決め手で制したゴドルフィンのトライスター、同じ距離のGIIアルラシディヤ(芝1800m)を勝ったフォーリスワルツらの評価が高いが、ちょっと注目したいのがアメリカから参戦の5歳馬フランボイヤントだ。父は日本で競走生活を送ったサンデーサイレンス産駒ペールギュント。昨夏から休養に入っていたが、今年に入って復帰すると、地元のGIIサンガブリエルステークス(芝1800m)、GIIサンマルコスステークス(芝2000m)と連勝している。

 GII UAEダービー(ダート1900m)には日本からラニ、ユウチェンジ、オンザロックスの3頭が挑戦する。現時点での出走頭数はわずか7頭とチャンスは大きく見えるが、残る4頭はいずれも強力。中でも、同じコースのGIII UAEオークス(ダート1900m)を勝った牝馬のポーラーリヴァー、アメリカのGIIIエルカミノレアルダービー(AW1800m)を勝って、ここに臨むフランクカンバセーションらが有力。とはいえ、今年のUAEの3歳路線はいずれも頭数が少なく、フランクカンバセーションも前走のオールウェザーからダートに変わることもあり、付け入る隙も少なくない。

 ベルカントが出走するGIアルクオーツスプリント(芝1000m)はかなりのメンバーが揃った。昨年の1着馬ソールパワーは9歳となった今年も衰えを見せず、前走のGIIIメイダンスプリント(芝1000m)も僅差の3着と上々の滑り出し。昨年2着の香港のペニアフォビアは、昨年暮れの香港スプリントを勝利し、ビッグタイトルを手に今年は乗り込んできた。さらにオーストラリアの快速馬バッファリング、前哨戦の勝ち馬フィットヤーン、昨年のGIブリーダーズカップターフスプリント(芝1100m)の1、2着のモンゴリアンサタデー、レディシップマンらも強力。

 GIIドバイゴールドカップ(芝3200m)にはネオブラックダイヤが挑む。昨秋のGIロワイヤルオーク賞(芝3100m)を5連勝で制したヴァジラバドを筆頭に、前哨戦のGIIIナドアルシバトロフィー(芝2800)の2〜4着馬と骨っぽいメンバーを相手にどこまで食い下がれるか。

 当日はスカパーなどのグリーンチャンネルでノンスクランブル放映される。今年から発売が予定される海外レースの馬券発売も視野に、その予行演習の意味でも見逃せない1日となる。

土屋真光●文 text by Tsuchiya Masamitsu