◆2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牝馬編:第4弾)

 3歳牝馬クラシック第1弾の桜花賞(4月10日/阪神・芝1600m)まで、はや1カ月を切った。

 その本番を前にして、3月には東西でトライアル戦が立て続けに開催された。関西では、GIIIチューリップ賞(3月5日/阪神・芝1600m)と、GIIフィリーズレビュー(3月13日/阪神・芝1400m)が、関東ではオープン特別のアネモネS(3月12日/中山・芝1600m)が行なわれ、桜花賞へ向かうメンバーがほぼ出そろった。

 チューリップ賞では2番人気のシンハライトが1番人気ジュエラーとの叩き合いを制し、フィリーズレビューは8番人気の伏兵ソルヴェイグが1番人気アットザシーサイドらを完封。アネモネSでは良血チェッキーノが未勝利戦からの連勝を飾って、桜花賞の切符を手にした。

 今回は、これらの結果と経過を踏まえて、牝馬クラシック戦線を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牝馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、第1回番付からずっと首位の座をキープしてきた「2歳女王」メジャーエンブレムが今回も満場一致でトップ。不動の本命として、本番を迎えることになりそうだ。

○吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「年明け初戦のクイーンC(2月13日/東京・芝1600m)で、自らレースの流れを作って、好時計(1分32秒5)での勝利を飾った。あの走りこそ、まさに女王の貫録。チューリップ賞も好タイム(1分32秒8)による決着でしたが、体力面や展開面を踏まえれば、メジャーエンブレム優位に変わりはありません。スピードにパワーを兼備し、完成度の高さでは他の追随を許しません。スピード決着でも、タフな馬場になっても、問題なし。桜花賞の確固たる"主役"であることは間違いないでしょう」

○木南友輔氏(日刊スポーツ)
「クイーンCの勝ち時計は、改めて優秀だったと感じています。加えて、GI阪神ジュベナイルフィリーズ(1着。2015年12月13日/阪神・芝1600m)で、桜花賞と同じ舞台を経験し、輸送もこなしている点が好材料。あとは、本番で自分の競馬ができるかどうか、だけでしょう。『クイーンCの勝ち馬は桜花賞で勝てない』という歴史があって(1970年のタマミ、1976年のテイタニヤの2頭だけ)、最近でも2011年のホエールキャプチャ、2012年のヴィルシーナと、ともに2着止まり。ローテーション的には推せませんが、メジャーエンブレムは自分でレースを作って押し切るタイプ。それだけに、自ら歴史を覆(くつがえ)してみせるのか、その挑戦を応援したい気持ちになります」

○土屋真光氏(フリーライター)
「チューリップ賞もハイレベルな決着でしたが、自分でペースを作って、しかもハイペースをそのまま押し切れるメジャーエンブレムのほうが、一枚上と考えます。クイーンCからの直行組はなかなか結果が出ていないとはいえ、そもそも阪神JFとクイーンCを連勝すること自体、まれ。この馬は、これまでの傾向には当てはまらない存在だと思います。桜花賞の内容次第では、距離不安が囁かれるオークス(5月22日/東京・芝2400m)でも期待でき、二冠達成も十分にありえるのではないでしょうか」

 2位は、紅梅S(1月17日/京都・芝1400m)、前哨戦のチューリップ賞と連勝を飾ったシンハライト。デビュー前からの期待馬が、いよいよ「打倒・メジャーエンブレム」の一番手に浮上してきた。

○市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「タイムフィルター指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)においては、メジャーエンブレムがクイーンCで記録した指数が、桜花賞前の3歳牝馬が出したものとしては過去最高。しかし、チューリップ賞もそれに迫るハイレベルな指数をマークしました。前半3ハロンは平均ペースでしたが、次の2ハロンでは(1ハロンが)12秒台に緩んで、前半はスローペースとなりました。にもかかわらず、上位2頭は極限に近い上がりタイム(33秒0)を繰り出して、1分32秒8でフィニッシュ。もしハイペースで運んでいたら、1分32秒台前半の時計が出ていたかもしれません。シンハライトは、それほどすごいタイムだったレースの勝ち馬です」

○木南氏
「桜花賞本番と同じ舞台で強い勝ち方をした点と、上がりの数字が優秀だった点を、素直に評価したいと思います。ただ、弥生賞で敗れて、皐月賞でも鼻出血で大敗を喫したアダムスピークが全兄。血統的には、GI本番で結果を出せるかどうかは微妙なところです。さらに、跳びがきれいなうえ、軽量馬なので、馬場が悪化した場合、それを克服できるかどうか。いくつか課題を抱えています」

 3位は、ジュエラー。チューリップ賞ではシンハライトに僅差で敗れたものの、シンザン記念(2着。1月10日/京都・芝1600m)で牡馬相手に好走した実力が本物であることを改めて証明した。

○吉田氏
「新種牡馬ヴィクトワールピサ産駒にあって、異質の瞬発力型と言えます。チューリップ賞の2着は、クビの上げ下げによるタイミングの差。シンハライトとの能力差はなく、悲観する敗戦ではありません。3戦連続で最速の上がりをマークしているように、母系からくる爆発力は最大の武器。大型馬だけに、稽古でもまだまだ負荷をかけて鍛えられる点も魅力です。本番までにさらなる上昇度を示せば、トップの座さえ狙える素材だと思います」

 4位は、デンコウアンジュ。前回はランク外だったものの、変わらぬポイントを維持して再びランクインした。

○土屋氏
「唯一メジャーエンブレムに土をつけた内容が、まぐれとは思えません。この馬の出番はオークスと見ていますが、1着シンハライトとコンマ3秒差の5着だったチューリップ賞の内容から、桜花賞でも展開次第では十分に勝負になると感じました」

○吉田氏
「胴長&脚長の体形で適度なクッション性があり、ストライドは大きめ。桜花賞での逆転は想像しづらいですが、パフォーマンスが上がりそうなオークス、東京・芝2400mの舞台なら、期待が膨らみます」

 5位は、ラベンダーヴァレイとアットザシーサイドの2頭。前者はチューリップ賞で3着と好走し、後者はフィリーズレビュー2着と健闘した。それぞれ、デビュー前からの評判馬で、トライアル戦で桜花賞の出走権を獲得したことによって、再評価された印象だ。

○市丸氏
「チューリップ賞3着のラベンダーヴァレイ。1、2着馬とは差がありますが、ハイレベルなレースにおいて、先行して踏ん張ったレースぶりは評価できます。本命メジャーエンブレムが先行脚質ゆえ現実的ではありませんが、もしも本番が極端なスローペースになった場合、前目でレースを運んで、そのまま粘り込むシーンがあってもおかしくありません」

○木南氏
「アットザシーサイドは、実績上位でもフィリーズレビューで結果を出さなければ桜花賞には進めない状況でした。そんな中、前残りの展開で後方から2着に突っ込んできて力を見せました。基本的には、チューリップ賞組のほうが信頼度は高いのですが、鞍上が牝馬クラシックを得意としている福永祐一騎手。"3強"の様相にあって、そこに風穴をあけても不思議ない存在です。第一、ルージュバックが不発に終わった昨年のようなこともあるのが、桜花賞ですからね」

 間近に迫った桜花賞。「絶対女王」メジャーエンブレムが戴冠するのか。それとも、チューリップ賞組のシンハライト、ジュエラーの逆転があるのか。仁川の桜とともに満開に咲き乱れるのはどの馬か、必見である。

text by Sportiva