2016年クラシック候補たち
第7回:ドレッドノータス

 およそ1カ月後に迫ってきたGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)。3歳牡馬クラシックの開幕戦を前にして、「3戦3勝」というキャリアが今年の主役候補のキーワードになってきている。

 GIIIきさらぎ賞(2月7日/京都・芝1800m)を圧勝したサトノダイヤモンドも、GII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)で強豪を撃破したマカヒキも、無傷の3戦3勝という結果を残して、クラシックの最有力候補へと一気に躍り出た。

 そんな中、さらにもう一頭、「3戦3勝」を決めて主力の一角に名を連ねようとしている馬がいる。矢作芳人厩舎(栗東トレセン/滋賀県)に所属するドレッドノータス(牡3歳/父ハービンジャー)である。

 昨年10月のデビュー戦を勝利した同馬は、2戦目の舞台にGIII京都2歳S(2015年11月28日/京都・芝2000m)を選択。初戦と同様、武豊騎手とのコンビで出走した。

 レースでは、好スタートから2番手の好位をキープ。序盤はややかかり気味だったものの、向こう正面に入ってからは折り合って、逃げるリスペクトアースを射程圏にとらえて追走した。そのまま直線を迎えると、最後はリスペクトアースと一騎打ちとなり、ゴール目前でドレッドノータスが逆転。デビュー2連勝で重賞制覇を遂げた。

 その後、休養に入ったドレッドノータス。週末に行なわれるトライアル戦、GIIスプリングS(3月20日/中山・芝1800m)を叩いて、本番の皐月賞に向かう。

 そのステップレースを目前に控え、陣営のムードは日に日に高まっているという。しかも、主役候補への条件とも言える「"3戦3勝"で本番へ」という思いが相当強いそうだ。そんな陣営の様子を、関西競馬専門紙のトラックマンが伝える。

「矢作調教師は、『皐月賞をさらに盛り上げるためにも、"3戦3勝"で皐月賞に向かいたい』と意気込んでいますね。過去2戦は、陣営としても半信半疑な部分もあったようですが、期待以上の走りで連勝。『おかげで、クラシック出走に必要な賞金を稼げたうえ、ゆっくりと休ませることができた』と、その順調な過程にスタッフも満足気でした。実際、休ませた効果で馬体も成長し、『実が入ってきた』とのこと。休み明けながら、スプリングSに向けてもかなりの手応えを感じているようでしたね」

 ドレッドノータスの母は、ディアデラノビア。2005年のGIオークス(東京・芝2400m)で3着になるなど、牝馬のGI戦線で好走を繰り返してきた。実は弥生賞で2着となり、本番でも有力馬に挙げられるリオンディーズは、そのオークスを制したシーザリオの子。また、弥生賞3着のエアスピネルは、同オークスで2着となったエアメサイアの子である。同世代で戦った母の息子たちが、11年のときを経て、再び同世代のライバル関係になっているのだ。

 そうした状況にあって、ドレッドノータスに期待されるのは、母が屈したライバルへの雪辱であり、母が成し得なかったGI制覇である。無論、陣営はその可能性を感じ取っている。再びトラックマンが陣営の手応えを明かす。

「厩舎スタッフは、『ドレッドノータスは、レースで前目のポジションを取れることが大きい』と、前で競馬ができる点を強みととらえています。確かに有力各馬は差し馬が多く、とりわけ皐月賞は、直線が短く、先行馬有利に働くことが多いですからね。ゆえに、『皐月賞こそ、この馬の先行力を最大限に発揮できる舞台。チャンスは十分にある』とスタッフは勢いづいています」

 皐月賞に向けて、まず重要なのはスプリングS。そこには、他にも底の見えない伏兵馬がズラリと顔をそろえる。はたしてドレッドノータスは、その激戦を勝ち抜き、「3戦3勝」の実績を引っ提げて、クラシックの"新たな主力"となれるのか、注目される。

河合力●文 text by Kawai Chikara