ハリルホジッチ監督 W杯予選直前の合宿に手応え「Jリーグで見られないスピード」
3月7日から3日間、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は国内の日本代表候補を集め合宿を行った。
24日にアフガニスタン戦、29日にシリア戦のワールドカップ予選を控え、監督はこの合宿で何を確認するのか。内容は、「ハリルのサッカー」とは何かという基本の動きだった。
初日に監督が強調したのは「基本的なブロックの考え方」。縦も横もコンパクトにする動きを求め、選手間の距離を調整した。
2日目の午前中は、4人の選手にヒモを持たせ、距離を調整しながらどうやって相手選手を追い込み、インターセプトするか、そしてスルーパスを通させないかというトレーニングがメインだった。
2日目の午後は、斜めにボールを動かしながら素早く前後の選手間でボールをパス。2タッチ以下でプレーするように監督は要求した。
外側の選手、内側の選手と交互にパスを繋ぎ、前の選手が後ろの選手にパスすると、3人目の選手は相手守備ラインの裏に飛び出す。そこにダイレクトでパスが出るという動きが強調された。
3日目は斜めにパスを出す動きを確認した後、縦を狭くしたピッチで11対11の紅白戦を行った。12分間の前半はタッチ数に制限を付けなかったが、7分間の後半は2タッチ以下にプレーを制限する。守備のブロックを作りながらのプレス、攻撃のタテヘの速さを求め、選手の理解度をチェックしていた。
3日目の練習後、監督は急きょ報道陣の前に現れてコメントを述べた。
「ミニ合宿ができたわけですが、かなり有効だったと思います。ディフェンス面とオフェンス面のたくさんのことをトレーニングをしました」
「A代表に入りたければ、守備や攻撃のこういった要求をクリアしてもらわないと困るという話をしました。これをA代表でやってほしい。選手はしっかりトレーニングしてくれたし、ビデオを見せて説明もしました」
「みなさん見られたと思いますけれども、今日やったゲームはJリーグで見られないスピードだったと思います。彼らはワンタッチ、ツータッチでああいうプレーができるわけです。前のスプリントもできるわけです。そうすることによって得点がたくさん取れるのですね」
「それからいろんなテストをしました。ただ、全員が素晴らしい結果だったわけではありません。何人かの選手はまだまだトレーニングが必要だなと。一人ひとり会話して私の意見を伝えました。彼らがしっかりメッセージを受け取ったと思いますし、彼らがA代表でプレーしたければ、本当に言葉だけでやりたいというだけじゃなくて、資格を見せてほしいと思います。資格がある人しかA代表に来られません。それをみんなに言いました」
「ただ、チームの雰囲気、選手の雰囲気は素晴らしかったですし、しかしながら何人かの選手はもっとやらなければならない。そういうことです。ディテールは言えないのですが、ディテールは選手と私だけの情報で止めておきたいと思います。それは私にとっての問題なので。以上です」
「寒いので、みなさん、気を付けて。よい昼食を」
監督はこれだけ言うと、報道陣からの質問を受け付けず、さっと立ち去った。途中、Jリーグを批判するかのような刺激的な言葉を使っていたが、表情は非常に満足げで、手応えを感じているようだった。
【日本蹴球合同会社/森雅史】