えっ、なんで?日本の定番おやつが「ヨーロッパ」で人気らしい
イタリアにある日本人経営の素敵な日本食レストランでは、デザートメニューとして“どら焼き”が用意されているところがほとんどです。見た目も美しい芸術的な茶道の和菓子ではなく、なぜ庶民的なおやつであるどら焼きが日本の和菓子の代表のように扱われているのでしょうか?
そこで今回はイタリア在住の筆者が、どら焼きが“イタリアで人気のワケ”をご紹介します。
■実は30年前から有名だった
イタリアでも『ドラえもん』は大人気のアニメです。80年代からテレビ放映されていて、『ドラえもん』の大好物どら焼きはイタリアの子どもたちの憧れだったそうです。幸せそうに食べる『ドラえもん』の満面の笑顔が印象的ですよね。
最近では、どら焼き屋を舞台にした日本映画『トクおばさんのレシピ(邦題:あん)』がイタリアでも公開されました。この映画でも、スクリーンの向こうからあんこの匂いが本当に漂ってくるような職人技でどら焼きのおいしさを十分に表現しています。
“とくおばさんのレシピが知りたい”と、食べることが大好きなイタリア人のどら焼きへの好奇心をさらに湧きたてました。
■どら焼きは「ヘルシーフード」らしい
生クリームやバターなどが入ったカロリーの高いおやつになれているイタリア人にとって、実際に食べてみると“日本製パンケーキ”ともいうべきどら焼きは油分が全く入らないので驚きのヘルシーさです。
スポンジケーキのような生地だけど、特別な型もオーブンも使わずに、フライパンで手軽に作れてしまうところも人気の理由です。
また、『ドラえもん』の“ドラ”ではなく、お寺で使われる打楽器“銅鑼”に由来している名前通りの丸い形もシンプルで愛らしいと評判です。
■イタリア風アレンジはあんこが○○になる
「和食は好きだけど、あんこは苦手」という欧米人の声を聞くことがあります。豆はたしかに栄養満点なスーパーフードですが、欧米では豆は料理に使うものでデザートに使うという感覚はありません。
イタリア語であんこは“豆ジャム”と訳するのですが、ジャムのような甘い豆に違和感を覚えてしまう人が少なくないようです。あんこがパンケーキ風の生地に包まれているどら焼きは、“あんこの味そのまま”の伝統的な和菓子より抵抗なく食べられるのでしょう。
イタリアのオーガニック専門店では、小豆は売っていますがあんこを置いているところは少ないです。
やはり、小豆からあんこまで作るというイタリア人はあまりいないようで、イタリア人のどら焼きレシピではあんこの代わりに見た目が似ているカカオとヘーゼルナッツのクリーム、もしくは栗のクリームなどで代用してイタリア流にアレンジを加えています。
小豆とは比べものにはならないけれど、カカオやヘーゼルナッツ、栗のクリームならヘルシーなので、どら焼きの新しい美味しさを発見できるかもしれませんね。
日本にいると当たり前すぎる庶民的なおやつ。ヘルシーおやつ日本代表として、見直してみませんか?
【著者略歴】
※ KOKO ・・・ 大学時代に訪れたローマでイタリア料理の魅力にふれ、イタリア留学。現在は子育てを中心に観光業、翻訳業、そしてイタリアのカルチャー、ライフスタイルについても情報発信中。
【画像】
※ Nataliya Arzamasova / shutterstock