2016年クラシック候補たち
第5回:サトノキングダム

 例年にないハイレベルと評される、今年の3歳牡馬たち。有り余るスケールを感じさせる大物が複数いるとともに、ここまで無敗で歩んでいる有望株が多いのも、高い評価を生む要因となっている。

 デビューから2戦2勝のサトノキングダム(牡3歳/父ディープインパクト)も、その一頭だ。

 年末の2歳新馬(2015年12月27日/中山・芝1600m)に登場すると、後方から豪快にまくる派手なレースぶりで快勝。続く500万条件のセントポーリア賞(1月31日/東京・芝1800m)では、東京の長い直線で力強く伸びて、デビュー2連勝を飾った。このときの上がりタイムは、33秒5を計測。非凡な末脚を存分に見せつけた。

 同馬を管理するのは、美浦トレセン(茨城県)の国枝栄厩舎。この馬に携わる人たちからすると、2連勝は「いい意味で予想外だった」という。その辺りの事情を、関東競馬専門紙のトラックマンが明かす。

「サトノキングダムは、もともと夏にデビュー予定を立てていました。しかし、体質が弱く、デビューが延び延びに。スタッフ曰く『昨年末にやっと初戦を迎えられた』というのが実情です。その後も、ひ弱さは抜けず、軽めの調教のみ。いまだスタッフが、『まだ負荷をかけられない。本当の完成はまだ先』という状況にあります。それでいて2連勝ですから、『よく勝っている』というのが本音。素質の高さを物語っていますよね」

 同馬が次に挑むのは、GIIスプリングS(3月20日/中山・芝1800m)。目標は、クラシック第1弾となるGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)の権利取りだ。3着以内に入れば、優先出走権を獲得できる。

 先述のトラックマンは、「スプリングSがこの馬にとって試金石になる」と語る。

「まだビシビシと調教できないので、その状態で強豪相手にどこまでやれるのか。その点で不安はありますが、陣営は『少しずつ体はしっかりしてきた』と言っており、その意味での"伸びしろ"は十分に期待できます。過去2戦を上回るパフォーマンスを見せてもおかしくありませんよ」

 粒ぞろいの3歳牡馬戦線に現われたサトノキングダム。2戦2勝の"新星"は、キャリア3戦目でさらなる能力を示すことができるのか。もしそれが叶えば、クラシック本番で待ち構える"大物"たちに、ひと泡吹かせる存在になるかもしれない。

河合力●文 text by Kawai Chikara