◇税金はどうなってるの?


土屋:お坊さんにお礼というと税金がかからないわけですが、商品にすることで税金が発生するのでしょうか。

秋田:我々としては手配する料金である事務手数料が売り上げになりますので、そこでしかるべき税金を納めています。お布施の内訳はお坊さんにお任せしています。

土屋:Amazonさんはクレジットカードが使えますよね。

秋田:Amazon経由の場合は、我々に一度売上が入りますので、そこで我々がしかるべき税金を支払って、お坊さんに残りの分をお支払いします。その場合も、お布施はそれぞれのお坊さんにお任せしています。

土屋:派遣会社みたいなものですか。

秋田:派遣業ではありません。労働者派遣については、労働者派遣法といって法律で定められていて、私たちのサービスはお客様個人へ僧侶様を紹介するサービスですので、派遣事業でありません。そういったことも含めて、顧問弁護士にひとつひとつ確認をしながらサービスを運営しています。

土屋:本当にちゃんと準備して始められたんですね、付け入る隙がない(笑)。みんれびさんがやっていることの仏教界に対する影響度はすごいと思うんです。

秋田:葬儀や法事法要をインターネットでお申込みをするという形は、今後その比率は上がっても、それが全てにはならないと思っています。少なくなってきているとはいえ、もともとお付き合いのあるお寺さんやお坊さんがいらっしゃる方は多いので、今の我々のサービスを利用する方はまだまだほんの一部だと思います。

ただ、我々は今まさに、お坊さんと接点がなくて困っているという方の悩みを我々が解決していくという意味では非常に大きな使命を持って事業を行っています。

土屋:とはいえビジネスじゃないですか。売り上げ目標とか、どのくらいの規模にしたいという目標はあるんですか。

秋田:2014年度は、年間約8000件のお問い合わせをいただいているんです。2015年は120%くらいのペースで増加していますので、困ってらっしゃる方はもっといると思います。より多くの方にこういったサービスがあると知っていただくことが重要だと思っています。

土屋:今後、安易に「テレビ電話でお経を読んでほしい」なんて要望も出てきそうですが、この先にも何かがあるんでしょうか。

秋田:インターネットで解決できることと、そうじゃないことが絶対にあると思うんです。今、ネット上で完結するサービスは沢山ありますが、葬儀や供養は絶対にリアルはずせないですし、はずしてはならないと思っています。日程調整などの部分をオンライン化していく可能性はありますが、さきほどおっしゃったテレビ電話で供養するというようなことは、我々は考えていないですね。

土屋:リアルというのが大事なんですね。

秋田:葬儀・法要でお経を読んでいただくその供養の大切さは、ネットや電話では絶対に伝わらないですね。そのときにお経を読んでもらう側、遺族側がお坊さんのお経と共に故人を供養する思いが最も大切なので、そこはインターネットを活用したビジネスでも棲みわけて考えています。

土屋:ユーザーが困っているようなこと、他にもあるんですか。

秋田:今の事業の主軸はお葬式ですが、お坊さんの手配から、お墓、お仏壇、相続といったことが、今一番の困っていらっしゃるポイントかなと思うんです。

◇23歳で葬儀ビジネスの世界へ


土屋:今後は、冠婚葬祭全部行けるんじゃないかと。株式会社みんれびさんは2009年に創立された会社ですが、どういう経緯で起業されたんでしょうか。

秋田:もともと様々なレビューサイトを運営していて、その中に葬儀関係もあり、今後伸びるようなマーケットはどこだ、と見極めて葬儀の市場に本格的に取り組むきっかけにたどり着いたという感じですね。

土屋:お葬式関係の親戚がいるとかじゃなくて、何かありそうだなというところだったんですね! 秋田さん、その話を最初に聞いたときはどう思いました?

秋田:当時はあまりピンとはきてなかったですね。葬儀にあまり触れたことがなかったので、インターネットで依頼する人がいるのかと半分くらいは疑っていたんですが、実際に動きだしてみると(これまでの葬儀市場の旧来の仕組みには)課題があることが見えてきたので、そこを我々が解決できるんじゃないかと思ってサービスを考えていきました。

土屋:ところで、いまおいくつなんですか。

秋田:30歳です。

土屋:ええええっ!!若っ!!30歳でお葬式考えますか!?

秋田:23歳でこの業界に入っていますので、その当時から…(笑)。

土屋:秋田さんは、どうしてこの会社に入ったのですか?

秋田:実は、CEOの芦沢雅治とは高校の同級生でして、芦沢が会社を立ち上げたときに、ちょうど私が当時勤めていた会社を辞めるタイミングで、一緒にやろうと声をかけてもらって創業メンバーに加わりました。みんれび入社前は保険の総合代理店で、インターネットでお申込みを受け付ける仕事をしていたので、最初に始めた仕事は多少似ていたと思います。その会社には新卒で入りまして、数ヶ月で辞めてベンチャーに来ました。

土屋:ベンチャーに行こうと思ったのは?

秋田:誰かの下でやるよりも、ゼロベースから自分でやったほうが圧倒的にいろんな経験ができるし、成長できる。もともと保険会社にもそういう思いがあって入ったんですが、みんれび立ち上げの話を聞いて喜んで入りました。

土屋:こんな30歳になると想像していましたか。何かきっかけがあったんですか。

秋田:アメリカに留学してからですね。高校を卒業してからアメリカの大学に行かせてもらったんですが、価値観が変わりました。自分で何か行動を起こせば周りが変わっていくというのを目の当たりして世界観が変わった。芦沢も留学経験があるので、同じようなことを感じたのだと思います。