ちゃんこを作る“リビング・レジェンド”獣神サンダー・ライガー

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昨年11月に行なわれたカードゲーム「キング オブ プロレスリング(通称キンプロ)」。この大会賞品が新日本プロレス道場での「ちゃんこツアー」!

そして2月某日、プロレスラーの強靭な肉体の源であり、各団体に伝統がある“ちゃんこ”を道場で食べられるという激レア企画が実践された。

参加選手は現IWGPジュニアヘビー級王者KUSHIDAと多彩な技で数々のタイトルを獲得してきた田口隆祐、さらになんと! ちゃんこを作るのは“リビング・レジェンド”獣神サンダー・ライガーだ。

前編記事(『新日秘伝の道場“ちゃんこ”が激ウマ!「お店を出せる!」レシピとは』)では、そのツアーに密着、参加者がちゃんこに舌鼓(つづみ)を打ち絶賛するまでをレスラー達の思い出とともにお送りした。そして今回は、ライガー選手が語り尽くす、第2弾!

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―「ちゃんこ」は若手の生活と密接な関係にあるんですよね?

ライガー そうですね、まず最初に覚えるのが掃除と電話番とちゃんこ番。電話は外からかかってくるので大きな声でハキハキと応えるのが大事ですし、掃除はみんなが生活するところなので綺麗にする、ちゃんこは体を作るものなので練習と同じぐらい重要なものです!

―今回いただいた湯豆腐の他にはどんなちゃんこが?

ライガー 何種類ぐらいあるんだろう。ノーマルなものは「豚チリ」というポン酢を付けて食べる豚肉のちゃんこ。他にも骨付鶏を使った水炊きとか鶏だんごとかキムチちゃんことか。今はトマト鍋、カレーちゃんこなど昔なかったようなものもみんな工夫して作っていますね。あとは牛肉のバター焼きとかも人気。

―えっ、ちゃんこって鍋だけじゃないんですか?

ライガー 相撲部屋からの流れで、食事の総称! 力士が作ればカレーライスでもちゃんこなんですよ。

―なるほど〜。では、ちゃんこ番で若手時代に苦労されたことは?

ライガー 大失敗したことがありまして! イワシのつみれ鍋を作ってみろと言われたんですよ。でも初めてで「イワシの身をすって入れる」ということしか知らず、頭と内臓を落としただけで、あとは皮も中骨も取らないで入れてしまい…。もう食べれたもんじゃない!(笑)

みんな試合が終わって疲れて帰ってきた時にそんなちゃんこですよ…。永源さんは何も言わず食べてくれたんですけど、高田延彦さんとかにはもう「どうやって食えっつうんだ!?」と大目玉! で、その余った大量のイワシ団子、近所の猫も食わなかったという(笑)

まあ「失敗は成功のもと」とはよく言ったもので、その後に雑誌や本を買って研究して、今ではもう得意技ですよ。ちゃんと手開きで皮をはいで(笑)。失敗したからといって諦めるんじゃなくて、失敗したから次はうまくやってやろうと。

これはプロレスに限らず、そうやってみんな勉強していくんだと思う。だってそれまで母親の作る料理を当たり前のように食べてた若者なわけですから。それをいっぺんに急に15人とか20人とか、合同練習の時なんか30人分の食事を作らなきゃいけないんだからね。

―しかも先輩は有名な選手ばかりですし!

ライガー 僕の時なんかアントニオ猪木さん、坂口征二さん、藤波辰爾さん、木村健悟さん、高田延彦さん、前田日明さんと、もうトップばっかり! そんなTVで観てた人が目の前でご飯を食べているわけですから緊張もします。「おかわり」とか言われたら「ハイ!」って(笑)。

―歴史上の偉人レベル!

ライガー KUSHIDAくんも言ってたけど、普段こんな練習では疲れないはずなのに、やっぱり緊張からくるストレスなどで練習にもついていくのがやっと。2階の寝室にいても「オイ!」って呼ばれたり電話が鳴ったら走って降りていかなきゃいけないし、24時間、寝ている時もいつ名前を呼ばれるかわからない…。だから、いつもピリピリしてました。

理不尽だと思うこともあるし、練習がキツいからだけじゃなく日常生活に耐えられなくて辞めていく新弟子も多いのでね。僕が言うのも変ですけど、プロレスってやっぱり大変だなと思いますよ。

―なるほど。ライガーさんも理不尽な目に?

ライガー 僕が入った当時のレスラーの皆さんはよくビールとかお酒も飲まれたんですよ。試合終わって帰ってくるのは夜の11時か12時ぐらいで。それからお酒を買ってこいと言われると、今みたいにコンビニもないから、夜中に近所の酒屋のドアを「すいませーん!」とガンガン叩いたこともありましたね(笑)。

やはりタテ社会で先輩の言うことをきちんと聞くのも絶対だし、プロレスラーになる人間はひと筋縄ではいかないような個性を持っていたりしますから。いい面も悪い面もあると思いますけど、そこが人間形成や団体生活をしていく上で大事なものになってくると思います。

―みんな個性の塊ですもんね!

ライガー そうだよ。俺ぐらいだよ、マトモなのは!

―えっ…(絶句)。

ライガー オイ!(笑)

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この後、ライガー選手は独特な獣神ジョークを炸裂させながらも台所に立ちっぱなしで料理を続け、スタッフ全員にもちゃんこを振る舞ってくれた。他の選手もサービス精神満載で、田口選手はキンプロではお馴染みのキャラクターの仮装で登場し、異彩を放つ替え歌まで披露。

さらにハスキーすぎるボイスでブレイクした本間朋晃選手も合流し、KUSHIDA選手の“通訳”で盛り上がった他、中西学選手の爆食ぶりも暴露され、参加者は「もう…言葉がありません!」と大興奮。

リングの上だけでなく、常にプロレスラーとしてファンに夢と喜びを与え続ける精神は、ちゃんことともに脈々と受け継がれていることを目の当たりにした道場潜入だった…!

(取材・文・撮影/明知真理子)