男女とも出会いの場を街コンに求める人は今も少なくない。だが、最近の街コンは1店舗開催の“店コン”が主流。かつてのお祭りムードはなくなってる

写真拡大

街コンが劣化している――。

2004年から栃木県宇都宮市で開催されていた『宮コン』が発祥とされる街コン。そのブームは震災後に訪れた。

大手街コンポータルサイト『まちコンポータル』を運営するチェーンバーメディア・事業推進部部長の林智章氏がこう話す。

「2011年10月に福島で『福コン』が開催され、これが日本経済新聞の社説『春秋』欄で取り上げられたのを契機に街コンは全国区となりました。その後、男女数百人〜1千人規模の参加者を集める“メガ街コン”が全国各地で開催されるようになったのです」

当時の街コンの魅力は、街全体が出会いの場と化す“お祭り感”にあった。

街コンに参加する店舗は大規模なものだと20店超にも…。男性は複数の飲み屋を渡り歩きながら女性との出会いを重ね、店舗間を移動する道すがら、参加者の目印となるシールを胸に貼り付けた女性を見つけては声をかけ、次の店へと連れ歩く。その道中、「たくさん子供を生むんだぞ」なんて商店街のオジサンに冷やかされたものだ。

当時、記者も街コンにハマッたクチ。あの頃は楽しかったが…。

「街コンのブームは11年後半から13年まで続きました。その当時は地域活性化や町おこしとして開催され、店側も『町を盛り上げるためなら少々の赤字なら…』と積極的に参加し、街全体がお祭りムードに包まれていました」(林氏)

実は今、それが急激に劣化しているという。象徴的なのが街コンの規模が急速に萎(しぼ)んでいる点だ。

「最近の街コンの参加者数は男女合わせて多くて100人、平均的には20〜30人程度。店舗間の移動がない“1店舗開催”が基本となり、お祭りムードが消失しています」

これではもはや街コンではない、“店コン”だ…。別の街コンポータルサイトの担当者A氏はこう本音を漏らす。

「そうなった原因は我々、街コンポータルサイトにあります」

街コンポータルサイトとは、全国各地の街コンの情報を掲載するサイトのこと。主催する業者は掲載料を払って各ポータルサイトに開催情報を載せ、参加希望者はエリアや日にち、曜日などを指定して目当ての街コンを検索するのが通例となっている。

「街コンポータルサイトの中では、『街コンジャパン』『まちコンポータル』『街コンまとめ』がアクセス数で群を抜き、運営会社3社による寡占状態にあるのが現状です」(A氏)

その街コンポータルサイトが、街コンをダメにした? A氏がこう続ける。

「ポータルサイトの運営会社の間で、アクセス数を稼ぐための競争が非常に激化しています。自社サイトへのアクセスを稼ぐためには、コンテンツ数を増やさないといけません。コンテンツ数を増やすためには掲載件数を増やす必要がある。こうして、ポータルサイトの運営会社主導でメガ合コンは“小分け”にされ、小規模な“店コン”が主流となってしまったのです」

なるほど。各ポータルサイトを見ると、東京、名古屋、大阪などの大都市圏では平日休日問わず毎日、数件〜10件前後の小規模な街コンの情報が多数掲載されている。

「街コンは薄利多売の商売。主催する業者は開催数を増やすことで儲けを伸ばそうとします。そのため、街コン業者の多くは毎週、毎晩といった高頻度なスケジュールで街コンを仕込み、『ぜひともこの開催情報を載せてください』とポータルサイトの運営会社にガンガン送ってくるのです。

一方、運営会社は収益が見込めるだけの街コンの開催数の目標値をエリアごとに割り振っています。例えば『街コンポータル』の場合、名古屋なら月140回が目安。月140回といえば、1日4、5回ペースとやはり高頻度なものとなり、これを達成するには必然的に参加者数を抑えざるをえないというわけです」(A氏)

こうして、全国各地で小規模な“店コン”が量産されるようになったというわけだ。林氏によれば、現状は「完全に街コン数過多の状態」。そのため、申し込んだものの「当日、会場に行ってみたら女性参加者が圧倒的に少ない」、「主催者都合で街コン自体が中止になった」なんて事態が全国各地で相次ぐようになっている。

では、そこまで劣化させてもポータルサイトのアクセス数を稼ぐことが必要なのか…? 『まちコンポータル』の林氏がこう明かす。

「アクセス数はポータルサイトの運営会社にとっての生命線です。例えば、グーグルにおける、『街コン』という単一ワードでの検索回数は月平均13万回。そのうちの20%が検索順位1位のポータルサイトにアクセスするのですが、2位だと6%、3位まで落ちると1〜2%まで急落し、一気に死活問題となってしまいます」

ポータルサイト運営会社によるSEO対策によって量産されるようになった“店コン”。これと歩を合わせて増殖したのが街コン主催業者である。業者が乱立する中、コスパが高いと評判の街コンと、参加者からのクレームが相次ぐ劣悪な街コンの二極化が鮮明になりつつある。中には一部、ブラック化する街コンも…。

次回配信予定の後編では“行ってはいけない街コン”の傾向と、その見極め方について詳報する。

(取材・文/興山英雄)