2016年3歳クラシック
Sportivaオリジナル番付(牡馬編:第3弾)

 牡馬クラシックの第1弾となる皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)まで、残り2カ月を切った。その大舞台を目指す若駒たちの戦いは、一段と熾烈さを増している。この2月には、3月のトライアル戦を前にして、きさらぎ賞(2月7日/京都・芝1800m)、共同通信杯(2月14日/東京・芝1800m)という、注目の重賞レースが行なわれた。

 それぞれ、本番でも主役となりうる有力馬たちが出走。きらさぎ賞では、話題の「大物」サトノダイヤモンドが3連勝で重賞初勝利を飾った。一方、共同通信杯では、ハートレー、スマートオーディンといった期待の重賞ホルダーが惨敗し、大波乱となった。

 まさに明暗分かれた"前哨戦"。今回は、これらの結果と経過を踏まえて、牡馬クラシック戦線を占う『Sportivaオリジナル番付(※)』を発表したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、独特なデータを駆使するパソコン競馬ライターの市丸博司氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今春のクラシックを目指す3歳牡馬の、現時点における実力を分析しランキング付け。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 1位は、きさらぎ賞を制したサトノダイヤモンド。2013年のセレクトセールで2億3000万円(税別)で落札された評判馬が、3戦無敗で一気に頭角を現し、GI馬リオンディーズをも退けてトップに立った。

市丸博司氏(パソコン競馬ライター)
「タイムフィルター指数(※市丸氏が独自に編み出したデータ指数)では、2走目で500万条件を勝った時点で、早くも5位にランクインしており、きさらぎ賞は『どういう勝ち方をするのか』だけが焦点だと思っていました。ところが、期待以上の圧勝。ほとんど追われることなく、後続をぶっちぎってしまったのですから、少なくともきさらぎ賞に出走した他の馬とはモノが違いました。皐月賞以前に出した指数としては、過去7年の牡馬の中では、ヴィクトワールピサの弥生賞、オルフェーヴルのスプリングSよりも高く、このまま皐月賞に直行しても、勝ち負けできるレベルにあると判断できます」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「鞍上のルメール騎手が絶賛しており、牝馬のメジャーエンブレム同様、世代上位の力を持っているのは間違いないでしょう。中山へのコース替わりも問題なさそうです。個人的な懸念とすれば、ルメール騎手の唯一の弱点だと思っている、大舞台での勝負弱さくらいでしょうか」

 2位は、2歳チャンピオンのリオンディーズ。サトノダイヤモンドの台頭により、1位の座を譲る形となった。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「天候や馬場状態、さらにメンバー構成と走破時計を鑑(かんが)みれば、朝日杯フューチュリティS(2015年12月20日/阪神・芝1600m)のレースレベル自体には疑問符がつきます。しかし、2戦目でGIを勝った意義は大きいです。また、この血統特有の力む面などがまだ完全に解消されたわけでもなく、課題が多いことも事実ですが、心身ともに子どもといった状態にありながら、GIを勝ったということも、これまた真実。この血筋の爆発力と底力を継承し、伸びしろが未知数な点も魅力です。心身両面の成長があって、バランスが取れてくれば、春の二冠(皐月賞、ダービー)達成も十分にあり得る逸材でしょう」

土屋真光氏(フリーライター)
「完成度という点では、むしろまだまだ粗削りで、危なっかしい面もあって、とても高いレベルにあるとは言えません。しかしながら、やはり朝日杯FSの内容から、大きいところを狙える"器"だと感じました。優等生然としたサトノダイヤモンドとの優劣はつけがたいものの、スケール感ではこちらが上と見ています」

 3位以下は、上位2頭とは大きく離される結果をなったが、オープン特別の若駒S(1月23日/京都・芝2000m)を快勝したマカヒキが、血統のよさもあって一気に躍進。歴戦の重賞勝ち馬たちを押しのけて、ランク外から3位に飛び込んできた。

吉田氏
「若駒Sでは、上がり32秒6の時計を叩き出して完勝。デビュー戦後に鼻出血を発症しており、あまり詰めて使うのはよくなさそうなので、この勝利でゆとりのあるローテーションを組んでクラシックに行けるのはプラス材料でしょう。まだ、スローの上がり勝負しか経験していませんが、馬体のよさや、良質のバネ、クッション性を考えれば、おそらく展開や舞台も不問だと思います。上位2頭にヒケをとらない素材です」

土屋氏
「全姉のウリウリはマイル以下に良績が集中していますが、この馬はスローな流れの中、自分から動いて終(しま)いを32秒6でまとめたように、長くいい脚が使えて距離面での融通が利きそうです。問題は、速い流れになったとき。そこでどう対応できるかがカギになりますが、次走予定の弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)でそんな形が試せて結果が出れば、本番での勢力図が変わってもおかしくないでしょう」

 4位は、ハートレーとロードクエスト。前回2位のハートレーは、2戦目に重賞のホープフルS(2015年12月27日/中山・芝2000m)を快勝して一躍クラシックの有力候補に挙がったが、共同通信杯の惨敗(9着)を受けて評価が急落した。

市丸氏
「レベルの高い今年の牡馬クラシック戦線にあって、ハートレーは共同通信杯で"謎の凡走"を喫してしまいましたが、まだ見限るには早計でしょう。ホープフルSの走りは高く評価できますから、『打倒・サトノダイヤモンド』を見込まれる素質馬たちの一頭からは外せません」

木南氏
「ハートレーの共同通信杯の結果は、目いっぱいの仕上げでなかったこと、少頭数とはいえ大外発走で集中力が欠けていた点が敗因と考えて、"ノーカウント"と見ます。近年、クラシックにつながらないホープフルSですが、ロードクエストを完封した走りがまぐれのはずがありません。

 一方、新潟2歳S(2015年8月30日/新潟・芝1600m)の覇者ロードクエストは、そのハートレーにホープフルSでは敗れました(2着)。4コーナーでハートレーと接触する不利があっただけに、陣営としては悔しい敗戦だったようです。ともあれ、新潟2歳Sは衝撃の走りでした。ステップレースの結果次第では、皐月賞で再び上位人気に顔を出してくるのではないでしょうか」

吉田氏
「ホープフルS2着のロードクエストは、ディープインパクト産駒の切れ味に屈しましたが、そのレースで改めて能力の高さを示しました。マツリダゴッホ産駒らしい胴長&脚長の体形で頭の高い走法から、血に違わぬ中山巧者ぶりを発揮。本番の皐月賞へ、楽しみが膨らんだと言っていいでしょう。完成度が高く、大崩れなく能力を発揮できるタイプというのも好感が持てます」

 ランク入りは逃したものの、今回改めて評価されたのは、エアスピネル。3者から4位の評価を得た。

土屋氏
「朝日杯FSまでの走りから、マイラーのイメージが強いようですが、血統的には2000m前後の距離がベスト。実際、3着以下をちぎった朝日杯FSの内容から、皐月賞まではその能力でカバーできると見ています。中山巧者の血統も、後押しになるのではないでしょうか」


 さて、このあとはいよいよトライアル戦。とりわけ注目されるのは、皐月賞と同じ舞台で行なわれる弥生賞だ。ここには、リオンディーズ、マカヒキ、エアスピネルら、有力馬がこぞって出走予定。今後を占う意味では、非常に重要な一戦となる。さらに、皐月賞に限らず、ダービーにも関連が深いレースだけに、その行方からますます目が離せない。

text by Sportiva