ウェイン・ワン監督、ビートたけし、西島秀俊にインタビュー!

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『スモーク』(95)のウェイン・ワン監督のもと、ビートたけしと西島秀俊が共演する。『女が眠る時』(2月27日公開)は、ゾクゾクするようなタッグが叶った魅惑のセクシー・サスペンスだ。そこで、三人の豪華鼎談を敢行。西島が、たけしとの共演で受けた「イチからやり直さなきゃ」と感じるほどの刺激を明かしてくれた。

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舞台は美しい海辺のリゾートホテル。スランプ中の作家・健二(西島)はある日、初老の男・佐原(たけし)と、若くて美しい女性・美樹(忽那汐里)のカップルを見かける。カップルの放つ異様な雰囲気に目を奪われた健二は、覗きへの好奇心を止められず、罪悪感に苛まれながらも次第に自分自身を見失っていく…。

佐原と健二。緊張感あふれる二人の関係性が、観客を物語へと引きずり込む。ワン監督は「佐原も健二もとても強い執着心を持ったキャラクター。健二は佐原と美樹を見つめることで、より一層その執着心を強めていくんだ。この二人のケミストリーが、映画のドラマ性を強めてくれるものだ」と関係の重要性を説く。

佐原の狂気に触れるにつけ、健二は恐れを大きくするが、どこか二人が“師弟”のように見えてくるから不思議だ。この奇妙な関係性を体現する役者にたけしと西島を選んだことについては、「二人とも役者としてものすごく強いものを持った方々だからね」とワン監督。「お二人はリアルに感じられないことは演じない方々。僕には映像作家としてのセオリーがあるんだけれど、それは“キャラクターにリアルにあってほしい”ということなんだ。なのでお二人に演出として話したのは、『演技をしないでくれ』ということだけなんだよ」

たけしの自作以外での映画主演は、実に12年ぶりのことなった。たけしは「よく記者の人が、『この映画であなたは何を伝えたいですか?』って監督に聞くじゃない?そうすると俺は、『言葉でいえるくらいなら映画なんて撮らないだろう』というんだけど、この映画は、『じゃあ、あなたはこの映画を観てどう思うんだ』という逆襲の映画だと思うんだよね。あらゆる年代の人も、男女も、教養度も含めて、全員が違う意見を持っても構わないような映画」と解釈を観客に委ねた本作の姿勢に、感心しきり。

「だからこそ、演じる側は、どんなふうにも解釈できるように役を演じなければいけない。『こういうふうに見てくれ』とは演じちゃいけないんだよね」と演じる上での苦労もあったようだが、「俺は演技の基本的な教育も受けていないし、自分の演技がうまいとは全然思っていないんだけど、とにかく画面に映る自分が、監督のイメージ通りに映っていたのかだけが心配で。被写体として成り立っていたなら、よかったなあと思う」とあくまでもワン監督の素材に徹して、佐原役を演じきった。

佐原を演じたたけしに、刺激を受けまくっていたのが西島だ。西島は「僕の演じた健二というのは、現実で起きていることを見ないようにして生きている人。一方、佐原というのは、美樹に対して『こういうことをしたい、この娘を手放したくない』という愛情をすごくストレートに出すキャラクターで。その結果、健二が日常で見ないようにしている、隠している部分が暴かれていくんですが、それこそがたけしさんが持っている資質だと思って。もともとたけしさんに、『みんなが見ないようにしているものを暴いていく』という資質があって、それが役と一致している感じがしていました」とたけしが演じることで、佐原がより力強い存在になっていると話す。

さらには「たけしさんご本人は、僕の中でのイメージでは、いろいろなことに執着しない方という感じがあって。今までやってらしたキャラクターも、生に対しても女性に対しても、執着がないキャラクターだったりする。でも今回は、愛情にすごく固執する役をやられていて、完成作を観たらそれが本当に素晴らしかった。現場でももちろん勉強になったんですが、完成作を観ても、『僕はもう、イチから色々とやり直さなきゃな』と思いました。たけしさんがアート映画をやられると、全く僕なんか勝負にならない」と苦笑いで、降参宣言。「こう思えたのは、2015年の一番大きな出来事。これから心を入れ替えてやっていかなきゃなと、ものすごいインパクトを受けた作品になりました」と今後の糧となるような、貴重な経験となった様子だ。【取材・文/成田おり枝】