野口健とレミオロメン藤巻亮太の意外な組み合わせ 山が繋いだ2人の友情とは…

登山家とミュージシャン。意外な組み合わせのようで、実は“親友”という野口健さんと藤巻亮太さん。2人はこれまで、世界の山々や秘境を6度も一緒に旅してきた仲。本展では、そんな2人が、常にカメラとともにあったという旅の中で撮りためた、珠玉の写真が公開される。
野口:亮さんと知り合ったのは、7年ぐらい前だったよね?
藤巻:雑誌の対談で。その数日後に居酒屋でバッタリ会ったんですよね。それで2人で飲みに行こうっていうことになって、次にはもう八ヶ岳に連れていってもらってました(笑)。
野口:すごい豪雨で…。でも、亮さんは楽しそうに写真を撮ってた。
藤巻:その頃、ちょうど写真にはまっていたので。
野口:高校生の時まで写真家になろうと思っていた僕としては、そんな亮さんの姿に刺激を受けてね。「ブログに写真をアップして、どっちの評判がいいか対決しよう!」ってことになって。それが楽しくて、また行くことになったんだよね。
藤巻:しかも、2度目がいきなりヒマラヤ! 登山初心者だったので不安はありましたけど、何より人生観が変わる経験ができたのは大きかった。山を歩いているうちに、その時の自分が近視眼的になっていたことに気づいて、物事を客観視できるようになれました。そういう場所に連れていってくれた健さんには、本当に感謝しています。
野口:僕はその頃、ヒマラヤには50回以上も登っていて、正直、山に飽きちゃっていたんだけど、写真っていうテーマを改めて得たことで、見落としていた風景と出合えて…。おかげで山に登るのが、また楽しくなりました。お互いにとって、いいタイミングだったんだね。
藤巻:確かに。その後も2人でヒマラヤに2回、あとはアフリカとアラスカにも行きましたね。
野口:今回の写真展では、その旅の写真を展示しているわけだけど、同じ場所で撮影したのに、視点が全く違うからおもしろい。
藤巻:健さんの写真は骨太で、「生きていくって何なんだろう」って問いかけているような気がします。
野口:そう? 亮さんの写真は、ふわっと包み込む感じかな。
藤巻:僕は旅の中で、頭で考えるより、心が動いた瞬間にシャッターを切っていました。そういう気持ちにさせてくれる旅の豊かさが、写真から少しでも伝わると嬉しいですね。
◇フジフイルム スクエア 東京都港区赤坂9-7-3 東京ミッドタウン・ウェスト TEL:03・6271・3350 2月19日(金)〜3月9日(水) 10:00〜19:00(入場は18:50まで) 会期中無休 入場無料
◇左/ふじまき・りょうた ミュージシャン。同級生3人でレミオロメンを結成し、2003年デビュー。現在はソロで活動。初写真集『Sightlines』(ぴあ)が発売中。3月、3年半ぶりのソロアルバムを発表。右/のぐち・けん 登山家。1999年にエベレスト初登頂。当時の7大陸最高峰の世界最年少登頂記録を、25歳で樹立。今月、写真集『ヒマラヤに捧ぐ』(集英社インターナショナル)が発売されたばかり。
※『anan』2016年2月24日号より。写真・郄橋マナミ インタビュー、文・保手濱奈美 《anan編集部》