ビックリしてしまった。フットサルのW杯予選を兼ねたアジア選手権で、日本が敗れたのである。

 僕はフットサルに詳しくない。カズこと三浦知良の代表入りで、12年のフットサルW杯を取材したのがたった一度の取材実績である。
 
 フットサルに明るい同業者は、W杯が開催されるコロンビアへの渡航を心配していたものだった。W杯は取材したいが治安の悪さは気になる、というのが彼らの悩みだった。W杯出場を前提として、僕らの会話は成り立っていた。

 それも当然だっただろう。1999年から開催されているアジア選手権で、日本はベスト4以上を逃したことがなかった。02年以降は10大会連続でトップ3をキープし、過去2度は優勝を飾っていた。

 上位5か国が得るW杯の出場権を、日本が逃すとは考えにくい。今大会の目標は3連覇で、その先には前回のW杯を上回る成績──世界のベスト8入りを見据えていたはずである。

 W杯の出場権を逃したのは、それだけに衝撃だ。

 スケール感がちょっと違うかもしれないが、僕はブラジルW杯のスペインを思い返した。前回王者としてW杯に乗り込みながら、グループリーグで敗退したビセンテ・デルボスケのチームが、今回の日本に重なるのだ。

 あるいはまた、2000年以降のアジアカップで3度の優勝を記録していたにも関わらず、15年1月の大会でベスト8敗退に終わったハビエル・アギーレ監督(当時)の日本代表が連想される。準々決勝のPK負けは、アギーレのチームをより強く思い起こさせる。

 チームを率いるミゲル・ロドリゴ監督は、優れた戦略家にしてモチベーターである。フットサル先進国のスペインから来日し、野心と謙虚さを胸に抱いてチームを率いてきた。14年に彼の著書の手伝いをしたことがあるが、今年コロンビアで開催されるW杯へのモチベーションは高く、なおかつ揺るぎのないものがあった。

 ならばなぜ、日本は敗れてしまったのだろう。

 ミゲル・ロドリゴ監督は就任8年目を迎えているが、チームにマンネリ化や停滞感はなかったと感じる。

 ベトナムとの準々決勝は、勝ち切れないままPK戦へ持ち込まれた。キルギスとの順位決定戦は、セットプレーから先行された。リスク覚悟のパワープレーを仕掛け、リスクがそのままスコアに反映されて2対6で大敗した。

 どちらのゲームも、決定機では上回っていた。決めるべき場面を生かせなかった。負けるときはこういうもの、とも言える。

 対戦相手の変化も、理由にあげられるのではないだろうか。

 絶対的な評価として、日本はレベルアップを果たしてきた。同時に相対的な評価として、日本とその他の国々のレベルが拮抗していると考えるべきだ。

 いずれにせよ、W杯出場を逃した現実は厳しい。これからどのように、代表チームを建て直すのか。思いきった改革も、必要になってくるかもしれない。