2月21日(日)は2016年の最初のJRAGIフェブラリーステークス(ダート1600m)。筆者は牝馬ホワイトフーガ(牝4、美浦・高木登厩舎)に注目している。

 ホワイトフーガと言えば昨年11月に大井競馬場で行われたJpnI JBCレディスクラシック(ダート1800m)での5馬身差圧勝が印象深い。6月のJpnII関東オークス(川崎・ダート2100m)で2着に2秒3差の大差勝ちを収めていたものの、その後、古馬との対戦となったJpnIIIブリーダーズゴールドカップ(門別・ダート2000m)、JpnIIレディスプレリュード(大井・ダート1800m)でいずれも3着と連敗。一線級に入るとまだ力不足という印象で、JpnI JBCレディスクラシックでは4番人気に過ぎなかったが、直線では最内を鋭く伸びてあっという間に後続を突き放す圧巻の走りを見せた。そして前走のJpnIIITCK女王盃(大井・ダート1800m)では2着との着差こそ1馬身1/4と縮まったものの、危なげない競馬で1.2倍の圧倒的人気に応えている。

 JpnIIレディスプレリュードとJpnI JBCレディスクラシックとのわずか約1カ月の短い間にこれほど急激な成長を見せたのは、成長著しい3歳秋という時期や、古馬と2回戦った経験などさまざまな要素があるだろうが、それを可能にさせた大きな要因は、この馬の血統の素晴らしさであるように思う。

 父クロフネはGI NHKマイルカップ(東京・芝1600m)、GIジャパンカップダート(東京ダート・2100m)の勝ち馬で、ダートではジャパンカップダートとGIII武蔵野ステークス(東京ダート1600m)の2戦でいずれも日本レコードのぶっちぎりと、圧倒的な強さを見せた馬。種牡馬としてはGIスプリンターズSなど短距離GI2勝のカレンチャン、昨年のGI NHKマイルCを勝ったクラリティスカイなどを出し成功を収めている。

 意外にも、ダートGI/JpnII級の勝ち馬はホワイトフーガが初めてで、JRAのダート重賞も昨年のGIIIマーチステークスを勝ったマイネルクロップ1頭のみと、ダートでの実績は目立っていない。しかし、実はGIフェブラリーSの舞台となる東京ダート1600m戦では過去30年間の全種牡馬の中で最多勝となる61勝を挙げている得意条件。何より、クロフネがGIII武蔵野ステークスで日本レコード勝ちを果たしたコースだ。

 母マリーンウィナーは南関東で5戦2勝と平凡な成績に終わったが、勝利したレース(川崎・ダート1400m)は2着に2秒6差を付ける圧勝で、高い素質を秘めていた。さらに、祖母の弟にドイツ賞など欧州でGI4勝のキャンパノロジストがいて、さらに遡るとグラスワンダー(GI有馬記念などGI4勝)、ダノンシャンティ(GI NHKマイルC)、ヴィルシーナ(GIヴィクトリアマイル連覇)、シングスピール(GIドバイワールドカップ、GIジャパンカップ)、デヴィルズバッグ(米2歳牡馬チャンピオン、タイキシャトルの父)など、日本のみならず世界的にも多くの名馬が出ている名門牝系。日本の現役馬も先日のGIIアメリカJCCを勝ったディサイファ、同2着のスーパームーン、GII日経新春杯2着のシュヴァルグランなど、多くの馬が活躍している。

 2007年のGI日本ダービーを制したウオッカ以降、ダイワスカーレット(GI有馬記念など)、ブエナビスタ(GIジャパンCなど)、ジェンティルドンナ(GIドバイシーマクラシックなど)など牡馬顔負けの牝馬が続出し、近年は"女傑の時代"と呼ばれて久しいが、それらはいずれも芝レースでのものだった。しかし、昨年はJpnI JBCスプリントのコーリンベリー、GIチャンピオンズカップのサンビスタと、ダートGI/JpnIで牝馬による初制覇が続いている。

 フェブラリーステークスは1997年にGIに昇格されて以降、牝馬は16頭が出走し計24戦で0勝、2着1回(2000年ゴールドティアラ)、3着2回(2000年ファストフレンド、2001年トゥザヴィクトリー)という成績。過去14年連続で馬券に絡んでいないが、GIチャンピオンズカップも、昨年までは牝馬が馬券に絡んでさえいなかったレースなので、そのジンクスが破られた今の流れなら、このGIフェブラリーステークスでも牝馬の台頭が期待できそうだ。ホワイトフーガの走りに注目しよう。

平出貴昭(サラブレッド血統センター)●文 text by Hiraide Takaaki