約410gの驚異の軽さ! 「LAVIE Hybrid ZERO」の11.6型モデルは理想の2in1か?
NECパーソナルコンピュータの「LAVIE Hybrid ZERO」シリーズは、“世界最軽量”にこだわった薄型・軽量のノートパソコンだ。13.3型モデルと11.6型モデルの2タイプをラインアップするが、今回は11.6型の「HZ330/DAS」をレビューしていきたい。着脱式キーボードがセットになった2in1タイプのWindowsタブレットで、重量は約410g、キーボード込みでも約798gと非常に軽量なのが魅力だ。

NECパーソナルコンピュータが2016年2月25日に発売するLAVIE Hybrid ZERO HZ330/DAS。11.6型液晶を搭載するWindowsタブレットで、着脱式のキーボードが付属する。価格.com最安価格は188,673円(2016年2月15日時点)
LTE対応のSIMフリーモデルや3Dカメラ搭載モデルを用意
まずラインアップを整理したい。LAVIE Hybrid ZEROの11.6型モデルは、「HZ330/DAS」「HZ300/DA」「HZ100/DA」の3機種からなる。機種によって搭載するCPUの種類やストレージの容量が異なる。また、エントリーモデルのHZ100/DAにはキーボードが付属しないなどの違いもある。
CPUは、HZ330/DASとHZ300/DAがCore m3-6Y30を、HZ100/DAがPentium 4405Yを搭載する。どちらも開発コードネーム「Skylake」と呼ばれるインテルの第6世代CPUだ。開発コードネーム「Broadwell」と呼ばれる旧世代のCPUよりグラフィック機能が強化されている。2in1パソコンやタブレット向けのCPUだが、Atomプロセッサーより性能が高く、Core iプロセッサーより省電力性能がすぐれているのが特徴だ。動作周波数は、Core m3-6Y30が0.90GHzと低いものの、CPUに余力があるときは、ターボブースト機能により最大2.20GHzまで上昇して動作する。Pentium 4405Yはターボブースト機能には対応しておらず、動作周波数は1.50GHz。ストレージはeMMCで、容量はHZ330/DASとHZ300/DAが約128GB、HZ100/DAが約64GBだ。メモリーは3機種とも4GB。ディスプレイは1920×1080の11.6型液晶を搭載する。
今回試したHZ330/DASはLTE対応のSIMフリーモデル。同じ仕様のHZ300/DAはインテルの3Dカメラを搭載する。キーボードが付属しないHZ100/DAは、重量が約398gで一番軽い。カラーはHZ330/DASがムーンシルバーの1色、HZ300/DAとHZ100/DAがムーンシルバーとストームブラックの2色から選べる。
※記事訂正(2016年4月4日):初出時にストレージの種類をSSDと記載していましたが、正しくはeMMCでした。お詫びして訂正いたします。

LAVIE Hybrid ZEROの11.6型モデルのラインアップは3機種。搭載するCPUの種類やストレージの容量が異なる。このほか、Core m5-6Y54(1.10GHz、最大2.70GHz)を搭載したカスタマイズモデル「LAVIE Direct HZ(D)[Hybrid ZERO]」も用意。店頭モデルにはない限定の「プレシャスゴールド」も選べる
本体は約410g、キーボード込みでも約798g
今回試したHZ330/DASは、とにかく軽い。本体の重量は約410gで、アップルの定番タブレット「iPad Air 2」(Wi-Fiモデルが437g)よりも軽いのだ。中身が入っていないと思うほど軽く、片手で軽々と持てる。タブレットらしく手に持って電子書籍を読んだり、Webページを閲覧したりしても疲れることはないだろう。さらに、着脱式のキーボードをセットにしても、たった約798gしかない。同社によると、11.6型デタッチャブルPCとしては世界最軽量だという。
本体のサイズは約292(幅)×192.5(奥行)×7.6(厚さ)mm。A4用紙(297mm×210mm)よりも小さく、カバンへの収まりもよい。厚さも7.6mmとスリムだ。キーボード搭載時のサイズは約294(幅)×206.5(奥行)×13.4〜17.9(厚さ)mmと一回り大きくなるが、こちらもA4用紙以下。ベゼルがもう少し細ければなおよしだが、十分コンパクトで携帯性は非常に高い。

本体の重量は実測で408gだった。薄型・軽量のタッチフィルム、薄型のダイレクトボンディング、新規開発のバッテリーなど、この軽さを実現するために、あらゆるパーツを見直したという。同社の世界最軽量への強いこだわりと高い技術力が光る

キーボード搭載時の重量は実測で791g。本体の背面(バックカバー)と内部フレームには、初代「LaVie Z」と同じマグネシウムリチウム合金を採用。カーボン繊維積層板やマグネシウム合金、アルミニウム合金など、パソコンに使われる主要な素材よりも比重が小さいのが特徴の素材だ。キーボードにはマグネシウム合金を使っている
キーボードにはバッテリーを内蔵、外部インターフェイスも
次にキーボードをチェックしていきたい。本体とキーボードは、マグネット、サポートピン、物理コネクターで接続する仕組みだ。物理コネクターがあるので、しっかりと固定される。それでいてサポートピンがあるので挿しやすい。ノートパソコンスタイルで利用するときには、キーボードに角度が付くようになっており、キー入力しやすいように配慮されている。重量のバランスもよく、画面をタッチしても倒れることはなかった。
キーボードは13.3型モデルと同じ6列配列だが、キーピッチは17.5mmと少しだけ窮屈だ(13.3型モデルは18mm)。ストロークは13.3型モデルと同じ1.2mm。ストロークが短めで、長時間強めにタイプすると指が痛くなったが、この辺は好みが分かれるところなので、店頭で実際に試してみてもらいたい。タッチパッドはボタン一体型で小さめ。反応がよく、心地よく操作できるが、反応がよすぎて文字入力中に指が少し触るとカーソルが飛んでしまうこともあった。細かい操作をするときは、マウスがあるとよさそうだ。細かな点でいろいろと不満はあるが、2in1タイプの着脱式キーボードとしてはよくできている。

「Shift」キーと「ろ」きーの間にカーソルキーの「↑」キーが挟まっているなど、少しクセのあるキーレイアウト。レイアウト自体は13.3型モデルと同じだが、一部のキーは小さくなっている
また、キーボードの正式名称は「モバイルパワーキーボード」ということで、拡張バッテリーが内蔵されている。本体のバッテリーと合わせて約10.3時間のバッテリー駆動が可能だ(カタログスペック、JEITA2.0)。本体だけだと約5.6時間と短めだが、キーボードといっしょに使うことで、最近のモバイルノート並みの駆動時間となるわけだ。電源コネクターは本体側とキーボード側の両方に搭載されている。どちらにACアダプターを挿しても、本体側から充電される仕組みとなっている。
さらに、キーボードには外部インターフェイスも搭載されている。2基のUSB3.0端子とフルサイズのHDMI出力端子を備えており、モバイルノート並みの拡張性だ。本体には、USB 3.0 Type-C、microSDメモリーカードスロット、nano SIMカードスロットしか備えていないので、キーボードに汎用性の高い外部インターフェイスがあるのは便利だ。

2つのバッテリーの残量は、バッテリー1(本体側)、バッテリー2(キーボード側)と表示される。電源コネクターは本体とキーボードの両方にあるが、どちらにACアダプターを挿してもバッテリー1(本体側)から充電される仕組みだ

本体にはUSB3.0 Type-Cを搭載する。先進的ではあるが、周辺機器が少なく、まだまだ実用的とは言えない。キーボードには2基のUSB3.0端子(1基はパワーオフUSB機能付き)とHDMI出力端子を備える
Atom搭載モデルよりパフォーマンスは上!
続いてパフォーマンス面をチェックしていきたい。HZ330/DASはCPUにインテルのCore m3-6Y30 (0.90GHz、最大2.20GHz)を搭載する。Core iプロセッサーとAtomプロセッサーの中間に位置づけられるCPUで、日本マイクロソフトの「Surface Pro 4」のエントリーモデルなども採用している。メモリーは4GB、ストレージは128GBのeMMCだ。パソコンの総合性能を測定するベンチマークソフト「PCMark08」(Futuremark)のスコアは2300以上と悪くない。実際のWindowsの動作も軽快で、十分満足できるレベルだ。Atomプロセッサーを搭載するモデルでは、負荷の高い作業を実行すると動作が重くなってストレスを感じる場合があるが、本モデルでは遅いと感じることはほとんどなかった。
前述の通り、今回試用したモデルはSIMフリーのモデルで、格安SIMを使って通信ができる。対応バンドはLTEが1/3/19/21、3Gはバンド1/6/19で、NTTドコモの主要なバンドをカバー。手持ちのIIJのデータ専用SIMカードを挿してみたところ、問題なく通信できた。また、スタンバイ時でも断続的に通信を行い、メールやオンラインのスケジュールを常に最新の状態にしておける「Instant Go」にも対応する。

PCMark 8のホームユースで想定される使い方をした場合のパフォーマンスを測定するHome acceleratedのスコア

LTE対応のSIMフリーモデルなので、格安SIMを使って通信が可能
オプションで超軽量キーボードを用意
LAVIE Hybrid ZEROの11.6型モデルには、オプションで「フラットカバーキーボード」(型番は「PC-VP-KB37)が用意されている。カバーとしても使える薄型・軽量キーボードで、重量は約187gしかない。本体と合わせても約597gだ。厚さも12mm未満と薄さを損なうこともない。薄くするために、キーには携帯電話(ガラケー)のボタンに用いられているメタルドームスイッチタイプを採用。打鍵感があり、軽いタッチでタイピングできるが、「Space」キーや「Enter」キーなどの大きなキーは、スイッチが複数あり、その間を押してしまって上手く認識されないときもあった。また、タッチパッドがないので、画面をタッチして操作するかマウスを使わなければならない。キーボード付きで600gを切るのは素晴らしいが、入力性を重視するなら付属のキーボードを使ったほうがよさそうだ。

薄くて軽いフラットカバーキーボードをオプションで用意する

フラットカバーキーボードはカバーとしても利用できる。取り付けたままでくるりと回転する

キー配列は、標準で付属するキーボードと同じ。ポリウレタン表皮にエンボス加工を施すことで、キーの輪郭を出している

メタルドームスイッチタイプのキーボードを採用。ストロークは0.3mmしかないが、クリック感はある。キーボード付きで600gを切るのは素晴らしいが、さすがにこれをメインで使うのは難しそうだ

キーの上の四角いスペースにはスタンドが収納されており、引き出して使う。角度の調整ができないのが残念
13.3型モデルも超軽量で、どちらにするかが悩ましい
HZ330/DASは、カタログスペック通り、超軽量なWindowsタブレットであることがわかった。筆者は約1kgの13.3型の他社製のモバイルノートを持ち歩くことが多いが、本モデルを使ったあとだと、ずいぶん重く感じてしまう。基本スペックも高く、付属のキーボードの使い勝手も悪くない。気になるのは本体のバッテリー駆動時間が短いことだが、キーボードといっしょに使えば、その問題も解消される。残念なのは、Windows 10にはタッチ対応の魅力的なアプリが少ないこと。タブレットとして使える軽さを実現していても、アプリがないと、使い道が限られてしまう。
悩ましいのは同じLAVIE Hybrid ZEROの13.3型モデルも、11.6型モデルと同じくらい軽いことだ。タッチ非対応の「HZ550/DAB」は、13.3型の高解像度な液晶を搭載しつつ、約779gとキーボード込みのHZ330/DASよりも軽い。しかも、CPUにCore i5-6200Uを搭載しており、性能も高いので、実に悩ましい選択になりそうだ。実用度は13.3型のほうが高そうだが、持ち歩く頻度が高ければコンパクトでLTE対応のHZ330/DASのほうが満足度は高そうだ。
>> 約410gの驚異の軽さ! 「LAVIE Hybrid ZERO」の11.6型モデルは理想の2in1か? の元記事はこちら