2016年クラシック候補たち
第3回:マカヒキ

 2005年のクラシック三冠(皐月賞、日本ダービー、菊花賞)を制すなど、GI通算7勝を挙げて社会現象を巻き起こしたディープインパクト。コンビを組んだ武豊騎手が「空を飛んでいるよう」と言わしめた"英雄"は、引退後も種牡馬としてリーディングトップの座を保持し続けている。

 その偉大なるディープインパクトの息子であり、まさにその父と同じ道のりを歩もうとしている3歳馬がいる。馬主もまた、父と同じく金子真人氏という、マカヒキ(牡3歳)である。

 同馬は、10月のデビュー戦を鋭い切れ味で快勝したあと、レース後に鼻出血が判明。しばらく休養に入ったものの、復帰戦となったオープン特別の若駒S(1月23日/京都・芝2000m)を難なく快勝した。スローペースの中、じっくりと中団やや後方に構えると、直線ではムチも使わずに前方馬群を一気にとらえて、段違いの切れ味を披露。上がり3ハロンで32秒6という驚異的な時計をマークし、完全な前残りの展開を突き抜けてしまったのである。

 デビュー戦を快勝し、2戦目の若駒Sを楽勝したのは、父ディープインパクトと同じ。さらに、3戦目の予定がGII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)というのも、父の足跡と一致する。

 マカヒキを管理するのは、栗東トレセン(滋賀県)の友道康夫厩舎。将来有望な若駒に対し、スタッフたちからはこんな評価が聞かれるという。関西競馬専門紙のトラックマンがその様子を伝える。

「マカヒキはかなりの切れ味を秘めていて、陣営では『典型的なディープインパクト産駒』という見方がされています。そのうえで、『乗りやすく、操作性が高い』とスタッフの誰もが絶賛。『今のところは、レースで引っかかるような面もなく、デビュー戦後に発症した鼻出血の心配もない』ということです」

 今年の3歳牡馬クラシック戦線は、良血の実力馬が目白押しでハイレベルの様相を呈している。おかげで、マカヒキも現状では有力馬の一頭に過ぎないが、「そうした状況にスタッフは、『普通の年なら、もっと評判になっていい馬なんだけどね』と苦笑いしていました」とは、前述のトラックマン。マカヒキに対する陣営の評価の高さがうかがえるやり取りだ。

 マカヒキの今後の展望について、再びトラックマンが明かす。

「若駒Sは、スローペースからの瞬発力勝負。こういうレースをしたあとは疲れが出やすいのですが、マカヒキからそういった面は見られず、レース後もすこぶる順調のようです。一冠目となる皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)に向けて賞金も加算できたので、続く弥生賞では『メイチの仕上げではいかない。皐月賞と同じコースを経験するのが最重要』というのがスタッフの考え方。これまでは、ディープ産駒が得意な京都の軽い芝で連勝してきましたが、質の違う中山の芝でどんな走りを見せるか、注目ですね」

 弥生賞では、前走と同じくルメール騎手が手綱を取る。しかし彼には、デビューから3連勝でGIIIきさらぎ賞(2月7日/京都・芝1800m)を制したサトノダイヤモンド(牡3歳/父ディープインパクト)というお手馬もいる。そのため、「本番では別の騎手が手綱を取ることになるのでは......」とトラックマンは語る。

 ディープインパクトのキャリアをなぞるように、戦績を積み上げてきたマカヒキ。"英雄"と謳われた父と同様、もしくはそれ以上の活躍ができるのか、熾烈な牡馬クラシック戦線からますます目が離せない。

河合力●文 text by Kawai Chikara