オープニングを盛り上げた山田洋次監督と本広克行監督

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 本広克行監督がディレクターを務める、香川県の「さぬき映画祭2016」が2月11日、開幕した。高松・イオンシネマ高松東ではオープニング作品「家族はつらいよ」が上映され、山田洋次監督が本広監督とともに舞台挨拶に立った。山田監督は、「大変立派な映画祭に成長しましたねえ。良かったですねえ。オープニングに『家族はつらいよ』が選ばれて、光栄に思っています」とニッコリ。この日は、「男はつらいよ」の劇中歌を10年間にわたり手がけ、現在は香川在住のバイオリニスト・福崎至佐子氏がバイオリンで同作の主題歌を披露するひと幕もみられ、山田監督と握手を交わしていた。

 本広監督は、「近年は僕よりも早いピッチで撮られている。なぜこんなにも次から次へ撮られているのですか?」と質問をぶつけると、山田監督は「なぜって、作りたいものがあって、うまくクランクインできたってことでしょうか」と煙に巻く。それでも、「『男はつらいよ』を26年間で48本も撮り続けてきましたからね。そういうテンポに慣れているっていうのもあるかもしれない」と明かす。

 「家族はつらいよ」は、山田監督の「東京家族」(2012)で一家を演じたキャスト陣が再結集し、熟年夫婦の離婚騒動をめぐり展開される人間模様を描く。山田監督にとっては、「男はつらいよ」シリーズ以来約20年ぶりとなる喜劇映画で、橋爪功、吉行和子、西村雅彦、中嶋朋子、林家正蔵、妻夫木聡、蒼井優らが出演。ストーリーは、結婚50年目を目前に控え、夫・周造が誕生日を迎える妻・富子に「プレゼントに欲しいもの」を聞くと、その答えは「離婚届」だった。降って沸いた離婚騒動に子どもたちは大慌てで、家族会議では長年抱えたそれぞれの不満が噴出する。

 久々の喜劇映画を製作した山田監督に、本広監督は「コメディってあまり評価されないですよね。やるせなさを感じるんですよ」と胸中を吐露。すると、「あははは。ずっと昔から喜劇は2流、3流に見られてきたんじゃないかなあ。でも、喜劇ってとても難しいんだよって先輩に言われたことを今でもはっきり覚えていますよ。人間の持つおろかしさが見えた時、人って笑ってしまうものです。とにかく一生懸命、人間を描くことですね」と語り、満席の場内を唸らせていた。さらに渥美清さんについて話題が及ぶと、山田監督は「見ただけでおかしい人でしたね。相手の役者までおかしい人間にしちゃう。たとえば真面目で不器用な前田吟くんとかね。渥美さんのような俳優は、いないですねえ」と故人に思いを馳せた。

 同映画祭は2006年の初開催から10周年を迎えるだけに、今年は例年以上に豊富なプログラムが組まれている。2年ぶりの参加となる是枝裕和監督は「海街diary」、そして主演の韓国女優ペ・ドゥナとともに「空気人形」の舞台挨拶に出席予定。行定勲監督は同県でロケを行った「世界の中心で、愛をさけぶ」「春の雪」を引っさげ高松入りし、14日には両作のロケ地ツアーを敢行、自らツアーコンダクターを務めるという。クロージング作品「アニバーサリー」(本広、佐々木敦規、高橋栄樹、萩原健太郎、森谷雄の5人が監督)の上映では、音楽を担当したトータス松本も登壇する予定だ。

 さぬき映画祭2016は、2月21日まで開催。