厳選!新馬情報局(2016年版)
■第33回:トウショウビクター

 1年間の締めくくりとなる有馬記念(中山・芝2500m)と同様、上半期の総決算として行なわれる"グランプリレース"の宝塚記念(阪神・芝2200m)。2005年の同レースにおいて、39年ぶりの牝馬優勝を決めたヒロインがいた。スイープトウショウである。

 彼女は、2003年から2007年までの現役生活の中で、宝塚記念を含めてGI3勝(他は2004年秋華賞、2005年エリザベス女王杯)という輝かしい実績を残した。後方待機から直線で見せる強烈な末脚は、「鬼脚」と形容されるほど、たぐい稀(まれ)な武器だった。

 また同馬は、スタッフを困らせる"わがままなお嬢さま"だったことでも知られている。調教やレース前、気に入らないことがあると突然立ち止まり、騎手やスタッフがうながしても、一切動かなくなってしまったというエピソードは数知れない。そのせいで、満足に調教ができず、出走予定のレースを回避する事態まで起きたほどだ。

 そのスイープトウショウの息子が、現3歳世代にもいる。栗東トレセン(滋賀県)の今野貞一厩舎に所属するトウショウビクター(牡3歳/父ステイゴールド)である。

 頑固な性格の母に加えて、父は現役時から荒い気性で知られていたステイゴールド。その産駒も強烈な個性派が多く、能力はもちろん、性格面でも早くから話題になってきた若駒である。

 そんなトウショウビクターについて、管理する今野厩舎からはこんな評価が伝えられているという。関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「まずトウショウビクターの気性面について、スタッフは『この両親の割にはかなりおとなしい。それでいて前向きさがある』と話しており、両親の性格がいいほうに出ているようです。馬体については、この厩舎で管理していた姉のビジュートウショウ(牝/父ディープスカイ)と比べて、『骨格は似ているが、馬っぷりは(性別の違いを踏まえても)姉よりいい』とのことですね。血統馬の面影は感じているようですよ」

 そうして、12月中旬に入厩したトウショウビクター。年が明けた1月7日には、ゲート試験に合格した。

 しかしその後、すぐにデビューとはならず、再放牧となった。その判断について、先述のトラックマンが詳細を説明する。

「とにかく体が弱いようで、まだ体力がついておらず、負荷をかけられないようです。成長も遅いみたいですね。これだけの血統馬ですから、焦らず大切にしたい様子。ちゃんとした状態でデビューできるよう、今後はゆっくりと仕上げていくことになるでしょう」

 トラックマンによれば、「デビューは早くても3月くらいになるのではないか」とのこと。春の3歳クラシックに乗るのは厳しそうだが、その後の競走生活を考えれば、ここでじっくり進めることがプラスに働くかもしれない。

 切れ者として、そして独特な性格の持ち主として、競馬界に名を馳せたスイープトウショウ。その息子はこのあとどんなキャリアを積み上げていくのだろうか。競馬場に姿を見せる日を、じっくりと待ちたい。

河合力●文 text by Kawai Chikara